Photo by
uzumakifuuko
紺碧に透く宇宙
玄関の扉を開けると
そこはもう宇宙の入り口だった。
少しだけ 空に近いこの場所では
夜が来ると 地上と空を分かつ境界線が
溶けてなくなる。
影を落とす建物や木々のシルエット以外は
すべてが 星たちのまどろむ巨大な海になる。
かつては 遠くの街の煌びやかな明かりに
心惹かれ 羨んだ夜もあったけれど。
今は 知っている。
この手に届きそうなほどの静寂と
遮るもののない ありのままのまたたき。
それが どれほど贅沢な贈りものであるかを。
見上げるのではなく
星々の中に 私がいる。
冷たく澄んだ空気を 吸い込めば
都会の騒音に かき消されていた
「本当の私」が ゆっくりと
深い場所で呼吸を始める。
何もない。
けれど、すべてがある。
高台の玄関先に立ち
この広大な夜を独り占めする。
ここが 私の帰る場所。
紺碧に透く宇宙に
一番近い 私だけの特等席。
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