米経済指標を再点検してみよう - 鍵は「長期金利」
ウォーシュ元理事が次期FRB議長に選任された事から今後 "Tariff Man" による金融政策への過剰な政治介入は影を潜めよう。同様に米経済指標に難癖つける事もできなくなるので一定の「信頼」は戻ってくる。政府閉鎖で長らく混乱していたが軌道修正されるかどうか
1/30 12月PPI(前年比)+3.0% 予想 +2.2% 前月 +3.0%
コア +3.3% 予想 +2.5% 前月 +3.3%
*サービス価格(前月比)+0.7% ← 貿易マージン +1.7%
*輸送、倉庫関連 +0.5%、航空運賃 +2.9%、宿泊料金 +7.3%
*エネルギー価格(含.ガソリン)▼1.4%、食品 ▼0.3%(含.生鮮・乾燥野菜 ▼20.4%)
*12月コア個人消費支出(PCE)価格指数 推計値 +3.0% 前月+2.8%
<来週の発表予定>
2/3 1月ISM製造業PMI 予想 47.4 前月 47.9
*雇用 予想 45.5 前月 44.9
*仕入価格 予想 58.4 前月 58.5
*新規受注 予想 42.3 前月 47.7
2/4 ADP非農業部門雇用者数(NFP) 予想 +0.7万人 前月 +4.1万人
2/5 1月ISM非製造業PMI 予想 51.8 前月 54.4
*雇用 予想 50.2 前月 52.0
*価格 予想 67.5 前月 64.3
*新規受注 予想 52.2 前月 57.9
2/6 1月米雇用統計 失業率 予想 4.2% 前月 4.4%
非農業部門雇用者数 予想 +8.9万人 前月 +5.0万人
時間当たり賃金(前年比)予想 +3.7% 前月 +3.8%
いかに新議長が大統領寄りといっても、経済指標が米経済を正しく示すなら不合理な金融政策は発動できない。それこそマーケットの混乱を引き起こすからだ。 "Tariff Man" の無茶苦茶な言動には内外の政治家から強い反発が広がっており、ここで米経済の現状を再点検する事には意味がある。結局それが今後のFRBの政策方針に収束していく(やっと本筋に戻る)
まず発表された12月PPI。まだ抑制気味とはいえ「関税」による価格転嫁の様が色濃く出ている。食品・エネルギー価格が下がっているのに全体が押し上げられており、 "貿易マージン" の上昇等が寄与していそうだ
だが高率な「関税」の経済への影響は複雑だ
物理的に「消費税」同様モノの値段に上乗せになるのは間違いない。問題は「消費」が物価上昇に耐えられるのかどうか。日本の自動車産業が価格転嫁に慎重だったのはそのためだが、面白い事に最初に根(値?)を上げたのは米国の自動車産業。メキシコやカナダからの輸入部品等の価格上昇分を乗せざるを得なくなった。こうなるとシェアの大きいTヨタには有利。実際「関税」にも関わらず世界販売台数1位を守っている
状況を複雑にしているのがAIに絡む「雇用」減。直近の日本の雇用統計でも情報関連の求人が▼10%減であり、プログラマーやSEの仕事の一部がAIに置き換わっている。米国ではIT大手による数千人規模の "首切り" が続く
おそらく新FRB議長が「利下げ」派に転じたのはこのためであり、雇用減による消費の減退が「関税」による「インフレ」を上回ると見ているから。だがこの判断は一筋縄ではいかない。雇用や消費が悪くても「インフレ」は起こり得る。いわゆる「スタグフレーション」だ
トルコの惨状をみれば明らかだが、景気が悪化しても「インフレ」が高進すれば金融政策は「利上げ」が正しい選択肢。そして高金利は更なる消費減退を招き経済はスパイラル的に悪化する。いかに世界1位のアメリカといえ「借金」が38兆ドル≓6,000兆円まで増えてしまえばもう「スタグフレーション」の瀬戸際。「ドル高」がかろうじて防波堤になっているが、こういうコンテキストで捉えると米財務長官の苦悩が窺える
「利下げ」大好きな "不動産屋" が国家政策を運営するとこうなるという実験のような経済運営だが、確かに年間▼200兆円近い利払いは厳しい。かと言っていたずらに金利を下げて「近隣国窮乏策」を取れば 2026年、「お金」はどこに向かうのか - 怖いのは「お金」の逆回転|損切丸 で結果とんでもない「ドル安」「高金利」を招く怖れもある。信奉するRーガン大統領の時代に同様の結果を招いた事実があるのは歴史の皮肉か
そもそも今世界を覆うのは独裁者による "懐古主義" 。Sターリンとか「大躍進政策」とかRーガノミクスとか歴史に名を残しはしたものの、その後経済崩壊を招いた。「無理は通っても無理」。日本もAベノミクスの副作用でとんでもない「円安」に見舞われている
やはり世界全体で5京円もの「借金」はあまりにも重い。これだけ「お金」が出回ると「インフレ税」は不可避だが、最近のビットコイン、金、銀などの暴騰暴落相場を見ていると「インフレヘッジ」も限界に近い。「インフレ」を先取りしてきた株式市場然りでその前に「金利」が立ちはだかる
ほとんどの「金融危機」は金融政策対応の間違いが発火点になっているだけに、ここからは財政政策と合わせ "Walking on the Tight Rope" (ギリギリの綱渡り)。「金利」、特に「長期金利」の動向が鍵になるだろう。ダメ押しのようにT首相から "円安歓迎" 発言も飛び出しており、来週も "心配な相場" が続きそうだ




