アメリカ就労ビザ(O-1 VISA)をデザイナーとして取得した話
2019年春、僕は米国で就労するためにO-1Aビザを取得しました。
あれから6年程経ちますが、以来、同じようにアメリカでの就労を目指す方から、ビザについて相談を受けることがあります。ここでは、僕自身の経験をもとに、O-1Aビザ取得までの道のりや準備、実際にかかった費用、更新プロセスなどについてまとめます。
ちなみに、私はスタートアップで10年以上UI/UXデザイナーをしています。
その間、デジタルエージェンシーでwebデザイナーとして働いたり、スタートアップの創業を経験したり、IoT, ゲーム、医療、モビリティ分野のスタートアップを転々としてきました。
O-1Aビザとは?
O1Aビザは「卓越した能力を持つ個人」のためのビザです。特に科学、教育、ビジネス、アスリートなどの分野で、国際的に認められた実績がある人が対象になります。
日本人だとオリンピック選手やミュージシャン、お笑い芸人の方がこのビザを取得するケースを聞きますね。
他のビザと比べて自由度が高く、3年の滞在許可を得た後、条件を満たせば何度でも更新できます。他の就労ビザと、条件さへクリアすれば取得できるビザです。
弁護士選びとサポート体制
ビザ申請は長いプロセスになります。そのため、信頼できる移民弁護士との出会いは非常に重要です。
僕もはじめは数名の弁護士と面談しましたが、中には高圧的だったり、申請は無理だろうと突き放す方もいました。結果的に、親身に相談に乗ってくれる陽気な弁護士さんと出会えたことが、成功のカギだったと思います。
また、雇用元となる会社との連携も重要です。申請書類には会社側からの協力が不可欠なので、担当者との円滑なコミュニケーションがスムーズな進行につながります。
英語が不安な人もいると思いますが、僕も最初は緊張しながら移民弁護士さんとやり取りをすすめました。
ただ、ビザを申請するプロセスで英語を話す必要はゼロではないので、
移民弁護士さんと何度か英語インタビューの練習をしたのを覚えています。
いま過去のメールを見返すと、本当に大量のファイルとメッセージのやり取りが残っています。あの忙しい中でよくやったなと関心していまいますね。
O1Aビザ取得に必要な条件
O1ビザの条件は、以下の8項目のうち3つ以上を満たす必要があります。僕の場合は5つをクリアしていました。
1. 国際的・国内的に名声ある賞の受賞
例:ノーベル賞、ピューリッツァー賞、フィールド賞などの主要な賞(ただし、これは別枠で、下記8項目の代替となる)
2. 全国的または国際的に認められた賞の受賞歴
例:業界の権威ある賞、コンテスト入賞など
3. 卓越性を示す主要メディアや業界誌での報道
例:新聞、雑誌、テレビ、Webメディアに取り上げられた実績
4. 国家的または国際的な団体の会員であること(卓越性が条件)
例:選抜制の専門家団体など(単なる登録制では不可)
5. 専門分野における重大な貢献(独創性や影響力のある成果)
例:研究、発明、製品開発、理論、手法など
6. 著名な専門誌、業界誌での論文や記事の執筆
例:査読付き論文、業界雑誌、寄稿記事など
7. 審査員や専門的評価者としての実績
例:コンテスト審査、業界イベントのレビュワーなど
8. 高給または他者と比べて高水準の報酬・報奨を得ていること
例:報酬証明、給与証明、業界平均との比較など
以下、僕の場合
全国的または国際的に認められた賞の受賞歴
デザイン・広告関連の賞を3つ以上受賞
卓越性を示す主要メディアや業界誌での報道
2冊以上書籍を執筆、メディアの取材・掲載実績5-6記事(大手メディアに越したことはないが、小さいメディアでも問題ない)
専門分野における重大な貢献
リードデザイナー、創業デザイナーとして関わったスタートアップ複数社が事業拡大したことを経験と実数を交えて伝えた。
推薦状(サポートレター)
ありがたいことに海外で活躍されている方に推薦状を書いてもらえたのと、実績にもあげた会社の創業者や役員に書いてもらえた。
高給または他者と比べて高水準の報酬・報奨を得ていること
確定申告や収入証明書などを提出
知名度や卓越性があることに越したことはないですが、あなたがオリンピック選手や著名人である必要は無いようです。アメリカで知り合った留学生の友人も卒業後数年で取得していた事例を何件か見ています。
推薦状について
僕は以下のような立場の方々に推薦状を依頼しました。
国外で著名な企業に勤めるシニアデザイナー
国外で活動する日本人投資家
上場企業の創業者や役員
スタートアップ創業者
内容の信頼性を高めるため、「実績を証明できる人」に依頼することが大切です。
費用について
O1ビザの申請には、ある程度の資金的余裕は必要です。
通常申請費用+弁護士費用
特急申請費用(Premium Processing):約$2,000 *1
トータルで見ると$3,000〜$50,000程度掛かります(ケースバイケースです)。会社に負担して貰えると助かりますね。僕の場合は、最初の申請費用は出してもらいましたが、更新費用はほぼ自費でした。20代でお金をコツコツ貯めていて良かった。
*1 特急申請は申請から1週間立たずしてプロセスを進められます。正直、特急申請はおすすめです。米国のお役所のお仕事は本当にのんびりなので、その時間に左右されてしまいます。
申請と更新プロセス
僕は最初、特急申請を利用しました。特急申請は追加で$2,000必要になります。追加費用を払えば、通常は1週間以内に結果が返ってきます。実際、僕の場合は4-5日で承認されました。あまりにも早く速達で郵便物が届くので驚いたことを覚えています。
一方、通常申請だと3〜4ヶ月、長いと半年以上かかることもあります。
実際、特急申請をしないで更新をしたこともあるのですが、8ヶ月程掛かりました。時間だけの問題ではなく、この申請中に米国外に出国すると、ビザが無効になってしいます。
ビザ更新について
更新後は基本的に1年更新になることが多くなっているようです。1年更新になると1年毎に申請をしないといけないので、ビザ申請費用が毎年発生します。また、この申請期間中は米国外に出国すると、ビザが無効になってしまうという決まりがあります。ただし、再度の申請で3年更新に戻るケースもあります(僕自身がそうでした)。
その後の生活と現在
2023年夏、僕は日本に帰国しました。理由はいくつかありますが、リモートでの仕事が中心になったため、物理的にアメリカにいる必要がなくなったからです。
元々、アメリカで生活できるとは思ってなかったこともあり、日本とアメリカを行き来する生活を考えていましたが、幸運なことにビザが取得でき、タイミング悪くCOVID-19で動けなくなり、アメリカから2年以上出なかった時期もあります。
現在は、ビザを保持したまま、主に日本で生活しています。生活や仕事の拠点を柔軟に選べるのも、このビザの良いところです。いまも米国の会社で仕事を継続しているので、この円安時代に米ドルで報酬を頂いています。
米国に就労・移住するためにビザが必要というのが一般的な認識ですが、
米国で滞在しならも仕事に従事するにはビザが必須です。ESTAや非就労ビザで仕事するのは違法就労になるので気をつけましょう。
グリーンカードの選択肢
将来的にアメリカで永住を考えている方には、グリーンカード申請も視野に入れておくことをおすすめします。
O1Aビザからの永住権申請は可能で、EB1・EB2・EB3といったルートがあります。ただし、申請費用は$7,000〜$16,000+以上かかることもあり、長期戦になります。実は私も申請を検討したのですが、申請プロセスに2年半掛かると言われました(2021年頃)
O1Aビザ取得して米国に入国してからすぐに申請をはじめることができます。僕自身はアメリカ永住の意思がなかったため、申請していません。
最後に:これから挑戦する方へ
2018年当時は、日本からアメリカへ挑戦する起業家やクリエイターはまだ少数派でした。
ですが最近は、若い起業家がアメリカへ渡る話を聞く機会も増え、日本人のプレゼンスも高まっているように感じます。
O1Aビザの取得は、確かにハードルが高く、費用も時間もかかります。
でも、決して「不可能な挑戦」ではありません。僕の周りでも実際にO1ビザを取得した仲間が何人もいます。そして、いま申請プロセスを進めている友人も居ます。
個人的な意見ですが、場所に縛られない生き方をしたかったので、僕は一度日本に帰国しました。しかし、僕のようなクリエイターや起業家にとってシリコンバレーという土地は、最も熱量のある場所なのは間違いなかったですね。
この記事が、これから挑戦する方の一助となれば幸いです。
今後も、アメリカでの就労経験やその後の話を書いていきたいと思います。
Kazuhiro Oz Hashimoto
プロダクトデザイナー/UIエンジニアとして、スタートアップの0→1フェーズを中心に活動。2018年、米サンフランシスコにて「Zypsy」を共同創業。Sequoia CapitalやAndreessen Horowitz出資先など、グローバルなスタートアップにブランドとプロダクトデザインを提供する“デザインキャピタル”モデルを展開。プロダクトの初期設計から、Figmaプラグイン開発、デザイン実装まで幅広く関与。
現在はスタートアップ支援を行いながら、AI*Gadget開発。noteではプロダクト開発の裏話、海外生活・ビザ取得体験、投資・経営の視点から見たスタートアップ支援のリアルを綴っていきます。
🔗 madebyoz.xyz
