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#4 まったく新しい焚き火のゲームはどうやって誕生したのか─「チルっと焚き火ソン」デザイナーノート連載

はじめに

本連載は、Nintendo Switch 2 向けソフト「チルっと焚き火ソン」の制作過程をまとめたインタビュー記事です。2025/8/8から、毎週金曜日公開で連載しています。気になる方はぜひマガジン登録を!


前回の記事はこちら


「チルっと焚き火ソン」について




人物紹介

佐々木 隼 / JUN SASAKI
2010年にオインクゲームズを設立。同社が開発する多くのゲームのディレクション、ゲームデザイン、アートワークを手がける。文中では(佐)と記載。

新藤 愛大 / YOSHIHIRO SHINDO
プログラマー・テクニカルアーティスト。オインクゲームズのビデオゲームのエフェクト、アニメーション、インタラクションなどを手がける。文中では(新)と記載。

きゅぶんず / KYUBUNS
プログラマー。小さくて綺麗なものが作りたい。文中では(きゅ)と記載。

土江 智明 / TOMOAKI TSUCHIE
プログラマー。ややこしいものが好き。文中では(土)と記載。


インタビュー


会話“も”楽しめる!「トークテーマ」が生まれるまで


─焚き火レベルが上がるたびにトークテーマが出てくると思うのですが、どのような意図でトークテーマは設定されたのでしょうか?

佐)このゲーム、「みんなで遊んでほしい」というテーマを持って開発がスタートしたのですが、 焚き火がおもしろくなっちゃって、一人で黙々と遊んでしまうという問題が生まれたんです。みんなで黙々と焚き火するっていうのも、それはそれでおもしろかったんですけれどね。 
会話しなくても、結果的には十分みんなで遊んでる感もあるし、それでもいいという考えもあったんですけど、やっぱり会話をして楽しむという要素は、 もう少し前面に出てきてもいいんじゃないかという議論がチーム内でありました。

そこで、「トークテーマというのを表示してみたらどうだろう」となって、この機能が実装されました。 それでも「蛇足なのでは」と議論は続きました。
会話テーマを出すのは、想像していたよりも難しかったんですよね。 プレイヤーのプライベートに踏み込むことになっていく。 「そんなこと聞かれたくないよ」というようなことだってあるわけで。 

─そのトークテーマの内容は、どのように考えたのでしょうか? 

佐)なるべくそれぞれのプライバシーに踏み込むことがないようなものを選んでいきました。 AIも使って、いろいろ案を出してもらって考えていきましたけど、 けっこう苦労しました。
そもそも「必要なのか」という点も、ずっと議論をしていましたし。 

きゅ)こたつで遊んでた頃みたいに、コミュニケーションを取るのが中心のゲームだと、みんながわかってやってるならよかったんですが…。
焚き火部分がちゃんとゲームとしておもしろくなったので、「コミュニケーションゲームだと思われると損なんじゃないか」など懸念が生まれてきたんです。

佐)そうなんですよね。 けっこう繊細な部分で難しかったです。
でも、焚き火を楽しむ人は、純粋に焚き火を楽しんでもらえばいいし、 それ以外の人も救い上げる意味で、「やっぱりトークテーマはあってもいいんじゃないか」となって、結果的にトークテーマは採用されました。
そこに加えて、もしトークに参加したくなければ、トークテーマの表示を拒否することもできる機能が入りました。 つまり、全員の同意がないとトークテーマが表示されなくなったんです。

新)焚き火レベルが上がると新しいトークテーマが出てくる仕様は、最初からそうなってましたっけ?

佐)たしか、打ち合わせしてる時に、誰かからポロッと出た案だったと思います。焚き火レベルが深くなっていくと質問も深まっていく方がおもしろいんじゃない?みたいな。 
そのアイデアが先で、その次に焚き火レベルが上がるごとに出るようにしようとなった気がします。 

─実際、質問内容ってレベルが上がるごとに深まっているんですか?

佐)はい。焚き火レベルが上がると踏み込んだ質問が出るようになってます。「10年後の自分にアドバイスするとしたら何て言う?」みたいな。

土)焚き火といえば人生の話ですからね(笑)。

長く遊ばれるために─「難易度」別のステージの設定


─砂浜や雪山など、さまざまなステージによって難易度がわけられているのは、どのような発想を元に制作されたのでしょうか?

佐)基本的に、ゲームを作っていくときって難易度をつける必要があるんですよ。一つの難易度だけでゲームが成立することは少なくて、 簡単なものから難しいものまでステップアップするというのは、ゲームとして必要な要素なんです。長く遊ぶために。 
そこで、 このゲームにおいての難易度っていうのを何でつけるかと考えたときに、「ステージが変わる」というアイデアが自然に出てきました。 
やっぱり、豪華感も出せますし。
ステージが変わることで、気分が変わって、さらに商品としてのボリュームも出せるので、自然な流れでそれは考えられていきました。
いろんな場所を用意しようという目的と、難易度をつけるという目的の両方を満たしたかったんです。 
難しさが変わっていくシチュエーションを入れていくために、カラッとしててあたたかい砂浜っていうところから、気温がすごく低くて湿度も高くてとても難しい雪山っていうところまで段階をつけていったという感じですね。

きゅ)確か雨を降らせたいのと雪を降らせたいのがあったから、それぞれの場所が作られた気がしますね。

─どこかで雨が降るんですか?

きゅ)高原は雨が降ります。

佐)ロケーションとして綺麗になるだろう、という意図もあったりします。

細く長く持ちこたえろ!「サバイバル」のルールの変遷


きゅ)ボリュームで言うと、ステージもですけど、ゲームモードも、様々な遊び方ができるように3種類入ってますね。 
サバイバルのルールについては、けっこう変遷がいろいろとありました。

─サバイバルって何でしたっけ?

佐)「チルっと焚き火ソン」には、サバイバルモードというのを入れてあるんです。
ノーマルゲームは、普通に焚き火をやって、どれだけ時間がかかってもいいから、焚き火レベルが10まで達成すればOKなんです。
サバイバルっていうのは、もっと高難易度のゲームを遊びたいという人のために、よりやりがいのあるゲームを入れたいなと思って、作られたモードです。
最初、「限られたマキでレベル10にどうやって到達するか」というゲームを入れようと思ってたんですよ。
ノーマルモードは、マキが無限に湧くのですが、初期のサバイバルモードでは、最初からマキが限られた数量しかなくて。その限られたマキでどうやってレベル10に到達するか、というモードとして入れられてたんですけど、その遊びも結局は「レベル10まで上げる」点で、慣れてくるとノーマルモードと同じゲーム性なんですよね。「あんまり変わらないなぁ」と思っていました。
そこで、最終的に、「限られた数量のマキ」というのはそのままで、 「レベル3以上の焚き火をどれだけ長く維持するか」というゲームになりました。よりサバイバルっぽい、その名称に即した感じですね。
これが、けっこう、おもしろかったんです。単に、「レベル10まで上げていく」というのだと火力をただどんどん強くしていけばいいんですけど、「レベル3以上をより長く維持する」となると、火が強まりすぎてもいけないんです。燃料が限られてるので。
たくさん燃やしすぎちゃうと、燃料がその分なくなるから、長くは燃えなくなるんですよね。
ベストは、ギリギリレベル3を超える火を維持することなのですが、この「ギリギリレベル3を超える」というのがすごく難しいんですよ。
ちょっと温度が下がると、すぐレベルが下がってしまうので。
そうなると時間計測も止まるので、レベル3にいってない火が続くわけで…っていうので、より違うプレイ感のゲームになったんです。
最終的には「雪山で30分持ちこたえる」っていうのがこのゲームの最高難易度の目標になっていると思います。

土)難しいですよね〜。

佐)難しいですね。僕も30分ぴったり、 本当にギリギリで達成したっていう感じだったんです。

─各ステージの見た目は、新藤さんが担当したんですか?

新)そうですね。ゲーム的に「こうしたい」っていうのだけで、とりあえず仮の見た目のステージが作られて、前回説明したパラメーターでいろいろ調整された空間だけが先に出来上がってたので、そこに、それっぽい見た目をつける、というのを担当しました。

─参考にした場所とかは、あったりするんですか?

新)参考にした場所は、特にはないですね(笑)。佐々木さんから、なんとなくのコンセプトのイメージをもらって、 そんな感じの雰囲気になるように作ったっていう感じですね。3Dモデルとかは結構アセットを使ってます。意識したこととしては、「4人で焚き火を囲むゲーム」なので東西南北どこをみてもおもしろみが感じられるオブジェクトを設置しました。木々の間から月が覗いたりとか、どっちかがすごくひらけてたりなど、ちょっと見回すとおもしろみがあるようにしています。 あと、林には湖があるんですけど、向こう岸にも焚き火をしてるポイントがあるという小ネタを入れてます(笑)。あと、ドラクエ文脈で、どのステージからも一応雪山が見えることになっています(笑)。ただ影になってる大きい山があるだけなんで、全然、気付かないと思いますが。


9/5(金)更新予定の「チルっと焚き火ソン」デザイナーノート連載#5に続きます。
次回は最終回。開発チームメンバーの苦労した点や、タイトルが決まるまで、開発チームメンバーからのメッセージについてまとめます。

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