8月27日 日本に原子の火がともった日 【SS】胸の中の光
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【今日は何の日】- 日本に原子の火がともった日
1957年(昭和32年)のこの日午前5時23分、茨城県・東海村の日本原子力研究所に設置された出力50kWのウォーターボイラー型炉1号(JRR-1)が、臨界実験に成功して日本最初の「原子の火」がともった。
これによりインドに次いでアジアで2番目の原子炉稼働国となった。実験は前日の8月26日に始まったもので、11月26日に全力運転を開始した。この原子炉は1970年(昭和45年)3月まで運転され、原子炉を利用した各種の実験や技術者の訓練に役立った。
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【SS】胸の中の光
日本では産出されないウランを原料として核分裂を起こし、エネルギーを得るのが原子力発電だ。原子力の核分裂の研究を実施し臨界実験に成功した結果、日本でも原子力発電所が稼働することになった。石炭や石油を利用した火力発電と比較すると、エネルギー効率は高く国内の電力需要への柔軟な対応も可能になると考えられ、全国各地で原発が建設されることになっていった。日本の成長を電力供給の面から支えるはずだった。しかし、加速度的に原発を増やした政策が正しかったのかという疑問も出始めているのが現状だ。
結果、自然災害によるリスクが公になるとともに、放射能に対する恐怖が国内を席巻することになった。放射能の怖さは知っているはずの日本でさえ、技術力への過信があったのかもしれない。きっちり管理されていれば、何も恐れることはないと。確かにそれも事実かもしれないが、自然の力には叶わないのが人間である。想定外の状況は、時として起きるのだ。
ウランを利用した発電所は現在も廃炉処理が並行して多く進められている。今後新規に原発を作る困難さを見越してか、核融合発電という技術が研究されつつある。これはウランを必要としない上、核分裂を起こすわけではない。資源の無い日本においてはうってつけの技術なのかもしれない。海水から抽出できる水素を原料として発電ができる技術だ。爆発の危険が無いということに加え、発電量も原子力発電に劣らないということも好材料だ。太陽で起きている核融合を発電に流用しようということだ。
一方で、ロボット技術もかなり進歩してきた。常に問題となるのは、動力源だ。大抵は充電されたバッテリーを利用することになるが、連続運転の短さが課題になっている。鉄腕アトムがメジャーだった時代は、原子力が動力源とされていた。これは、原子力の平和利用が前提になっていたからだ。だが、原子力は安全だという仮説は今となっては崩壊してしまった。ロボット学者はエネルギー供給の仕組み以前に、ロボットそのものの動きを実現することを優先して研究開発をしてきた。当面はバッテリーによる電源供給で賄えそうだったからだ。
しかし、二十三世紀に入ると事態は一変した。まさしく鉄腕アトムのような人型で空を飛ぶことができるロボットが開発され始めたのだ。やはりそこでの問題は動力源だった。空を飛ぶことを考慮するとバッテリーでは、数分しか稼働できないことは研究者は分かっていた。そこで、新たな挑戦が始まった。
核融合エンジンの小型化だった。揺れ動く環境でも安定して核融合を実施し、安定したエネルギーを供給できるようにするという命題にこぞって挑戦し始めたのだ。研究は困難を極めた。強固な作りの発電所で実施していることと同じことを、小さなロボットの胸の中で実現しようという発想なのだから、普通に考えてもできるはずは無いと考えられていた。しかし、鉄腕アトムはいつの日か必ず実現できると信じて止まない研究者たちの手によって、研究開発は継続されていった。
時代は、二十四世紀に突入していた。一人の研究者が遂にロボットの小さな胸の中に光を閉じこめることに成功したのだ。時折水分補給を実施すれば、十年間はメンテナンスも不要でエネルギーを供給し続けられるというものだった。人々は過去の原子力の事故を重大な歴史として学習していたため、反対する人の方が大半だった。それを打ち消すために、ロボットに表情を持たせ、AIによる感情表現もできるようにしたのである。まさしく、リアル鉄腕アトムの誕生といってもいいほどよくできていた。ここぞとばかりに、政府は宣伝活動も実施した。各地にあるショッピングモールでお披露目会と称したロボットの挨拶会をスケジュールし、日本中に宣伝して回ったのだ。政府は、その反応を見て、量産すべきかどうかを判断したかったのだった。
「みなさん、初めまして。僕は、アトムと名乗ることになりました。歴史上のアトムとは少し形は違いますが、優しさを持ったロボットとしてみなさんの役に立ちたいと思います。街で見かけたら気軽に声をかけてください」
小さい子供や年寄りからは大々的に歓迎されたが、国を支える年代の国民は、冷ややかな目で見ていたようだ。誰しも新しいものは怖いのである。この政策が成功するかどうかは、数十年後にならなければ分からないのかもしれないが、アトムによるパトロールが始まってからは、軽犯罪を中心に発生率がどんどん下がっている事実は誰しもが認めている。並行してアトムの増産体制も整いつつあるようだ。
新しいエネルギーの発見に対する貪欲な研究と追求は、これからも続いていくことだろう。悪用されない事を祈りつつ、アトムの活躍を祈りたい。
了
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