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おそれおおい…を味わいたい

正月三日
色々用事を済ませた夕方、
何を思ったか  一寸東本願寺に寄った。
普段田舎暮らしなので、都会で時間が余ると つい広い空間に 引き寄せられる。
別に ことわる必要もないが、
私は この宗派の門徒ではない。
父方は法然さんだし、母方は空海さん…どちらも熱心な信者ではなく、仏事法事だけの普通の付き合い…、私自身も、ごく一般的な仏教徒に過ぎない。
今日も ただ祈り溢れる大きな舞台に
寄りかかりたかった…だけ…。

本願寺は
西 東どちらも 御朱印は無し
拝観料も とらない。

自由に
贅沢な板敷廊下を歩ける幸せ…
それをいただきに参る…。

堂内の大広間でも
仕切られた内陣まで近寄れる。
畳の一部が まばらに新しい…。
うす緑…入れかえたばかりの畳、なぜか遠慮して古い畳にばかり座ろうとする人々…。
余計に 目立つ、新しい畳…。
家族連れの子供が
人目を気にせず横切っていく畳…。

薄暗くなる午後4時、しずしずと法要が始まる。
ご門主さまだろうか…正面真ん中におはす親鸞さんの前方左側にお座りになられる。
あと数人のお坊さんも着座、読経が始まる。
合わせてお経を読み上げる門徒さんも
少なからず居る。

綺麗な声…。

ペラペラとお経をめくる音も聞こえてくる…。
時々知っているフレーズが読まれると
少し嬉しい…。

ただそれだけの時間に
沈みゆく意識…。

ご門主さまとお坊さんたちは親鸞さんの正面には座らない。
その厳かな態度は、親鸞さんに良く良く衆生をご覧になっていただきたいという配慮から…だろうか。 
お経の途中 先急ぐため立ち上がる参拝者もある………。
親鸞さんは それを責める気配を一向に見せない。
左右両側にズラリ並ぶ歴代の上人たちの肖像も穏やかなまま…。

そう感じさせるのは やはり広大雄大な空間だからだろう。

意外に寒くない堂内…。

響くは
内陣の読経に合わせる畳からの読経…。

約30分…読み上げられたお経が高い天井に吸い込まれると、ご門主さまは親鸞さんの後ろ奥へ、お坊さんたちは向かって左へご退出なさる。

門徒衆は、いい時間を過ごしたと
慈に満ちた吐息をもらしている…。

何の法要かも知らず、
同じ空間に居させていただいた余韻に浸る…。

周りの真似をして
内陣に そっと手を合わせてみる。

大きく揺れ立つ蝋燭の炎が
盛大な拍手を送るように見える。

少ししびれた足の向こうに
警備のかたの制服…。
思わず、「今日は 何の法要でしたか?」と 聞いてみた。
「ちょっとお待ちください…」と
警備室から書類を出して
「にょおくしょうにん の しょうつきめいにち の おたいやです(如億上人祥月命日逮夜)」とのこと。
二台目の門主らしい…。
門徒でもない私が、それを知ったところで何の役にも立たない…けど、また何かの機会に何かの確信に繋がる種になるかも…そう思うと理由なくワクワクしてくるから不思議だ。

頭上からの
数えきれないほどの瓦の重みを感じて………。

障子を出て靴を履き
丸裸になった大銀杏を見る。

元日、誰も居ない神社で踏んだ銀杏が浮かんだ。

因果というか、
ほんのわずかでも
繋がっている喜びというものがあるなら、それを存分に 丁寧に 味わえる人間でありたいと思った。

それなりに
無難な一年を願って…。












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阿毘羅亭日乗 お心お寄せいただきありがとうございます。お考えいただきましたこと厚く御礼申し上げます。