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9月5日 計画と実行の日 【SS】一攫千金

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 計画と実行の日

東京都中央区銀座にの本社を置き、「計画と実行」を理念に経営コンサルティングを行う株式会社ピー・アンド・イー・ディレクションズ(P&E DIRECTIONS)が制定。

計画(Planning)を立てて実行(Execution)することの大切さを、世の中に広めていくことが目的。日付は計画の計の字が9画であり、実行の英字のExecutionの頭文字Eがアルファベットの5番目であることと、同社の設立日が2001年(平成13年)9月5日であることから。記念日は2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。


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【SS】一攫千金

「おい、慶太。もう貧乏は嫌だな。まぁ、学生の時に頑張んなかった俺たちが悪いんだけどさ。当時の大人たちももう少し根気よく説明して欲しかったよな。学生の頃に頑張る意味をさ」

「洋介。お前自己中だなぁ。そんなの無理に決まってんじゃん。俺たちは落ちこぼれるべくしてこうなったんだよ。俺さ、凄いこと考えてるんだけどさ。聞く?」

「おお、どんな悪いことだ。気になるな」

「銀行強盗」

「はっ、今時。流行んないだろ」

「ふっふっふ、俺が考えてるのは、ネット銀行を襲うことなんだよ」

「ん、どういうことだよ。ネットなんてまるで分かんないぞ。俺は」

「ああ、俺もわからん。だから計画を立てたんだ。まずハッキングが得意なやつに声をかける。これはな、心当たりがあるんだ。この前スナックで知り合ったやつが適任なんだ。そして、そいつにネット銀行をハッキングしてもらって、俺らが引き出せる口座に送金させるんだ。どうだ、完璧な計画だろう」

「慶太。それが完璧な計画だって。即逮捕されそうな計画じゃないか」

 慶太はこのお粗末な計画を実行に移す準備をした。隣町に親しくしているお婆さんがいて、まずは、そこにいってお願いをした。

「ねぇ、お婆ちゃん。迷惑はかけないから銀行の口座作ってくれない。僕もそろそろ貯金しようと思ってるんだけど口座がないんだよ。身分証明もないから、口座だけ作って貰えばあとは僕が管理するから。入金する必要もないし」

「そうかい。口座作るだけだったらいいよ。印鑑は別のものを準備しておくれよ」

 こうやって、慶太は銀行口座を確保した。この口座はいくつかの口座を経由して最終的にお金が集まる場所だ。次に、手伝わせるハッカーを丸め込んだ。

「なぁ、裏金くん。ネット銀行をハッキングして、毎日数百万円ずつ、一定の口座に送金させることできるかな」

「ああ、簡単だよ。でも、それって犯罪だろ。もう、犯罪には手を出したくないな」

「いやいや、これで最後だよ。みんなで大金持ちになれば、犯罪を犯す必要もなくなるじゃないか」

「まぁ、言われてみればそうだね」

「なっ、そうだろ。だから実行しようぜ。口座は、一旦我々の口座に振り込んで、そこからさらに違う口座に振り込むんだ。そうすれば、我々は利用されたって思わせられるだろ」

「なるほど。冴えてるね。何個か口座を経由させれば追跡に時間がかかるしね。その間で引き出して仕舞えばいいんだな。よし、何だか、安心できそうな気がしてきた。やろう」

 こうして、機材を調達して、マンションの一室からの奇妙な銀行強盗が始まった。複数のネット銀行を対象として、見知らぬ口座間でお互いに送金をして、混乱させ、その中から毎日五百万円ずつ三人の口座に振り込み処理を実施した。一ヶ月間にわたり、処理を繰り返した。その後、ネット銀行のユーザー間での送金を自動処理するように仕組んで、警察を翻弄させることにした。その間に、作成したお婆ちゃんの口座から毎日のように現金を引き出したのだ。

 ところが、多額の振り込みと多額の出金が繰り返されている口座を不信に思った銀行員がお婆ちゃんに連絡をとったのだ。

「もしもし、正木さんのお婆ちゃんですか。親切銀行の担当ですが、最近、新しく作られた口座でお金の出し入れが激しいようですが、何か理由がありますか」

「ああ、新しく作ったのは、親切なお兄さんのための口座で、私は全然知らないんですよ」

「えっ、お婆ちゃんがハンコとか通帳とか持ってないんですか」

「ああ、なーんも持ってないよ」

「そうなんですね。解りました。では私どもの方で引き続き調査しますね。その親切なお兄さんの名前を教えてください。それで、また、何か解ったら連絡します」

 行員はすぐさま、口座の取引停止処理を実施し、警察に通報した。その時、口座から現金を引き出そうとしていた慶太は、ATMで引き出せなくなったことを敏感に感じ取って、急いで仲間のところに戻った。

「みんな、最終口座が銀行にバレたみたいだ。全額は下ろせなかったが、何とか三億は現金化できたからこれを分けよう。あとはそれぞれ責任を持って対応だぞ。決してお互いの名前は白状しないということを約束しよう」

 こうして、三人は一億ずつ現金を持って逃げた。しかし、慶太はもっと現金を引き出す予定でいたので、他の二人と違い、満足はしていなかった。そうなると大金を持ってギャンブルに走ることになる。慶太はボートレース場に向かった。掛け金は一回につき現金で五百万を注ぎ込んだ。その中の一部が引き出された紙幣の番号に一致していることなど慶太は知る由もなかった。慶太が次のレースに夢中になっている頃、警官が到着して慶太は拘束された。あっけない逮捕だった。そして、三人の固い約束は、なかったかのように、慶太はペラペラと仲間の名前を自供した。そして、最後に一言、何とか自分の罪を軽くしようと思い、刑事に訴えた。

「僕は利用されただけなんです」


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