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Qwen-Imageは何がすごい? Flux.1 Kreaと比較する次世代画像生成AI|建築ビジュアルCG × AI活用法㊵

こんにちは、STUDIO55技術統括の入江です。

生成AI市場の進化は目覚ましく、2025年は「用途特化型モデル」の台頭が顕著になっています。
とりわけ プロ志向の視点 は、大型AIモデルに共通する特徴として際立っています。
一方で、AIポータルサイトに組み込まれるモデル群は、主に 一般向けSNS利用を想定したビジュアル生成 を中心に展開されており、テンプレート形式での提供が目立ちます。
このように、分野ごとに “目的を持ったAI” が実用化される動きが鮮明になっています。

中でも、Alibabaの AIチーム「Qwen」が発表した最新の画像生成AIモデル「Qwen-Image」は、リリースと共に特に高い注目を集めました。

8月4日に登場した Qwen-Image は、「OpenAI や Flux 超え」と話題になり、7月31日に公開された「Flux.1 Krea」と並び、現在のAI界隈を大きく揺さぶる存在となりました。

本記事では、この両者の違いを比較すると共に、Qwen-Image が注目される理由と、その "使用目的" を明確にします


🧠 Qwen-Imageの主な特徴

画像参考: qwenlm.github.io

Qwen-Image の主な特徴は、以下の4点です。

1. 高精度なテキスト描画能力

Qwen-Image は、複数行にわたる 中国語 や 英語 の文章を含む画像の生成において他の画像生成AI を上回る精度を誇ります。特に中国語のテキスト描画においては、他のモデルと比較して優れた性能を発揮しています。

2. 多言語対応と高い柔軟性

英語と中国語を組み合わせた複雑なプロンプトにも対応可能で、アニメスタイルやリアルな風景、インフォグラフィックなど、幅広いスタイルで画像を生成 することができます。

3. 高度な画像編集機能

スタイル変換、オブジェクトの追加・削除、詳細の強化、テキスト編集、キャラクターのポーズ調整など、プロンプトのみの直感的な操作でプロフェッショナルな画像編集が可能 です。

4. オープンソースと高いアクセス性

Qwen-Image は オープンウェイトのモデル として公開されており、誰でも無料で利用できます
Hugging FaceModelscope などのプラットフォームを通じてアクセス可能です。

🎯高精度なテキスト描画能力

従来の画像生成AIは、テキスト描画が苦手という弱点を抱えていました。
先ず、Qwen-Image の特徴の筆頭に挙がるのが、この長年の課題を克服した点にあります。

その実現を支えるのが、Qwenチームが開発した 「マルチモーダル拡散変換器(MMDiT)」 です。
精密なビジュアル表現と複雑なテキストレンダリングを分離して処理し、それぞれに最適化されたウェイトを適用することで、従来では不可能とされてきた領域に踏み込むことに成功しました。

テキスト描画に対応した生成AIとして「Flux.1 Kontex」があります。今年 5月29日に登場した、異次元の画像編集機能を備えたモデルです。
ただし、同じテキスト描画対応でも「Flux.1 Kontex」は対応言語や用途の範囲が異なり、そもそも「Qwen-Image」とは、使用する目的が別物です。

多くの生成AI が「いかに高品質な画像を描くか」に注力するなか、Qwenチームはあえて テキスト描画にこだわる戦略 を選びました。

その背景にある狙いとは何なのか?

次に実際のテスト事例を通して性能を確認しながら、Qwen-Imageがもたらす具体的なメリットを掘り下げていきます。

🔥Qwen-Image vs Flux.1 Krea

ComfyUI を使って、「Qwen-Image」と「Flux.1 Krea」の生成画像を比較してみます。

ComfyUI 関連のリンクは以下です。


🔗関連リンク

画像参考: comfyanonymous.github.io
画像参考: huggingface.co

以下のプロンプトを共通で使用します。

This image, inspired by the cover of a prestigious international architecture magazine, features a slender young female model posing. Realistic. Photorealistic. High quality. A famous building is in the background. The magazine title and headline are as follows:Title: AI ArchiBizFeature Article: 3D Gaussian SplattingGaussian Splatting is a novel 3D reconstruction and rendering technique that represents scenes using a collection of 3D Gaussians.Catchphrase: Architectural Applications of AI Visual GenerationAlso used to create QR codes and other images.

「Flux.1 Krea」
「Qwen-Image」

🔹 Flux.1 Krea

Flux.1 Krea」は、プロンプト指示以上の秀でたアレンジの適応が見られますが、テキストはあくまでイメージとしての描画で文字としての正確さはありません。

「Flux.1 Krea」で生成した画像

🔹 Qwen-Image

それに対し、「Qwen-Image」で生成した画像では、指定した文字がはっきり描かれており、レイアウトも美しく配置されています。

「Qwen-Image」で生成した画像
(左) Flux.1 Krea    (右)Qwen-Image

テキスト表現に関しては「Flux.1 Krea」であっても精度は高くありません。グラフィックデザインの参考として利用するには十分ですが、文字まで正確に再現したい場合 には「Qwen-Image」が適切といった判断になります。

✅日本語対応とプロンプト性能について

Qwen-Image の優れたテキストレンダリングは、英語などのアルファベット言語と中国語などの表意文字言語の両方を高い忠実度でサポートします。
残念ながら 日本語ではうまく反映されません

文字が反映されるのは嬉しいことですが、手放しで喜べる状況ではありませんね(苦笑)。

日本の建築雑誌風に生成

若くて可愛いアジア系女性が白いTシャツに「STUDIO55」のロゴを着て、ホワイトボード用マーカーを片手に明るく笑顔を見せている。背景の大きなホワイトボードには「Support Your Design」と英語で書かれ、その下にデザインデータ可視化、建設・建築データ可視化、仮想現実可視化=メタバースを実現致します。のサービス内容が手書きされている。清潔なオフィスまたはスタジオ環境、プロフェッショナルな照明、明るく親しみやすい雰囲気。高品質でフォトリアリスティックな画像。

プロンプト
英語と日本語を使った文字の生成
日本語ではバグります💦
英語と中国語を使った文字の生成
中国語は大丈夫👌
すべて英語で文字の生成
もちろん、OK👌

したがって、テキスト生成は英語か中国語を主に使用するのが適切です。

👉プロンプトスコアの高さについての補足
英語と中国語に対応する「Qwen-Image」は、テキストの描画生成においてトップスコアをマーク しています。
下の可視化されたスコアで、最も濃い青色が「Qwen-Image」です。
T2I リーダーボードで常に上位につけている ByteDance Seedの「Seedream」よりすべてにおいて上回り、1部のテストで「GPT Image [High]」を超える性能の高さが示されています。

画像参考: qwenlm.github.io

✨「高い編集機能」の前提となる基本認識

Qwen-Image の最大の強み は、強化された マルチタスク訓練パラダイム にあります。これにより、編集操作においても意味的内容を失わず、同時に視覚的リアリズムを保つことで、一貫性のある高品質な画像編集を可能 にしています。

Qwen-Image で画像編集を行うには、「Qwen-Image」とは別に「Qwen-Image-Edit」を使用します。

画像参考: modelscope.cn

Qwen-Image-Edit は、すでに ComfyUI での使用が可能です。
無制限で活用ができるため、注目の高い使用方法の1つとなっています。

ComfyUI ワークフロー
背景を "森" に変更した画面

Qwenとは何かを知っておく

Qwen-Image-Edit の編集性能の高さを知る上で、先ず "Qwenとは何か" から知っておくと理解が深まり、立ち位置がより明確になるかと思います。

画像生成AI「Qwen Image」で注目が集まった Qwen(クウェン) は、そもそも Qwenシリーズ(Qwen1.5, Qwen2, Qwen2.5、Qwen3 など)として、Alibaba(アリババクラウド)傘下の 通義千問(Tongyi Qianwen) プロジェクトによって開発された LLMファミリー大規模言語モデル群)です。

特に Qwen3 は最大 1兆パラメーター級という桁違いの規模を誇るAIモデルとして世間を騒がせ、いまだに Redditを始めとするコミュニティで日々注目のやりとりが見られます。

reddit.com/r/Qwen_AI

中国のスタートアップ「Moonshot AI(月之暗面)」が開発した大規模言語モデル「Kimi-K2」は、1兆パラメーター級の次世代LLM として、最新のアップデート(Kimi-K2-Instruct-0905)を機に再び注目を集めています。
これまで主流だった数千億パラメーター級モデルを大きく超える存在の、こうした “超大規模AI” の先駆けとなったのが Qwen です。
それが、マルチモーダル展開の一環として、「Qwen-Image(生成系)」、「Qwen-Image-Edit(編集系)」を公開した── という流れです。

Qwen-Image-Edit」は ComfyUIワークフローにも統合され、ローカル利用や共有が可能な展開を見せてきましたが、元々は Qwenシリーズの LLMを使った ChatGPT的なチャッボット「Qwen Chatで使用することができるものです。

chat.qwen.ai

上の「Qwen Chat」の 画面を見て分かるように、通常のチャットボット機能の他、「画像生成」「画像編集」「動画生成」「ウェッブ開発」等々、さまざまな マルチモデル選択が可能 となっています。

ChatGPT や Gemini は通常、裏側で1つのモデルが選ばれて使われますが、Qwen Chat は複数モデルをユーザーが切り替えて使える のが特徴です。

加えて、「深い思考」をデフォルト機能とし、「QwQ」「QVQ」など推論特化モデルを早期に取り入れるなど、リソースを動的に最適配分する効率的な LLM として他社をリードしました。

深い思考」によるトークンのコントロール

AI によるコード編集の能力を測る Aider のベンチマーク では、 GPT-4o などと肩を並べて Qwen2.5-Coder:32B が上位にランクインしており、Reddit などのコミュニティでは、Qwenモデルが高い評価(2位)を受けているといった投稿も見られました。

reddit.com

このように、優れたLLM をベースにした Qwen-Image-Edit の画像編集機能は、セマンティック編集(視点変更・文字修正・局所変更)に強いのが特色です。

Black Forest Labs (BFL) が公開した Flux.1 系モデルの派生である Flux.1 Kontext が、あくまで 編集特化ではなく、画像生成にテキストコンテキストを強く反映する生成モデル であるのに対し、Qwen-Image-Edit は プロンプトのみで意味的(セマンティック)変換が可能 で、LLM(Qwenファミリー)との統合により、自然言語理解を活かした高精度な編集が可能なのが特徴となっています。

Qwen Chat による「画像編集」例

では、Qwen Chat を使用した参考をいくつか挙げていきます。

下の Qwen-image で生成した画像を使い、背景の建築内容を、ガウディのカサ・ミラに変更します。

テキストで、"背景をアントニ・ガウディのカサ・ミラに変更" と、直接日本語入力で指示します。

ガウディ Casa Milà 建築風に変更

見事に背景だけが指示通り カサ・ミラ に変更されました。

続けて、モデルのポージングを変更してみます。
"手を腰にあてる" ポーズ で指示します。 

モデルの服、テキストの「AI」の文字カラーを変更。

さらには、モデルの服装をクラシカルな佇まいの黒ジャケットとベージュのプリーツスカートを組み合わせ、優雅で上品なコンサバスタイルに変更。
それに合わせてタイトルは黒 とします。

さまざまなスタイルへと変化させることも可能です。

ジャパニーズアニメ
サイバーパンク
バウハウス
インフォグラフィック

これらの作例は、すべてプロンプトで指示を与えただけです。

このように、マスク不要でテキストだけで精緻な画像編集ができる セマンティック編集 という観点では、現状 Qwen-Image-Edit は他モデルより優位な特徴を持ってリリースされました。

Qwen Chat の利用回数と制限

Qwen Chat は、未登録の状態では利用回数に制限がありますが、登録することで十分満足できるレベルの利用が可能になります。私自身もまだ細かな制限の有無を確認中ですが、すでに非常に便利に活用できています。

Qwen Image Edit(特に Qwen Chat 上で提供されている「Image Editing」機能)の使用回数については、公式には明確な情報がありません。
ただし、コミュニティでは次のようなコメントが報告されています。

“Pictures you can generate, I would say roughly 20 or a bit more a day. Videos, I’d say less than 10. I have the feeling it changes as well depending on load. But most of the time, I use Qwen 2.5 Plus, and I haven’t seen any limits there so far.”
(直訳)
生成できる写真は、1日に20枚かそれ以上でしょうか。動画は10枚以下くらいでしょうか。負荷によっても変わるような気がします。でも、私はほとんどの場合Qwen 2.5 Plusを使っていますが、今のところ制限を感じたことはありません

Redit

あくまで個人の体験に基づく話ではありますが、実用上の参考になります。

🔑Qwen-Imageは商用利用できるのか?企業導入に向けたライセンス解説と活用例

なにかと「Flux.1 Krea」等と比較されることがある「Qwen-Image」ですが、結論として、その明確なメリットはどこにあるのでしょうか?

生成画像のクォリティの高さ幅広いスタイル変化テキスト描画の実現優れた編集機能 ── このような性能面についてのメリットはすでに理解できました。

その上で、Qwen-Image を選ぶ決定的な理由は、じつはこれらの精度に加えて 商用利用に対して自由度が高い点 にあります。

🔸Qwen-Imageのライセンス

Qwen-Image は オープンモデル として公開され、ライセンスは Apache License 2.0 です。
これはオープンソースの中でも最も寛容なライセンスの 1つであり、以下のようなビジネスメリットがあります。

  • 商用利用可能:追加コストなしでサービスや製品に組み込み可能

  • 改変・再配布可能:独自ブランドの生成AI機能を展開できる

  • 法的リスクが低い:OSSとして実績豊富なライセンスで安心

これにより、企業は安心して生成AIを自社プロダクトや業務に統合できます。
※注意点は、再配布や商用利用の際に「著作権表示」や「ライセンス表記」を残す必要がある、という点です。

🔸Flux.1 Kreaとのライセンス比較

一方、Black Forest Labs(BFL)による「Flux.1 Krea」は 非商用ライセンス(Devモデル) を適用しており、モデル自体の改変や再利用は制限されています。
商用利用する場合には、別途商用ライセンスの取得 が必要となります。

📌なぜ Qwen-Image が注目されるのか ──その目的と強み

結論としてまとめると、プロフェッショナル向けの商用AIモデル「Qwen-Image」は、その柔軟性ゆえに 導入ハードルが低く、アイデア次第で 幅広いビジネス展開へ直結できることが大きな特徴 です。
これは「FLUX」モデルとの大きな違いとして、Qwen-Image が注目を集める理由です。

さらに、ブランドロゴやテキストを高精度に描画できる機能は、メーカーをはじめとする実務利用で威力を発揮するメリットとなります。Qwen チームが「テキスト描画」にこだわった理由も、この視点から捉えると理解しやすくなります。

「Qwen-Image」は商用利用を前提としたプロフェッショナル向けモデル であるということです。

では、具体的にどのような活用が期待されるのか、以下に、思いつくアイデアを一覧で挙げてみます。


📝企業での活用事例

1. 広告・マーケティング業界

  • キャンペーンごとの広告ビジュアルを即時生成

  • SNS投稿用の画像を自動生成し、制作工数を削減

  • ブランドロゴやスローガンを正確に組み込めるため、テキスト描画の正確性 が強み

2. EC・小売業界

  • 商品画像のバリエーションを自動生成(色違い・背景違い)

  • 季節キャンペーンに合わせた販促用素材を迅速に制作

  • ユーザーごとのレコメンドに合わせた「パーソナライズド画像」も可能

3. SaaS / アプリ開発

  • Qwen-Imageを自社サービスに組み込み、ユーザーに画像生成機能を提供

  • 例えば ECプラットフォームに「自動商品写真生成」を搭載するなど、新しい価値を付加

4. メディア・出版業界

  • 記事のアイキャッチ画像を短時間で生成

  • 雑誌や Web特集のイラストカットを外注せずに内製化


📈導入メリット

  • コスト削減:有料APIサービス依存から脱却

  • スピード:制作リードタイムを短縮

  • 差別化:独自のブランドやサービスに生成AIを統合できる


このように、生成AIを「研究用」から「実務・商用」へとシフトさせるうえで、Qwen-Image は有力な選択肢のひとつです。

企業の競争優位性を高めるツールとして、今後さらに注目が高まることは間違いない でしょう。

⚖️精度と自由度、その両輪を備えた生成AI

2025年の生成AI市場は、プロフェッショナル志向が一段と強まっています。モデルの精度や表現力に加え、ビジネス導入を意識したライセンスや運用のしやすさが重要な評価軸となりつつあります

そうした中で登場した Qwen-Image は、Apache 2.0 に基づく自由度の高いライセンスを採用し、商用利用のハードルを大きく下げています。高度なテキスト描画・編集機能に加え、コスト面や法的リスクの低さからも、企業にとって即戦力となる生成AIモデル です。

「精度」と「自由度」を兼ね備えた Qwen-Image は、プロフェッショナル利用が主流となる今年の生成AIトレンドを象徴する存在であり、商用展開を志向する企業にとって極めて有力な選択肢 と言えるでしょう。