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9月7日 絶滅危惧種の日 【SS】密猟

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 絶滅危惧種の日

オーストラリアではこの日が「絶滅危惧種の日」(National Threatened Species Day)として制定されている。

この記念日は、1936年(昭和11年)9月7日、オーストラリア・タスマニア州のホバート動物園(Hobart Zoo)で飼育されていたフクロオオカミの最後の一頭が死亡し、フクロオオカミが絶滅したことに由来する。

そのフクロオオカミはベンジャミン(Benjamin)と名付けられていた。フクロオオカミが絶滅してから60年後の1996年(平成8年)にこの記念日が制定された。絶滅危惧種に対する理解を深めてもらうことが目的。


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【SS】密猟

 人は、自分の利益になるものを見つけると法を犯すリスクと利益を天秤にかけ、悪事に走ってしまうようである。特に、絶滅危惧種の動物は闇市場で高値で売れるため、密猟が後を絶たないどころか、密猟自体が巧妙になって来ている。過去からそうであったように、おそらく未来もそれほど変わらないのだろう。

 三百年後の日本。やはり密猟は無くなってはいなかった。ただ、密猟の場所とターゲットは大きな変化を見せていた。三百年前は、ゾウやサイ、それにセンザンコウといったような珍しい動物が密猟のターゲットとなり、そこで動くお金は戦争などの資金として流れていた。乱獲により絶滅危惧種となっても、資金稼ぎのために密猟はなくなることがなかった。だが、そんなことが百年も続くと実際に絶滅してしまう動物が次々と公にされ、密猟で生活を立てている犯罪者ですら生活が成り立たなくなり始めていた。

 追い詰められると何とか次のお金になるターゲットを求めて、密林を彷徨うということをイタズラに繰り返し、無くなることのない戦争の資金への流入を何とかして調達しようとしていた。しかし、ついにその関係は破綻してしまったのだ。ジャングルの中を彷徨っていた密猟者たちはジャングルでの捕獲を諦めた。そして、こぞって街へと狩猟の場を移していったのだった。一体何が起きたのか、一体どんな変化が起こってしまったのだろうか。この地球上ではある変化が起こっていた。

 可愛いペットは一大ブームを引き起こしていたのだが、闇の組織によって世界中のペットのブリーダーが次々と襲われ、繁殖させるための施設が破壊され、動物たちが殺害され続けた。毎日世界のどこかでブリーダーが襲われるようになったのだ。そうなるとブリーダーたちは自分の身を守るために次々とブリーダーの仕事を辞めていった。そして五十年後、圧倒的にペットの数が少なくなり、ペット価格は急騰したのである。

 密猟者たちは、街に出て散歩中のペットを盗み、転売して利益を得るようになってしまった。かつて、ジャングルの中でライフルを乱射していた密猟者たちは、今では街の中で散歩中のペットを誘拐して自分たちの生活を支えるようになってしまったのだ。時代の変化とともに犯罪の形態も変化する。しかし、犯罪は減少することはない。人間のエゴがなくなることがないからだ。

 そんな退廃した時代からさらに三百年が経った。街中からはペットまでもが消えていた。そして緑は極端に減り、紫外線の強い太陽の光に照らし出される街の姿は、昔の潤いのある街とは程遠いものとなってしまった。肉も野菜も調達できなくなり、レストランは全て店をたたんでしまい、スーパーまで無くなった。流通する野菜が、紫外線と高温の影響で育たなくなり、農家は廃業に追い込まれ、あれた田畑のみが郊外に広がっていた。そんな中で生産されるほんの一握りの野菜しか市場に出回らなくなってしまったのだ。当然のように家畜もいなくなった。鶏も豚も牛も姿を消してしまったのだ。人々の主要な食料は深海魚と昆虫のみとなっていた。この時には、密猟するものもなくなり、密猟者自体が絶滅していた。そして、流入する資金源が無くなることで戦争も次第に鎮火していったのである。同時に化石燃料はついに底を着いた。

 人類として存続できる条件が一つずつ無くなっていることに、各国の首脳はやっと気がついていた。しかし、全ては無くなってしまった後だった。すでに世界人口は二億を切ってしまい、頭を抱えることになってしまっていたのである。そんな時一人の科学者が立ち上がった。動物がいなくなったアフリカのサバンナに太陽光パネルを敷き詰めたのだ。アフリカ大陸の半分をソーラーパネルで覆ってしまった。そして、人々はそのパネルが作り出した日陰を住居としたり、畑にしたりし始めた。地上から五メートルほどの柱で支えられたソーラーパネルは屋根がわりになったのだ。所々はパネルが抜いてあり、直接太陽光が差し込むようになっていた。得られる電気で井戸を掘り、地下水を組み上げ、池も作った。アフリカの大地は大きく変化し始めた。ソーラーパネルの屋根の下で、新しい植物も芽を出し、食用になるものを選別して生産されるようにもなった。そして、生き残っているほんの少しの動物を掛け合わせ、従順な家畜も育ち始めた。こうして、世界中の食糧庫と発電所がアフリカという地に出来上がった。次第に突然変異も発生し、珍しい植物や動物も誕生し、野生化し始めていき、そこに目をつけ始めたものが現れた。そう、新時代の密猟者たちだ。珍しいものは金になるというのは、いつの時代であっても不変だった。ここに新しい密猟のビジネスが確立してしまった。歴史は繰り返すのだ。きっと、また戦争も起きるのだろう。


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