【Audible本の紹介77】日本人だけが知らないシン・華僑の教え(新井亨ほか)
今回紹介するのは、海外でゼロからビジネスを立ち上げて世界中で成功を収めている「華僑」について書かれた本です。
本書でも取り上げられている台湾の鴻海精密工業やタイのCPグループのほか、YouTubeやzoom、TSMCなども華僑が発祥の企業のようです。
時代にあわせて進化する、最新の華僑を「シン・華僑」と位置付け、そのビジネスへの考え方を、日本企業との比較を交え、解説しています。
著者の新井さんは中国でもビジネスを行う実業家で、共著者の鄭さんは、シン・華僑の一人である、日本で活躍する中国人実業家とのことで、リアルな表現が多く使われています。
2025年7月の発行で、2026年1月にはAudibleにもなっています。
自分は、華僑に興味があったので、今回、Audibleで聞いてみました。引き込まれる内容で、シンプルで分かりやすくて、具体例が多く、飽きさせず、しっかり聞き終えることができました。
1 本書のポイントのまとめ
(1)華僑ビジネスが世界で成功している共通点
①(一次情報の直接入手を重視して)現地市場のニーズを把握する、②小さくスタートし大きく成長させる、③現地事情に合わせてローカライズ戦略をとる、の3つを徹底している。
(2)華僑ビジネスの考え方
ビジネスをシンプルに考え、利益=売上ー費用を純粋に追及する。
(3)華僑のお金に対する姿勢
日本人はお金を稼ぐことに、なんとなく後ろめたさを感じるが、華僑は、お金を単なる「紙幣」ではなく「どれだけの人に喜んでもらえたか」の証(感謝の対価)と捉える。
そのため、「お金を稼ぐこと=社会に大きく貢献すること」というポジティブなマインドセットを持っている。
(4)華僑が「金」「不動産」「上場株式」を買う本当の理由
金、不動産を買って得られるメリットは信頼の獲得。投資は、外国人が信頼を得るための「戦略的な資産運用」である。
上場株式を大量に保有するのも同様に信頼の獲得。資産は、自動的に儲かる仕組みづくりにもつながる。
(5)華僑の、人脈を資産に変える「信頼構築」術
華僑がゼロから人脈を構築できる秘密は、「自分と付き合うとこんな良いことができる」という姿勢で、まず相手への「ギブ(与える)」から入ることにある。
(6)華僑の考えるリスク管理の本質
知人経由の紹介ネットワークを活用し、人脈を作ることにより、だまされるリスクを減らす。
また、将来にわたり、確実に儲けることができる仕組みとして、ストック型ビジネスを目指す。
(7)華僑にとって、法人とは何か?
法人は利益を出しつつければ、永続できる存在。華僑は会社を資産を築くための場として活用している。
また、前述のとおり、お金を稼ぐことが善であり、稼ぐことで社会に大きく貢献することができると考える。
(8)華僑の社員や経営への考え方
華僑では、社長と社員の距離が近い。現場の声を大切にし、現場に裁量権を与える考え方。また、社員や取引先の家族を大切にする文化がある。
会社経営上は、リスク管理の観点で、固定費のウエイトを増やさないようにする一方、売上につながる変動費には寛容な態度を示す。
雇用する際も、正社員の採用だけでなく、業務委託とすることを選ぶ。歩合制を採用することが多く、成果に応じて大きな報酬を支払うこともある。
2 感想
以前ロシアのウラジオストクで暮らしたとき、「中国市場」とよばれる巨大な庶民向け露店の市場がありました。
地理的に近い中国とはいえ、そこまで人口の多くもないロシア極東に国境を越え商売に来る中国人はすごいな、と感じました。
なお、中国人は別格としても、ロシアでは、韓国企業の方が日本企業よりも、ずっと積極的に外国ビジネスに取り組んでいました(ただし、リスクも大きかったはず)。
このような背景もあり、華僑には昔から関心がありましたが、今回はじめてまとまった内容を読みました。自分の持っている華僑のイメージを覆す部分もあり、興味深かったです。
若い著者が直接経験したことを元に、「シン・華僑」という表現で、華僑の今を伝えようとする姿勢も印象的でした。
【参考①】本書を紹介するnote記事(出版社)
【参考②】本書を紹介するnote記事(タルイタケシさん)
【参考③】本書を紹介するウェブ記事
