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「バランスシート」で考える - 世界最大の「円キャリートレード」=財務省管轄の「外国為替特別会計」

 標題添付の「概要」を見てすぐ何か判る人は財務省職員かもしくはその "おっかけ"(苦笑)。2023年度の「外国為替特別会計」の決算である

 その「貸借対照表」=「バランスシート」がこれ ↓

 これはよく出てくる「対外純資産」(2023年度は+471兆円程) の一部でもあり、その内政府で管理しているのが「外貨準備」だ。その他は民間投資、e.g., 米株や米国債投資、海外工場etc., なので「国」が予算等でどうこう動かせる「お金」では無い

 ちょっと取っ付きにくい話で恐縮だが「お金」の "全体像" を掴む上で「バランスシート」≓「資産」vs「負債」の議論は避けて通れない。筆者のように「資金繰り」を担当していた者にとっては毎日頭から離れないのがこの「バランスシート」「資金繰り」とは日々「資産」と「負債」を同額に調整する仕事と言っていい。これは「家計」でも「企業財務」でも同様で、国全体を司っているのが「日銀」になる

 これらを「資金繰り」の立場で考えてみよう

 ”103万円の壁を178万円に上げて仮に▼7兆円減税しても日本には膨大な対外純資産がある。これは財務省の陰謀だ!!”

 「XXXミクス」「MMT」「ザXム真理教」等々の "信奉者" からよく出てくるコメントだが、これは正しい批判だろうか。ちなみに筆者は財務省の回し者では無い(苦笑)

 「対外純資産」とは「対外資産」(本邦居住者による対外投資)-「対外負債」(非居住者による対内投資)。「対外資産」には「新NISA」や銀行による米国債投資、あるいは自動車産業の海外工場を含む▼7兆円減税するからといって「国」が勝手に売ることは出来ない

 唯一政府が手が出せるのが「外貨準備」「予算」への組み入れは実はもうずっとやっている2023年度「決算」で言えば+4兆円もの「運用益」が出ているが、これは*120兆円近い米国債投資(資産)によるドル利息とほぼゼロ金利で発行された86兆円もの政府短期証券(負債)の「金利差」。そう、日本の「外貨準備」こそ世界最大の「円キャリートレード」なのである

 ちなみに「国庫余裕金」が+20~30兆円もあるのは「円安」になって円建換算の米国債が膨らんだから。いわゆるNPV(Net Present Value、現在価値)、平たく言えば「含み益」だ。ここから逆算すると「ドル買円売介入」の平均買値は@135円程度"隠し球" という意味では「ドル売介入」で120兆円もの米国債を売り払えばこの+20~30兆円は「予算」で使えるかも

 昨年7月には@160円付近で7兆円もの「ドル売介入」で "利食い" を入れているので、その分は「予算」に貢献しているかもしれない。いずれにしろ恒久的な利益ではなく、▼7兆円もの "恒久減税" の「財源」にはならない。この辺は与党・政府の説明が正しい

 もっとも最近の「財源論」のおかしい点は「負債」の変化=減税を「負債」の変化=増税で補おうとしている事。これはいわゆるレトリック(詭弁)。「バランスシート」全体で俯瞰すれば「負債」の変化は「資産」の変化になる。つまり「予算」で言えば「支出」に言及しないとおかしい。逆に「支出」を増やすならそれこそ「財源論」(負債)が必要なはずだが、新設の「給付金」や「XXX予算」において「財源論」を見た事が無い

 ”財政危機というがアメリカは日本の3倍以上借金している!”

 確かにこれも間違ってはいない。国際金融に詳しい人ならそういう反論もありそうだが、これも「借金」=「国債」だけに着目したレトリック。端的に言えば上場企業と中小企業の「借金」の額を比較しているだけ。そもそも規模も財務状況を全く違う

 確かに ”アメリカ・コーポレーション” は▼34兆ドルもの「国債」を発行しているが年間売上高 ≓ GDPは28兆ドル、負債/売上高比率は@2年以下。それに対し「日本株式会社」の「国債」は11兆ドル、GDPは4兆ドルで@2.8年にもなる。更に決定的なのは「返済原資」となりうる「株」の時価総額が+48兆ドルのアメリカに対し日本はたったの+6兆ドル。その差はまさに「投資」のリターンの差。これでは勝負にならない。だから「国の株価」当たる「通貨」は「ドル高円安」になる

 それでもJGB(日本国債)がこんな低金利を維持できたのはひとえに ”戦後50年” で蓄積した「預金」≓ 1,100兆円があったから。前日銀総裁=元財務官は非常に賢い人だったそうだから、これに着目したのが「異次元緩和」政策と言える。だが国債残高が「預金」を超える1,200兆円に達する中「限界」が迫るここから先は「国外」の「お金」に頼らざるを得ないだからJGBの金利が上昇してきているのである

 「MMT」でも「ザXム真理教」でも信じるのは勝手だが、耳障りのいいレトリックには要注意。彼らの手口は ”木を見て森を見ず” 。いつも "全体像" を隠そうとする。「お金」のリアルを見ているマーケットのプロはそういうのには引っかからない「損」するだけだからだ

 「予算」を斬る!- 「お金」に関してこの国は崖っぷち|損切丸 も 「大きな政府」と「小さな政府」- どちらの ”ポリシーミックス” を選ぶのか|損切丸 も同じような趣旨で書いているが、ぜひ "全体" を俯瞰 ≓「客観」を覚えて欲しい。リスクを伴う「投資」では絶対に必要になる

 繰り返しになるがこの国にはもう時間はあまり残されていない

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