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歳時記を旅する72〔椿〕後*百幹の竹を灯して紅椿 

磯村 光生
(平成三十年作、『花』)
 江戸時代には、寛永年間(一六二四~)を中心に空前の椿愛好ブームが起こる。狩野山楽の作とされる『百椿図』は、百種類以上の椿が、さまざまな器物を花器に見立てて描かれている。また、皇族や公家、大名、歌人や連歌師、俳人など四十九人もの人が和歌や俳句、漢詩の賛を寄せている。巻頭は水戸光圀で、「きみもいざはやゆきて見よこせやまのつらつらつばきはるすぎぬまに」の歌を寄せている。万葉集の「巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな巨勢の春野を」を下敷きにしている。「巨勢(こせ)」は、現在の奈良県御所市古瀬の辺りという。
 句は、椿の花が竹林の竹を灯すという。それも紅の色が映るまでに。

(俳句雑誌『風友』令和八年三月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)

☆「百椿図」は根津美術館で公開されていました。以下で一部をご覧になれます。

(岡田耕)


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