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10月2日 国際非暴力デー 【SS】オヤジ狩り

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 国際非暴力デー

2007年(平成19年)6月の国連総会で制定。国際デーの一つ。英語表記は「International Day of Non-Violence」。

この日はインド独立運動の指導者で、非暴力を説いたマハトマ・ガンディー(1869~1948年)の誕生日であり、この国際デーはそれに由来する。また、この日はインドでは「ガンディー記念日」という国民の祝日になっている。
この国際デーは、「教育や国民意識を高める運動を通して非暴力のメッセージを広める」ことを目的としている。また、「非暴力の原則の普遍的意義」および「平和、寛容、理解および非暴力の文化を実現する意思」を再確認する日である。この日には国連事務総長により声明が発表される。


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【SS】オヤジ狩り

 毎日遅くまで仕事をしているエンジニアがいた。石上三年いしのうえ みとしという今年五十歳になる男だった。もうすぐシステムが完成するというところまで来ていたので、毎日が確認のテストに追われていたのだ。帰るのはいつも終電近くになってしまっていた。システムが完成した後は、長期の休暇を取得する予定だ。それを目標に今は我慢して残業の日々を送り、システムの品質を上げる努力をしている。

 石上は、いつものように残業して、何とか終電に間に合う時間に会社を出て、最寄り駅までの暗い歩道をトボトボと歩いていた。疲れのせいか年のせいか少し猫背になり、いかにも疲れているという雰囲気を醸し出しながら歩いている。

「ガツン」

 石上の後頭部で鈍い音がして、意識が遠のいて行くと同時に体制を保つことが出来なくなった。崩れるように前のめりに倒れ込んでしまった。どこか遠くから、複数の声が聞こえているような感じがしている。

「オイ。このオヤジ大丈夫だろうな。まさか死んじゃうってことないよな」

「ちょっと強く殴りすぎたかな。でも、大丈夫だろう、多分。早く財布とカバンを取っていこうぜ」

「あっ、向こうから何人か人が近づいてくるぞ。早くズラかろう」

 どうやら石上はオヤジ狩りの餌食になってしまったようだった。だが、本人は意識を失って暗い歩道で倒れている。オヤジ狩りをした若者はすでに逃走した後で、石上が倒れているだけだった。何人かの男性が話をしながら近づいてきた。歩道は街路樹のせいで結構暗い道になっていたので、人が横たわっていても近づくまで気づかない。すぐそばまで近づいた時、話をしていた中の一人が石上に気づいた。

「あれ、人が倒れてるんじゃないか」

「えっ、あっ、本当だ。一体誰だろ、あれ、石上じゃないのか」

「石上だ。オイ、石上、大丈夫か、どうしたんだ」

 近づいてきたのは、石上の同僚たちだった。石上は意識が戻り、ズキズキする後頭部を抑えながら起き上がった。

「ああ、みんな。いきなり後ろから殴られて気を失ってしまったようだ。頭がガンガンするよ」

「とりあえず、救急車を呼ぼう」

 こうして、たまたま後ろから歩いて来ていた同僚たちに助けられ、財布とバッグは取られたものの後遺症が残ることもなく仕事に復帰することができた。しかし、石上としては、悔しくて仕方がなかった。かと言って喧嘩には自信がないし、腕力もない。そこで、助けてくれた同僚たちと話し合いをしていた。

「何とかして、こんなことが二度と起こらないようにできないかな」

「うーん。あの歩道は暗いからな。もう少し明るくなるといいかもな」

「ただ、夜は人通りが少ないから、明るくするだけじゃなく、カメラとか設置した方がいいよ。それも、監視カメラがありますよって分かるように」

「なるほど。明るすぎるのは近隣の住宅に迷惑だから、気にならないくらいの明るさが必要だな。よし、市役所に掛け合ってみようか。そのために、署名を集めようよ」

「それはいいな。署名を集めて設置依頼を行政に提出しよう」

 こうして、おじさん主導の署名活動が始まり、近隣の住人の署名、会社内の全社員の署名などが集まり、無事提出することができた。その間にも、近くの暗い歩道ではオヤジ狩りが発生していた。どうやら、同じグループが場所を変えて犯行に及んでいるようだった。警察も遅まきながら動き出し、パトロールの強化が実施された。

 石上たちも自衛策として、集団での帰宅を心がけたり、一人の時はタクシーを利用することを実施した。会社側も協力的でありタクシー代の負担もしてくれることになった。

 それでも小遣い欲しさにオヤジ狩りは止まることなくあちこちで繰り返されていた。流石に警察も本腰を入れて捜査をし始め、グループが特定された。そして、遂に逮捕の瞬間が訪れた。なんと、このグループは、石上が襲われた歩道に再度現れたのだった。高校生三人のグループだった。歩道の途中の暗がりに身を潜め、一人で歩いてくる男性を待ち伏せしていたのだ。そこに、私服でパトロールしている警官が歩いてきた。少し離れて数人の警官が歩いている。

 獲物が来たと思い、思わずニヤリとした高校生が歩道に飛び出してきた。同時に金属バットを振りかざして襲い掛かろうとした。その時、私服の警官は金属バットを上手くかわし、羽交締めにした。残りの二人がさらに襲い掛かろうとした時、後ろから来ていた数人の警官が走り込んで取り押さえたのだった。

「放せ、バカやろー。殺すぞ〜」

 動けない状態になってもまだ、強気な発言をしていた。そのうち手錠をかけられてしまうと観念したのか一様におとなしくなった。一連のオヤジ狩りはこの高校生グループの仕業だったらしいのだが、このグループをヒーロー化している中学生も数人存在していたことも判明した。犯罪を犯すと必ず自分の身に後悔と償いという形で戻ってくるのだということを学んで欲しい。


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