独身、失恋、35歳。〝幸せ〟について本気出して考えてみた。
幸せってなんだろう。
結婚したら、幸せ?
子供がいたら、幸せ?
子供が2人いたら、もっと幸せ?
結婚してない人は、不幸?
結婚しても子供がいない人も、不幸?
14歳の頃、ポルノグラフティーの「幸せについて本気出して考えてみた」という曲を聴いていた。
でも、思い出せない。
あれは、どういう歌詞だったんだっけ?
「〝幸せ〟そうな自分のキャッチコピー。」
35歳OL、独身、一人暮らし、東京出身。6年前に転職。出社は週に2・3回。残りは自宅からリモートで働いている。
会社の帰り、残業して駅に向かっていると、「家、ついて行ってイイですか?」のスタッフさんに声を掛けられた。
そのままタクシーで自宅に向かい、2時間くらいインタビューを受けた。数ヶ月後、OAが決まった。
OA率は、約6%らしい。謎の運を使ってしまった。
「家、ついて行ってイイですか?」は3~4人のVTRを一回の放送で流すので”その回のテーマ”がある。
私の回は、「人生を楽しみすぎちゃう人SP」だった。番組紹介文には、自分の好きなことに一直線な人たちが集結!とも書いてあった。
自分を語るキャッチコピーに、”人生を楽しみすぎちゃう”というキーワードが使われていることに、なんだか感慨深い気持ちになった。

「〝幸せ〟になって欲しいの言葉の呪い。」
独身でいるとだいたい飲みの席で言われるのは「〇〇さんには、幸せになって欲しいんだよね」っていうセリフ。
この言葉をかけられる度に「ですよね~」とか適当にへらへらとやり過ごしていたけど、必ず帰り道の電車の中で「あれ?私って今不幸だったの?笑。彼氏いないだけで、結婚してないだけで、今でも幸せではあるんだけどな」と思っていた。
その場で反論したところで「またまた強がっちゃって」みたいな空気になるから言わないけど、モヤモヤは溜まっていた。
この話を同じ独身の友人たちに話すと「わかる!!そうなの、今も幸せなのよ。」と100%に近い確率で共感してもらえた。みんな言われた経験があった。
妹は24歳で結婚して子供が2人いるので、両親には孫がいる。びっくりするほど、両親は孫に溺愛しており、見たことのない父と母の笑顔と老後の生きる活力に、”孫”という幸せの象徴を目の当たりにしていた。
だから、「結婚、出産」=「幸せ」を否定をするつもりはない。だけど、結婚していなくても、私はまあまあ幸せだった。
30歳を過ぎると「幸せになって欲しいんだよね」を浴びる回数は増えていった。
多様性が謳われる令和になったところで、人の価値観はそう簡単に変わらないよなと、もう諦めていた。
「失恋の絶望で考えた〝幸せ〟」
「ミカちゃんよりも面白いコンテンツが世の中にはたくさんあると思った。」
33歳の秋、7歳年下の彼氏に振られた。
平気なふりをしながら働いていたが、「30代の失恋は致命傷」は本当だった。苦しい。恥ずかしい。辛い。痛い。動きたくない。どうでもいい。
銭湯に行った帰り道、いつも半分こしていたパピコを、1人で2つとも食べた。
何にも楽しくなかった。
それでも生活は続いていく。お腹もすく。
パピコ一つでダメージ食らってる場合ではない。
週末、沖縄の星野リゾートに逃亡した。
石垣島から、フェリーに乗り小浜島へ。
プライベートビーチがある、スイートルームのリゾートヴィラに1人で泊まった。
光るカクテル、フライドポテト、あったかい黒糖ミルクラテ、カートでの送迎。非日常感と極上のおもてなしで、1日だけでもOLであることを忘れさせてくれた。何をするわけでもなく、ただぼーっとしていた。
海を眺めながら読んだ本から、問いかけられた。
「TRUST YOUR CRAZY IDEAS」(自分の奇想天外なアイディアを信じる)5年……260週…1825日……262万8000分。この時間を使って、何をする?何ができる?5年後、あなたはどこにいるのだろう?
「TRUST YOUR CRAZY IDEAS」が完全に私に火を付けた。
人生一回白紙になったようなもんだ。
私も、面白いコンテンツを作ればいいのか。
私も、元カレと過ごすよりも面白いコンテンツを立ち上げてやる。やってやろうじゃないか。
そうだ、星野リゾート。
星野リゾートに来月も行こう。
いや、全部行こう。
節約したら…行けるん…じゃないか?
決めた。約60施設。
「星野リゾート全制覇」を5年後、38歳までに達成する。30代をもっとクレイジーに生きようではないですか。
部屋に戻り、すぐに次の行先を決め、予約を済ませた。次の行先は、「北海道」。
あの時クレイジーに生きると決めながら、週5でOLを続けている自分のことも尊敬している。
私がクレイジーに生きるためにはお金は必要。

失恋1週間後のリゾナーレ小浜島。

北海道の界ポロトは、
親友2人も一緒に来てくれた。
「〝幸せ〟の風向きが変わってきた。」
元彼への腹いせきっかけで誕生した、「30代をもっとクレイジーに生きる。」という目標に従い、次は突然、鎌倉に引っ越してみた。
独身で彼氏もいない都内の1Kで寂しく暮らす30代OLだった私は、鎌倉に引っ越した日から、独身で彼氏もいないから海が近い1LDKで優雅に暮らせる30代OLになった。
大田区から品川区に引っ越した時はそんな風に言われなかったが「いいなあ、鎌倉いいな、でも家族いるから自分には無理だから、ほんとうらやましい」と。
(あれ?私って、不幸の象徴だったはずが、鎌倉に引っ越しただけで、憧れの生活をする人になった)
なんの努力もせずに、引っ越し代は少々かかったけど、鎌倉に引っ越すだけで周りからの見え方がだいぶ変わった。
そして同時に、私は決断力がある人にもなった。
(鎌倉にただ引っ越しただけで。)

「プロの独身の求める〝幸せ〟」
私が鎌倉にふらっと引っ越したきっかけは、同じ歳で独身のTちゃん。
Tちゃんと仲良くなったきっかけは、〝星野リゾート全制覇〟をするという宣言をFacebookに投稿したこと。飲みに行こうよ!と誘ってくれた。同じ会社の同じ歳の同僚だったが、ひと言くらいしか話したことがなかった。
新大久保にサムギョプサルを食べに行き、「ミカちゃんよりも面白いコンテンツが世の中にたくさんあると思った」という元彼からの衝撃の別れセリフをさらけ出し、2軒はしご、カラオケでモー娘。メドレーを歌っていたら、終電がなくなった。
仕方なく、新宿のテルマー湯に行った。
休憩室で仮眠、朝起きて、露天風呂に入っている時にTちゃんは突然怒り出した。
「ねえ、ミカちゃんよりも面白いコンテンツって何?そいつ、ネトフリと結婚するしかなくない?」
すごい怒ってた。
思い出して怒ってた。
まるで自分のことのように怒ってた。
全裸で。
この人のことは、一生信用できると思った。

Tちゃんは、鎌倉の駅からバスで10分のリゾートマンションに住んでいた。遊びに行ったら、あの時怒り狂っていたTちゃんは打って変わって、へらへらでハッピーだった。
珈琲を片手に、トンビに見つからないように、2人で鎌倉銘菓クルミっこを隠しながら食べた。
帰り道の電車の中、スマホで鎌倉の物件を探しはじめていた。
2ヶ月後、鎌倉に引っ越した。
大人になってからの海のある暮らしは、思った以上に気持ちを解放的に、気持ちいい風と、波音を聴きながら、美味しい珈琲かお酒があれば、「ああ…幸せだね…」と言葉にすることが増えていった。
幸せの感度がバカになっていった。
そんなTちゃんが「和田アキ子みたいな誕生日会をしたい」と言い出した。
だいぶクレイジーなのでほんとにやったらいいのにと思い、私は真面目な顔で、「いっそ結婚式みたいな誕生日会やりなよ」とさらにクレイジーを畳み掛けた。
1週間後、Tちゃんは鎌倉の古民家を予約した。
50人東京から招待して、ケータリングも発注して、想像よりも本格的なイベントになった。
今写真を見返しても、この日はほんとにたのしかった。Tちゃんも結婚していないが、友達がたくさんいて愛されていて、この日みんなを〝幸せ〟にしていた。

この誕生日会があった2023年は、18回旅をした。
国内14ヶ所、海外4ヶ所。沖縄には4回行った。
フリーランスでもなく、週5勤務のOLで、こんなに旅出来ると大学4年生の私は想像出来なかっただろうよ。
幸せな年だ。そういえば今年は厄年だった。


「両親の思う、娘の〝幸せ〟」
「家、ついて行ってイイですか?」では、最悪の失恋で「星野リゾート全制覇」を目指すOLと紹介してもらった。
もちろん親も見た。
うっかり浮かれて、今までそんなこと1度もしたことがないのに、当時彼氏が出来たことを報告して、両親にも会わせてしまっていた。申し訳なくて、別れたことは言い出せなかった。
ほぼ全国放送のTV番組で、娘がかなり明け透けに色んなことを話していたが、母は「自分で稼いだお金なんだから何も言うことはないでしょ。」と強気で、父も娘がTVに出たことを喜んでいた。
よく考えたら、3歳の時の「展示されている”あの埃かぶったのでいいから、あのキティーちゃんの浮き輪じゃないと絶対に嫌」にはじまり、大学付属の私立の中高一貫校に中学受験で入れてくれたのに、大学を外部受験することを勝手に決めて、浪人までして、第一志望の大学に行くことを譲らなかった。
幼稚園の頃、将来の夢は〝お嫁さん〟と書いている子がいて、「お嫁さんはみんないつかなれるのに何でわざわざ書くんだろう」と思っていた。私はその時迷うことなく、〝セーラームーン〟と書いた。
昔から自分がやりたいと思ったことはどんなに反対されようが貫き通す私の頑固な性格には、母と父にとっては日常茶飯事。今に始まったことではなく、慣れていたのかもしれない。
とはいえ、母はブライダルの仕事をしているので、娘の結婚式に関しては、人一倍楽しみにしていると思う。
28歳で、1度目の転職をしようとしていた時は、まだ実家で暮らしていた。
母に「リビングにあんたの荷物が多い、早く片付けなさい。」と怒られ、その流れから派生して飛び火し、「転職なんてしないで、結婚しなさいよ!」とブチ切れられた。
言葉を失い泣きながら、転職用のジャケットと荷物を鞄に投げ入れて家を飛び出た。
電車に乗ってたら、母から謝罪のLINEが来たけど、私も意地になっていた。
どうやって仲直りしたのか思い出せないが、その後、無事転職が決まった。
開放感に満ち溢れた私は、ついでに一人暮らしすることも突然決め、有休でスペインにひとり旅に行くことにもした。
当然またブチ切れられた。
「あんたの引っ越しは絶対に手伝わない。パパも私の夫なので手伝いません。」と母に先手を打たれた。
父からは「パパは、みかちゃんの引っ越しが手伝いたいので早めに仲直りしてください。」とLINEがこっそり着た。
母と大きな喧嘩をしたのはこの時が最後で、一人暮らしをしてからはとても平和にやっている。
昔から母とバトルするのは私で、要領の良い妹はほぼ喧嘩したのを見たことがなかった。
そんな妹も、24歳で結婚が決まり、母と「食器棚」を巡る壮絶なバトルを迎えていた。
2階で本棚にしていたオンボロの食器棚を「嫁入り道具に持っていけば?」と母が提案し、妹が「あんな汚い食器棚なんていらないよ~。」と答えたことが、母の逆鱗に触れた。しかし、妹も我慢してた思いが決壊した。
「私は、ママが薦める結婚式場にしてドレスも薦められるものにしたのに、どうしてこんな汚い食器棚をいらないって言っただけでこんなに怒られないのといけないの。」母は、2階に行き、妹は1階で泣いていた。
私は朝ごはんのパンを齧りながら2人のやり取りを見ていた。
これが次女の気持ちか。青山家はこの瞬間から、長女と次女が交代したんだなとふと思った。その後も、孫への「ひな人形」「七五三」「ランドセル」などあらゆる行事とそれに伴う母娘バトルを、妹が長女として経験した。
妹の結婚式が終わった後も、「親戚のやり取りとかでママは疲れちゃったから、みかちゃんの結婚式はハワイでやって欲しいわ~。」と言っていた。
とりあえず、明後日の方向を見て、聞こえないふりをした。
母の過激なエピソードばかり披露してしまったが、基本は母は家族想いのやさしい人である。
昨日のLINEは、「孫の写真でマグカップ第2弾を作ろうとしてるんだけど、どの写真がいいと思う?」
平和すぎる。私は平和で幸せな家族の元に生まれ育った。


「叔母になった〝幸せ〟」
私には、6歳の甥っ子と、3歳の姪っ子がいる。”ミチャカン”という世界一可愛い呼び名から、ここ数年で、”ミカちゃん”になった。
名前で呼ばせるタイプの叔母をしているが、さすがにいつか甥っ子には、おばさんって呼ばれるのだろうか。姪っ子はそのまま、ミカちゃん呼びのままなのだろうか。
おやつのカラフルなグミを手に並べて、色を仕分けしながら食べていたら、甥っ子も同じことをしていた。姪っ子は私がセーラームーンになりたかったように、プリキュアになることを夢見ている。
自分で産んでないが、同じ癖があったり、性格が似ていたり、とても不思議な気持ちになる。
母にはなれてないけど、妹のおかげで29歳で叔母になれた。

「〝幸せ〟に対する世間の声」
「家、ついて行ってイイですか?」では、楽しみながらも変わった暮らしを披露したので、批判も覚悟はしていた。
せめて同世代の独身女性に共感してもらえたらいいなと思っていた。
放送後に、エゴサ―チしてみたら「尊敬」とか「目標にしたい」とか「かっこいい」という言葉が目の前に飛び込んできた。言葉をくれた中には同世代の独身女性もいたが、男性も、子供がいる主婦の方も、少し下の世代の方も、上の世代の方もいた。
社会人3年目の会社の後輩は、「実は青山さんの毎月星野リゾート行くのに影響されて、俺レクサス買ったんですよ」と報告してきた。
私がいないところで、野菜ジュース論争が巻き起こっていたのにはさすがに笑った。「野菜ジュースは野菜じゃない、お砂糖まみれです。」⇒「この野菜ジュースは砂糖不使用です。」「野菜ジュースだけだと手が黄色くなります。」⇒「手が黄色くなるのはミカンです。」
改めて「家、ついて行ってイイですか?」は人気番組なのだと知った。








「既婚者への〝幸せ〟の押し付け」
書いていてふと気付いた。
「幸せになって欲しいんだよね」と浴びせられるがばかりに、私も逆に結婚している子に対して「めちゃくちゃ幸せじゃん!!私、35歳独身だよ?」みたいな自虐をしていた。
「幸せですよね?」の幸せの押し付けはしていたかもしれない。ごめんなさい。
25歳で結婚した2児の母の友達が言っていた。「今の夢は、ひとり暮らし」驚いた。まさかの角度の夢。結婚しても、子供が産まれても、幸せの永住権をもらえるわけではないのか。
「熟年離婚した祖母の〝幸せ〟」
去年、祖母が亡くなった。
私が小学校1年生あたりから遊びに行っても、祖父は家にいなかった。いつもいないとは気づきつつ、何でいないのかは、不思議と聞かなかった。
小学校4年生の時、近所のジョナサンに母と妹と行った。母から「おばあちゃん離婚したの。」と聞いた。
たぶん50代後半か60代になってからの離婚。祖父はすぐに別の人と再婚したらしい。
祖母は名字を変えずに、住んでた家を譲り受け、生涯そこに住み続けた。
ひとり暮らしが始まった祖母は、積み立てたお金で友達と海外旅行に行ったり、フラダンスを習ったり、カラオケしたり、食事は買ってきたお弁当で済ませたり、夫の介護の心配もなく、70歳過ぎからは、私たち家族と同居。80歳くらいまでは元気にとんかつも食べていた。
本当のところは祖母にしかわからないが、亭主関白だった祖父から解放されて、離婚後の自由を謳歌していた。
一緒に暮らしている時、ごくたまに祖父宛の郵便物(チラシ)的なものが届くことがあって、私は祖母の目に触れないよう、そっとゴミ箱に捨てていた。
祖母はいつでも笑顔でやさしかった。

「14歳のタイムカプセルから問う〝幸せ〟」
中学校の50周年で全校生徒で15年後の自分に手紙を送ろうというタイムカプセル企画があった。
14歳だった私たちは、教室に集まって、その時一番盛れてるプリクラとポスカで超可愛く葉書をデコりながら、29歳の自分へのメッセージを書いた。
記憶の中では、「29歳、結婚して子供は2人くらいいるかな!?」みたいなことを書いたような気がしていて、「あー、夢は叶わなかったなー。」と思いながら、29歳のタイムカプセルの開封式の時に向かった。
タイムカプセルから出てきた、14歳の自分からの手紙。

書いてなかった。29歳、結婚して子供は2人くらいいるかな!?なんて一言も書いてなかった。記憶が歪められていた。
代わりに、「29歳??は楽しいデスカ???これからも後悔しない人生を送って下さい。楽しいのが1番です♡♡♡Have a nice day♡」とあった。
「結婚」「出産」に関する自分への期待の言葉は一切なかった。29歳の時は、なんてのんきな手紙なんだと愕然としたが、35歳の今見たら、じんわりきた。あの時の自分へ返事を書いてみた。


2施設目の界ポロトに行った3人。
ずっとありがとね。MY FRIEND。
「同級生それぞれの〝幸せ〟」
「界ポロト」に一緒に行った親友3人は、数少ない独身仲間でもあった。
手を広げて、グレーのセーターを着ているこばちゃんが先日、交際3か月のスピード婚をした。
結婚式は、沖縄の宮古島。
夫婦で参加する子も、結婚している子も、子どもがいる子も、同棲している子も、独身の子も、私も、みんなそれぞれの人生を抱えながら、宮古島に集まった。
一緒に2泊3日遊んでたら、バッググラウンドは関係なく、中学生に戻ったみたいだった。謎の忍者ごっこ動画を撮っては、笑い転げた。
みんな”幸せ”だった。
改めて”幸せ”ってなんだろうなと思った。
その答えは、帰りの飛行機の中で読んだエッセイの中に、舞い降りてきた。
自由は、ひとりになることじゃなくて、誰といても自分でいられること。
誰といても自分の振る舞いたいように振る舞えることの方が、私がひとりで頑なに守ろうとしている自由よりも、もっと自由なのかもしれない。
宮古島で結婚式をした新婦も、一緒に参列した友達もみんな、結婚しようが子供を産もうが中学生の時と変わらなかった。
”自分”のままだった。
ママになっても劇団四季のミュージカルを年間30回行く。
ラーメンを年間何10杯も食べる。
絶対港区に住み続ける。
ずっと好きなお菓子はわさびのり。
それぞれのルールを貫いていて、我が友達ながらカッコいい。
類は友を呼ぶのは間違いない。
色々考えてひとつ辿り着いたのは、
「”幸せ”とは、誰といても自分でいられること」
というのが今のところ一番しっくりきた。
”多様性”ってこれか。
2023年は、私にとって”誰といても自分でいられる”を確立した記念の年だったのかもしれない。
そう考えると、私は歴代付き合ってきた彼氏の誰といても自分でいられなかった気がする。その原因を紐解いて直視したところで、なんの意味もなさそうだからやめておく。




「30代から挑戦する〝幸せ〟」
2021年の秋から、”星野リゾート全制覇”という目標を掲げ、毎月星野リゾートに行く生活をしている。
「毎月行って飽きないのか?」とよく聞かれるが、毎月ずっと鼻歌を歌いながら旅の準備をしている。
元彼への腹いせで始めたこの挑戦だったが、もうあれから2年以上経ち、すっかり腹いせの気持ちはなくなっている。
腹いせ、腹いせ、と割と気軽に使っていたが、そういえば、「腹いせ」ってどういう意味なのか気になって改めて調べた。
腹いせって復讐みたいな意味が強いのかと思ってたけど、実は諸説あるらしい。
「腹癒せ」…癒すという意味で立腹した腹を癒す、慰めるということで「腹いせ」。腹が立ったら八つ当たり行動をするのではなく、意識や視点を変えたり他にそらせること。
私の腹いせは、完全に”腹癒せ”の方だった。
しっくりきた。すごく気に入った。
四季折々の絶景を嗜む部屋。
食器までトータルデザインされた美しい夕食。
好きな時間に入れる温泉。
いつでも食べていいアイスキャンディー。
いつのまにか寝落ちするふかふかのキングサイズベット。
朝食後は、あったかいお茶も珈琲も。
溢れそうなほどの極上のおもてなしで、私たちを非日常に完璧にいざなってくれる。
社会人歴も13年近くになり、残業が重なると、何のためにこんなに働いているんだろうと自分を見失う日も増えていた。
「来月も星野リゾート行くために頑張る。」と働く理由がシンプルになるだけで、ぜんぶは無理だけど、少しだけ心が軽くなった。
「星野リゾート全制覇したい」という目標に向かって、美容院でのカラーやパーマも、大好きだったネイルも止めた。
終電を逃してタクシーで帰ることも、飲み会に行く回数も減らした。
ウーバーイーツのアプリはスマホから消して、玄米ごはんを週末に5合炊いて、冷凍した。
コンビニに行くのも、スタバに行くのも我慢していつも水筒を持ち歩くことにした。
星野リゾート全制覇のための”節約”も、一見切り詰めすぎて辛そうに思えるけど、やってみたら、自分にとって「必要なもの」「必要じゃないもの」の線引きがわかりやすくなって、前よりも暮らしやすくなった。
「これを我慢したら、もしや今月もう1施設星野リゾート行けるかも?」その計算が何よりも楽しい。数年後の目標を持って生きていくことへの快感は何にも代えがたいものだった。
お金はいくら稼ぐかよりも、使い方によって”幸せ”が決まるとはよく言ったもので、ほんとその通りだった。
「そんな無駄使い今すぐ止めた方がいい。」「将来どうするつもり?」「だから結婚できないんだよ。」みたいな周囲からの現実パンチに備えていたけど、そういうことを言ってくる人は、ほぼいなかった。
逆に「星野リゾートのおすすめどこですか?」「星のや京都、この前行ったよ!」「次どこ行くの?」と話しかけてもらえることの方が増えた。
なんだ、いいのか。
堂々と胸を張ればいいのか。

「幸せについて、本気出して考えてみた。」の歌詞
ポルノグラフィティーのあの曲の歌詞を20年ぶりに検索してみた。
曲の最後に、「僕は大好きな幸せの種を手に入れた。」とあった。
「大好きな幸せの種」=「君」。
なんだ、2002年のラブソングだったのか。
いや…「大好きな幸せの種」は、「君」でもいいし、「君」じゃなくてもいいんじゃないか。
マッチングアプリで「君」を探さないと幸せになれないかと呪われていた。
決める自由が、私たちにはある。
星野リゾート全制覇は、現在43/60を達成。
だんだんゴールが見えてきた。
私は、今幸せだ。
▼達成の記録(2024.07時点)
【リゾナーレ】全7施設
✅リゾナーレトマム
✅リゾナーレ小浜島
✅リゾナーレ熱海
✅ リゾナーレ八ヶ岳
✅リゾナーレ大阪
□リゾナーレ那須
【星のや】全7施設
✅星のや 東京
✅星のや 竹富島
✅星のや 沖縄
✅星のや 京都
✅星のや 軽井沢
□星のや 富士
【界】全24施設
✅界 ポロト
✅界 鬼怒川
✅界 アンジン
✅界 川治
✅界 別府
✅界 阿蘇
✅界 由布院
✅界 仙石原
✅界 津軽
✅界 松本
✅界 霧島
✅界 玉造
✅界 出雲
✅界 アルプス
✅界 伊東
✅界 日光
□界 遠州
□界 加賀
□界 長門
□界 雲仙
□界 箱根
【OMO】全16施設
✅omo3東京赤坂
✅omo7大坂
✅omo5京都祇園
✅omo5京都三条
✅omo3京都東寺
✅omo3浅草
✅omo関西空港
✅omo5沖縄那覇
✅omo5東京大塚
✅OMO5東京五反田
✅omo5小樽
✅omo3札幌すすきの
□omo7旭川
□omo5熊本
□omo5金沢片町
□omo7高知
【BEB】全3施設
✅BEB軽井沢
□BEB土浦
□BEB沖縄瀬良垣
【独立系】全5施設
✅磐梯山温泉ホテル
✅1955東京ベイ
□青森屋
□奥入瀬渓流ホテル
□軽井沢ホテルブレストンコート
□西表島ホテル
<2026.04.08追記>
ついに、ついに、ついに、ついに、、、
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📚<編集部よりご紹介>
失恋をきっかけに星野リゾート全制覇を思いつき、その総額400万円のための節約術を編み出していった著者。全制覇の過程で湧き上がる仕事・恋愛・友人関係といった、尽きない悩み。読めば元気をもらえる、前代未聞の旅行ガイド✕節約術✕エッセイ集。創作大賞2025(note × TALES主催)朝日新聞出版賞受賞作!
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