無添加じゃなきゃと思うほど苦しくなる理由
富士宮で13年、食の商社を経営。お客様満足度97.1%、お母さんたちの口コミで広がり続けている無添加のソーセージなどの加工食品の通販「おもいやり便」を運営しています。4児の母として30年以上のアトピーを食で改善した経験から生まれたこのサービス。無添加が当たり前の世界と、子どもの笑顔があふれる日本を残したい。そんな想いで、食と子育てのことを発信しています。
土曜日の夕方。 ママ友の家での持ち寄りパーティー。 テーブルの上には、カラフルなお菓子と、市販のジュース、唐揚げのパック。
子どもが「これ食べていい?」と、目を輝かせて私を見上げる。 ほんの一瞬、頭のなかで「添加物が…」と思ってしまう自分。
「いいよ、楽しんでね」と笑って答えながら、心のどこかが落ち着かない。 帰り道、子どもは「楽しかったー」と満足げ。 私だけが、なんだかぐったり疲れている。
夜、お風呂につかりながら、ぽつんと思う。 「無添加にしようと思っただけなのに、なんでこんなにしんどいんだろう」。
「無添加じゃなきゃ」が、自分を追い詰める
無添加を意識しはじめると、最初は前向きな気持ちで始めたはずなのに、いつのまにか苦しくなる時期があります。
スーパーで買えるものが減る。外食が怖くなる。よその家でいただくお菓子に身構える。 子どもが楽しそうに食べているのに、自分だけが心の中でジャッジしている。
そして、無添加を続けようとすればするほど、こんな感情が湧いてきます。
「ちゃんとできていない自分」が情けない。 「外で食べさせてしまった」ことに罪悪感。 「みんなと同じものを子どもに与えられない」ことの孤立感。
無添加を始める前より、心が疲れている。 これが、無添加で苦しくなる人が必ずぶつかる壁です。
苦しくなる、本当の理由
なぜ、健康のために始めたはずのことで、こんなに心が消耗するのか。
理由は一つです。 「無添加」を、ルールにしてしまっているから。
ルールにすると、必ず「守れた」「守れなかった」が生まれます。 守れた日は安心、守れなかった日は罪悪感。 この二択しかない世界で生きていると、どんなに頑張っても疲れます。
無添加は、本来「ルール」ではありません。 「家族が長く健やかでいられるように、できる範囲で選ぶ」という方向性であって、合格・不合格を決めるテストではないんです。
ここを取り違えると、無添加は途端に重たい荷物になります。 子どもの楽しい時間まで、自分のルールで取り上げそうになる。 ママ友の好意のおすそ分けに、心の中で身構えてしまう。 これは、家族みんなにとって苦しい状況です。
私も、無添加に縛られて家族を息苦しくさせかけました
私は30年以上、ひどいアトピーでした。 結婚して子どもを授かろうとしたとき、何度も流産をして、医師からは「自然妊娠は難しい」と言われました。
そこから食を見直し、無農薬や添加物の少ないものを選ぶ生活に切り替えました。 気づけば自然に子どもを授かり、4人の子どもたちに恵まれました。
ただ、上の子が幼稚園に上がる頃、私は完全に**「無添加じゃなきゃ」の人**になっていました。
お友達の家で出されたお菓子を、心の中で警戒する。 保育園のおやつ表をチェックして、毎月一喜一憂する。 親戚からのお土産のお菓子を、こっそり処分しようかと考える。 子どもが「みんなと同じものが食べたい」と言ったときに、嫌な顔をしてしまう。
ある日、夫に言われました。 「君は何のために無添加を始めたの?子どもを守るためだよね。今、子どもの心、守れてる?」
ハッとしました。 私は「健康」というゴールを目指していたはずなのに、いつの間にか「無添加であること」自体が目的になっていた。 そして、子どもの楽しい時間も、家族のゆったりした空気も、自分のルールで削っていた。
そこから、考え方を切り替えました。 「無添加」をルールではなく、「方向性」に戻す。 家のなかでは選ぶ。外では楽しむ。 完璧を目指さず、続けることを目指す。 これだけで、家族みんなの空気が、ふわっと軽くなりました。
「家のなかだけ」を整える
無添加で苦しくなっている方に、いつも伝えていることがあります。
頑張る場所を、家のなかだけに絞ってください。 外食、お友達の家、旅行先、イベント。これらは「楽しむ場所」と決めて、ジャッジを手放す。 そのかわり、家のなかでは、信頼できるものを選ぶ。
この線引きをすると、無添加が驚くほどラクになります。
頻度の高い「家のごはん」だけにこだわれば、体に入ってくるものの大半はカバーできます。 外で食べる数回のお菓子で、子どもの健康がひっくり返ることはありません。 それより、家の中でいつも温かく、肩の力が抜けていることの方が、よっぽど大事です。
市販の無添加品を探し回ったこともありましたが、「美味しくなくて家族が食べない」「それなのに高い」という壁にぶつかりました。 それなら自分たちで作ろう、と夫と始めたのがおもいやり便です。
夫は食材の商社を十数年やってきて、食品加工の裏側をよく知っていました。 富士幻豚という希少な豚肉を、塩だけで仕上げたソーセージ。化学調味料も、保存料も、砂糖も入れていません。
冷蔵庫に「これだけは安心」と思える一品があるだけで、外で何を食べても気にしすぎない自分になれます。 家の中心にちゃんとした柱があるから、外ではゆったり笑っていられる。 そういう余白を、毎日の食卓に持っておいてほしいんです。
「無添加じゃなきゃ」と思うほど苦しくなっているあなたへ。 無添加は、ルールじゃなくて、方向性です。
家のなかだけ整える。外では楽しむ。 完璧じゃなくていい。続けることを目指す。 そして何より、自分と家族の笑顔を、無添加のルールで削らないでください。
今日もお疲れさま。 肩の力を抜いて、ゆるく、長く、いっしょに続けていきましょうね。
