もう一つの「アメリカ例外主義」Ⅲ -「お金」の大移動が始まった
もう一つの「アメリカ例外主義」|損切丸
続・もう一つの「アメリカ例外主義」- "TRUST" (信頼)の崩壊がもたらすモノ|損切丸 の続編
米株価とドイツを中心とした欧州株価の動きの対極化が鮮明になっている。やはり今回の「決裂」をきっかけに "TRUST" (信頼)の崩壊がもたらすモノ ≓ 安全保障の「脱・アメリカ」が大きな影響を及ぼしている
国防銘柄としてはラインメタル社 ↓ 等の株価急騰に引っ張られて独DAX指数が上昇。イタリアやフランスも同様の展開となっている。メディアでは ”停戦交渉は欧州の負け” のような論調が目立つが筆者の見方は逆。「お金」の動きを追えば "置いてけぼり" を食っているのはアメリカの方。
欧州株価に比して買い戻す力は弱い


今回のようにFXでのユーロ上昇が伴って株価が上がるケースは、ヘッジファンドやトレーダーなど短期筋の仕掛けや「キャリートレード」ではなく ”リアルマネー” の可能性が高い。まさに「お金」の大移動。投資理論などと偉そうな事を言っても「人」が手掛ける以上 "TRUST" あってこそ。その点では今回はヨーロッパの勝ち。この流れをひっくり返すのは容易ではない
そんな中出てきたアメリカの経済指標も "置いてけぼり" を示唆している
3/3 2月米ISM製造業PMI 50.3 予想 48.9 前月 50.9
*雇用 47.6 予想 46.5 前月 50.3
*仕入価格 62.4 予想 53.2 前月 54.9
*新規受注 48.6 予想 53.9 前月 55.1
2月ISM米非製造業指数 53.5 予想 52.2 前月 52.8
*雇用 53.9 予想 51.1 前月 52.3
*仕入価格 62.6 予想 58.8 前月 60.4
*新規受注 52.2 予想 53.0 前月 51.3
2月ADP非農業部門雇用者数(NFP、Non-farm Payrolls)
予想 +7.7万人 前月 +18.6万人 ← +18.3万人
3/7 2月米雇用統計: 失業率 予想 3.9% 前月 4.0%
NFP 予想 +19万人 前月 +14.3万人
平均時給(前年比)予想 +4.2% 前月 +4.1%
労働参加率 予想 62.6% 前月 62.6%
ISM指数を見るとアメリカが「スタグフレーション」に向かう怖れが高まっている。非製造業の強めの雇用指数は意外だったが弱いADPを見ると週末の雇用統計もそれほど強い数字は期待できまい(もっとも「利下げ」を阻害する強い雇用もFRBにとって悩ましい)。皮肉にも「アメリカ・ファースト」は「MAGA」と真逆の方向に作用し始めている。施政方針演説で自画自賛している場合ではなかろう
米国債と欧州国債の「金利」も対称的な動きを見せている


100兆円を超える巨額な公共支出=防衛・国防関連が出てきた以上、ポリシーミックスを考えればこれ以上ECBが「利下げ」をする必然性は薄れた。30年債で見れば、ドイツは@3%、フランスは@4%越え、イタリア・イギリスは米国債を超えている。「金利」面でも益々ドル < ユーロが進みそう
一方「利下げ」が迫るアメリカ。今年中に政策金利が@4%を下回りそうだが、こうなると怖いのは「金利」低下がキャピタルフライト(資本逃避)を誘発するケース。最終的には米国債の急落=「金利」上昇を招く。「関税」により物価は上昇するのだからFRBが金縛りになる懸念もある

「損切丸」では、特に「金利」について過去の経験をベースに6ヶ月後、1年後の展開を推定しているので読んでいる方には若干違和感があるかもしれない。だが 「本物の危機」の時、金利は上昇する。|損切丸 等々、散々痛い思い(苦笑)をしてきた身としては、出来ればそういうリスクは回避したい。この5年間もそういう思いで書いてきた
長年に渡る「ドル覇権」が終わろうとしている今はまさに時代の転換点。「多極化」という意味では「ユーロ圏」と中国・日本・インドを含んだ「アジア圏」の3極が中心になってくる。これに「BRICS」等々が複雑に絡む。日本もこれまでのように「外貨投資」の7割以上を「ドル」に依存するのはもう考え直した方がいい。あの国はもう「例外」「特別」ではなくなった
「借金」まみれで大型の財政出動が出来ない(≓ 過去に無駄金をばら撒き過ぎた)日本はヨーロッパに追随できないのが悔しい所。ただ「正常化」と言う意味ではアメリカによる「円安」是正のお墨付きもあり、日銀の「利上げ」に支障はない。副総裁も「政策決定会合毎に利上げがある訳ではない」と言っていたが、2ないし3回おきに+0.25%ぐらいは十分可能。それで年内@1%が視野に入ってくる

この流れで行くと今年後半から来年にかけて日米欧3極で「利上げ」に向かう未来も見えてくる。特にキャピタルフライトに伴う「ドル安」阻止のためにFRBが再度「利上げ」に向かう局面が怖い。その時は株も不動産も暗号資産も滅茶苦茶になるかもしれない。「世界恐慌2.0」なんて御免被りたいものだが…。この予想だけは外れてほしいと切に願う
いいなと思ったら応援しよう!
この記事は noteマネー にピックアップされました

