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「お金」は大事だが "儚いもの" でもある

 前稿.迫り来る "「金利」がある世界”|損切丸 でJGBの急落について触れたが、ある記事で「超長期債の買い手がストライキ」と書いてあって思わず吹き出しそうになった。リスクテイカーが「ストライキ」って...。まさに江戸時代から連なる「お上頼み」の日本らしい

  ”大黒屋、お前も悪よのう”  ”お代官様こそ、フフフ” 

 気がつけば30年国債金利でドイツと日本が逆転(  標題グラフ)。筆者の知る限り初めて見た。ECBが未だに「金融緩和」姿勢を崩していない事もあるが、やはりJGBの猛追が凄まじい。それだけ「円」が "陳腐" になっているということ

 「お金」は大事だが "儚いもの" でもある

 貨幣主義経済なので何をするにも「お金」が必要なのは致し方ない。だが4京円も「借金」してこれだけ世界中にばら撒かれれば "陳腐" にもなろうというもの。未だに「自国国債はいくら発行しても大丈夫」とか「税は財源ではない。国債が財源」などと物知り顔で堂々と言い張るMMT(現代貨幣論)一派が存在するが「お金」のことを知らなさ過ぎる国家財政は間違いなく「税」を中心に回っており、「借金」「国債」は「支払い」を先延ばしにしているに過ぎない

 「XXノミクス」≓「異次元緩和」の弊害なのだろう。金利が「ゼロ」なら「国債」をいくら発行しても気にならないが、これが@2%、@3%となると「発行残高」が大きな問題と化す。この問題に直面しているのがアメリカであり米国債5,300兆円「借金」があっても金利が「ゼロ」なら利払いも「ゼロ」。だが@4%になれば年間▼200兆円に膨張複利効果  もあって「資金繰り」は逼迫する。同時に「時間」リスクも増大する

 だから ”Tariff Man" は何かに憑かれたように+20~30%もの「関税」を掛けたのであり数千人も政府職員の「首」を切った不動産事業で何度も倒産して「資金繰り」の恐怖は身に染みているはず。おそらく銀行も大っ嫌いだ。まあこれだけ巨額の利払いに迫られれば「資金繰り」担当だった「損切丸」でも体中から冷や汗が出ようというもの

 それなら「利上げ」しなければ良かったのに...。ところが「インフレ」がそれを許さなかった今回の急激な「インフレ」は「コロナ危機」による強烈なバラマキがきっかけではあったが歴史的伏線もある

 端緒は「LTCM破綻」(1998)だったと筆者は確信している。ロシアのデフォルトをきっかけに大手ヘッジファンドが破綻の危機に瀕したが、問題はウォール街を中心に大手投資銀行がここに「お金」を注ぎ込んでいたこと。筆者自身も2兆円近くもぎ取られ「資金繰り」に追われた

  ”ああ、これで投資銀行業界は終わったな…”

 これが当時の「損切丸」の率直な感想。これを機に何回も「お金」を回転させるレバレッジ取引は規制され高収益をひたすら求めるビジネススタイルは転換期を迎えるはずだった。だが結果は全く逆政府と金融機関は「お金」を出し合ってLTCMの破綻を回避、自らの身を守った

 ”何があっても政府が助けてくれるから大丈夫”

 この事は「モラルハザード」(倫理の欠如)を助長し「リーマンショック」(2008)、そして「コロナ危機」(2019~2021)へと引き継がれる。いずれも政府によるバラマキと強烈な金融緩和で危機を凌いだ。日本では「XXノミクス」≓「異次元緩和」が進行。世界中で「金余り」が広がった

 MMTはそういう事態を是認する "為にする学説" であり、政治家や金融機関に利用された。だがどんなものにも「限界」はある。2022年以降の強烈な「インフレ」はその "臨界点" に達したからであり、いわばコップに目一杯注いだ水がこぼれだした現象と捉えられる

 「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ5 「お金」って何?|損切丸 にも書いたが「お金」は所詮「紙切れ」。その原価以上の価値を保つのは「国」が保証しているからに他ならない。今、その「国」の「信用」が揺らいでいる米国債やJGBが売られているのはそういうこと

 日米の財務省もウォール街もMMTを唱えた学者もそんな事は判っている。ここまで「インフレ税」で巨額の「借金」の価値を減らしてきたが、その負担を負ってきた生活民の我慢も「限界」に近づいている。投資家・預金者が「ストライキ」を起こした結果が今の「金利上昇」である

 これまでの「金融危機」の中心は「銀行」だったが今回は「国」、しかもアメリカや日本を含む先進国だ。こんな事は今まで一度も無かった。いわば ”壮大な社会実験” であり過去の経験則は当てはまらない。筆者も含めその帰趨は誰にも見通せない。だから安易な ”レベル感” や思い込みは厳に慎むべき米国債の@5%が必ずしもバックストップになるとは限らない。世界中の投資家が見極めようと息を潜めている状態であり、日本の金融機関も「ストライキ」なんかしている場合ではなかろう

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