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10月7日 ミステリー記念日 【SS】近所の事件

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。

面白い記念日の名称なので、連載に挑戦です。


【今日は何の日】- ミステリー記念日

1849年のこの日、ミステリー小説(推理小説)の先駆者であるアメリカの小説家エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe、1809~1849年)が40歳で亡くなった。
世界初の推理小説は1841年に発表されたポーの短編小説『モルグ街の殺人』と言われている。そのほか科学的知見を取り入れた『アーサー・ゴードン・ピムの物語』などの冒険譚は、フランスの小説家で「SFの父」とも呼ばれるジュール・ヴェルヌ(Jules Verne、1828~1905年)ら後世のSF作家にも影響を与えている。

推理小説は、小説のジャンルの一つで、殺人・盗難・誘拐・詐欺など、なんらかの事件・犯罪の発生と、その合理的な解決へ向けての経過を描くもの。小説以外にも漫画や映画、ゲームなど様々なメディアに展開される「ミステリー」というジャンルの元になった。ミステリー(mystery)は、推理小説、神秘、不思議などを意味する英語である。


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【SS】近所の事件

「今日って、エドガー・ア・ランポーが亡くなった日なんだって」

「へー、そうなんだー、何歳で亡くなったんだっけ」

「えーっとね。確か、四十歳だったと思うよ。謎の死だったみたいだけど」

「あれ、そんなに若くして亡くなったんだっけ。明智小五郎シリーズの人だよね」

「違うよ。それは、江戸川乱歩。まぁ、エドガー・ア・ランポーをもじって付けたペンネームみたいだから、間違いやすいけどね。江戸川乱歩は確かに七十歳まで生きた人だよ」

「おお、そうだったんだ。知らなかったー」

 あまりミステリー小説を読まないホラー好きな大洞好一おおほら よしかずとテレビドラマの影響で最近ミステリーに興味を持ち出した赤水照夫あかみず てるおの友人二人が記念日情報を見ながら話していた。住んでいるところが近いので、たまたまスタバで一休みしているところでバッタリと出会い話していた。

 赤水はテレビドラマや小説では、とても信じられないような人間関係と事件の謎解きが面白いと思うものの、現実にはあり得ないことだから、心配しないで見ていられるのがいいと感じていた。身の回りで起こりそうな内容だったら、きっと気になってしまうのだろう。結構小心者だ。かたや大洞は細かいことは気にしないタイプで、嫌なことなどはすぐに忘れてしまうような性格だった。

 コーヒーを飲みながら、赤水と会話しながら、横に置いたスマホでニュースもチェックしている。その時、ニュースをスクロールしていた大洞の指が止まった。

「おい、赤水。これって、お前んちの近くじゃないか」

「えっ、何かニュースになってるのか」

「お年寄りが亡くなったみたいだよ。不審死だって。結構近い場所みたいだな」

「えっ、病死とかじゃなくて、不審死? 名前はなんていう人だろう。書いてある?」

「うーん、詳細は書いて無いからわからないけど、名前は、あー、あった。吉永金蔵よしなが かねぞうさん、八十八歳だって。何だか資産家みたいだな。アパートとかマンションとか持っている人みたいだ」

「吉永金蔵? どっかで聞いたことがある名前だなぁ。えっ、あっ、今住んでいるマンションのオーナーだよ、その人」

「えー、マジ。じゃあ、お前のマンション家賃払わなくていいの?」

「馬鹿なこと言ってんじゃないよ。そんなことある訳ないだろ、大洞じゃあるまいし」

「ん、俺だったらあり得るってこと? まぁ、そうかも。いやいや、そんな場合じゃなくて聞き込みとか来るんじゃないの、赤水のところにも」
「そうかもしれないな。とりあえず、今日は引き上げることにする。なんか分かったらメールするよ。じゃあな」

「あ、ああ。俺はまだコーヒーがあるからここにいるよ。じゃあ、連絡待ってるよ」

 こうして、赤水は慌てて自分のマンションに帰った。オーナーは道を一本隔てたところにある大きな一軒家に住んでいるはずだ。土地の有効活用のために、今赤水が住んでいるマンションを建設したらしいので、かなり資産を保有している老人だった。

 夕方ごろになって、ドアのチャイムが鳴った。そっと、ドアスコープから覗いてみる。男女二人が並んでいる。見たことがない人たちだった。

「どちら様ですか」

「神奈川県警の証と申します。お伺いしたいことがあり、お話を聞かせていただきたいのですが、少しお時間とっていただけますか」

「すみません。警察手帳見せてもらえますか」

 ドアスコープの前で証刑事は警察手帳をかざした。隣にいる男性もかざしている。とりあえずは本物の刑事らしいと思い、ドアロックを外して開けた。

「こんにちは、隣は縁梨刑事です。ずいぶん用心深いですね。とてもいいことだと思います」

「あ、すみません。気が小さいので押し売りだと困ってしまうので。それにこのマンションは古くてオートロックもありませんし、自分で気をつける以外ないんですよ」

「なるほど、それにこのマンションはお留守の方が多いですしね。用心するに越したことはありませんね」

「あのー、それで御用というのは一体なんでしょうか」

「はい。ご存知かとは思いますが、このマンションのオーナーの吉永金蔵さんが亡くなられました。つきましては最近の吉永さんをご存知の方をこうして訪ねて回ってる次第です。赤水さんは、今時にしては珍しく、家賃は現金で毎月、吉永金蔵さんに手渡ししているそうですね。先月末、つまり二日前ですが、吉永金蔵さんに変わったことはなかったでしょうか」

「いやー、特に変わったことはなかったと思います。いつも家賃を持って行った時はお茶とかお菓子をご馳走になりながら、世間話をしますが、特に気がついたことはありませんでした」

「そうですか。赤水さんは吉永金蔵さんには、随分気に入られていたようですが、何か特別な関係でもあるのでしょうか」

「いえ、特にはありません。時々お使いをしてあげたり、話し相手になったりしているだけです」

「お使いもしてあげるのですか」

「ええ、日用品が切れると困りますよね。なので、近くのスーパーまで代わりに買い出しに行ってあげることは時々ありました。おかげで、家賃を少し安くしてもらっています」

「なるほど。そうだったのですね」

 何やらミステリーのような展開になりそうな予感だ。証刑事が出てきたということは殺人が視野に入った捜査が開始されたということだ。どうやら吉永金蔵さんの死因にも問題がありそうだ。

明日に続く


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