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9月6日 妹の日 【SS】自慢

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 妹の日

「兄弟型・姉妹型」研究の第一人者で漫画家の畑田国男(はただ くにお、1944~1996年)が1991年(平成3年)に制定。

妹の可憐さを象徴する乙女座(8月23日~9月23日)の中間の日の前日で、占星学の上で最もふさわしい日とのことで9月6日となった。毎年、その年に活躍した「妹」だけを対象とした「日本妹大賞」が授与される。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。


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【SS】自慢

 僕には妹が一人いる。小さい時はとっても甘えん坊で、いつも僕の後ろをついてくるような女の子だった。僕は男の子の友達と遊びたかったのだが、どうしても妹はついて来てしまうので、僕の友達も仕方なく一緒に遊んでくれていたなぁ。鬼ごっこをすれば、足が遅いのですぐ捕まってしまう妹は、タッチされるたびに、わんわん泣いていたし、かくれんぼをすれば、一人では怖いのでいつも僕の隣にいた。それに、妹が話しかけるので、結局すぐ見つかってしまう。田んぼの畦道を走っている時なんて、後ろから懸命に僕に追いつこうとして走るもんだから、思いっきり転けて大声で泣いたこともあった。僕が戻って駆け寄ると、口癖のように「おんぶ」と言って僕の背中に乗ってきた。妹が小学校に上がる前の頃の思い出が、溢れ出る湧き水のようにどんどん思い出される。

 そんな妹だったのに、気がつくといつの間にか背も伸びて出るところは出てスタイルのいい女性に変わっていた。そして、いきなり家族の前で宣言したのには驚いた。

「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、私ね、自分なりに色々と考えたの。私は推理小説が死ぬほど好きだから卒業したら刑事になる」

「えっ、刑事って。お前、突然何を言い出すんだ」目を丸くしてサラリーマンの父親が驚いている。

「そんなあぶない職業じゃなくて普通のお仕事にしたら」心配そうに母親が畳み掛ける。

「あのね。小さい頃から、私はお兄ちゃんに頼ってばかり、助けられてばっかりだったから、これからは誰かを助けるような仕事につきたいと思ったのよ。もう、私の心は決まってるの。だから反対しないで」

 こうして妹は、大学を卒業後、警察官採用試験を受け、無事に合格した。中学の時から部活で剣道を習っていたことも有利に働いたようだった。それにしても、頑固者である。一度決めたら、よほどのことがない限りテコでも動かない性格だ。ある意味尊敬している。そういえば、小さい頃転んだ時には、僕が助けに行くまで起き上がることもなかったなということを思い出した。今でも僕は、妹は刑事に向いているなと思うのだが、決して口には出さない。調子に乗ってしまうから。

 警察官になった後、妹は警察学校を結構優秀な成績で卒業し、交番勤務を経験後、交通課の警官となり、その後しばらく内勤をした後、推薦を受け刑事になった。全くもって有言実行を絵に描いたようにやってのけたのである。自分の妹ながら、大したものだと思っている。今では、自慢の妹になった。ただ、二人の時は、小さい頃の甘えん坊なところが顔を出す時がある。

「お兄ちゃん、今ちょっと気になってる事件があるんだけど、全く手掛かりがないのよね。ある画家が餓死してしまった事案があって自殺で処理されてしまったんだけど、推理小説好きの私だからかもしれないけど、どうしても自殺とは思えないけど、密室だったし全く推測できないのよね。本当に餓死だったのかもしれないんだけどね。私がメインで担当した訳ではないんだけど何となく腑に落ちないのよね」

「ああ、それって一年以上前の事案だろ。検事仲間から聞いたことあったよ。疑わしかったけど証拠がなくて結局は自殺で処理されてしまったんだよな。そうか、あれは餓死だったのか。まぁ、推理小説的に考えれば、例えば、その画家は健康のために絶食の習慣があったと仮定すると、絶食後に熱中症みたいな環境で死に至ったということも考えられそうだな。そしてそのまま発見されなかったとしたら、解剖しても餓死となってしまうかもしれないな。胃の中には何もないわけだから。普通、自分で餓死自殺を計ったとしたら、何か遺書を残すとか、苦しくなってもがいた後があるんじゃないのかな」

「なるほど。さすがお兄ちゃんだね。ヒントを貰った気分だわ。もう一度、上司に言ってみようかな。再捜査しませんかって」

「うーん、一度解決してしまった事案を覆すのは大変だけど、疑問を持ったままというのは体に悪いから、とりあえず上司に掛け合ってみたら。普通だったら、拒否されるかもしれないから、ちょっと調べて可能性を見つけてからの方がいいとは思うけど」

「うん、わかった」

 こんな風にたまにだけど、妹から相談を受けることはある。こんな時は兄として威厳を示せる唯一の時間かな。僕たちの両親は普通のサラリーマンだったけど、兄の僕は検事になり妹は刑事になってしまった変な家族なんだ。これからも証家の末っ子、初見の活躍を期待している。そういえば書き忘れたが、僕は、証家の長男で初雄。まだ妹が立件した事件を担当したことはないが、検事の仕事をしている。妹の存在は、僕にとっても両親にとっても大きな存在だ。証家は妹中心に回っているようなものだから。妹もそろそろ三十歳に近づいているので、いい人が現れてくれるのを祈ってはいるが、家から出ていくことを考えると一抹の寂しさを感じる。最も、僕自身もまだ独身なので、妹の心配の前に自分自身を何とかしないといけないかな。


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