10月9日 世界郵便の日 【SS】第一発見者
🙇お詫び
記念日の説明を掲載するのを忘れてました。(10/9 10:12訂正)
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- 世界郵便の日
郵便に関する国際機関である万国郵便連合(Universal Postal Union:UPU)が1969年(昭和44)に「UPUの日」として制定。
その後、1984年(昭和59年)に「世界郵便の日」と名称を変更した。国際デーの一つ。「世界郵便デー」または「万国郵便連合記念日」ともされる。英語表記は「World Post Day」。
1874年(明治7年)のこの日、全世界を一つの郵便地域にすることを目的に、万国郵便条約によって万国郵便連合(UPU)が発足した。本部はスイスの首都ベルンに置かれている。加盟国間の郵便業務を調整し、国際郵便制度を司る。最も古い国連の専門機関の一つである。
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【SS】第一発見者
配達すべき郵便物の処理を全て終えた配達員が、汗を拭き拭き証刑事のところにやって来た。バイクでの配達とはいえ、乗り降りが多い仕事なので汗もかくのだろう。配達員は、その時まで話をしていた民生委員の瀬羽さんを見ると、ちょっと緊張した感じで会釈をしていた。瀬羽さんも馴染みの郵便配達員の日々さんを見るなり、会釈したと思ったら視線を落としていた。証刑事は、見逃さなかった。何かを隠していると直感した。
「瀬羽さん、色々とありがとうございました。少しの間、お待ちいただけますか」
「はい、分かりました」
証刑事は意図的に、瀬羽との話を中断して、日々と話をすることにした。そして、日々と話をしている時の反応を縁梨が観察するという役割分担を示し合わせていた。
「日々さん、何度もご足労願って申し訳ありません。すでに警察官にお話しされたとは思いますが、今一度、発見した時の様子をお話いただけますか」
「は、はい。分かりました。この辺りは郵便局を出て近いということもあり、朝の早い時間に配達するエリアで、私が担当なんです。もう、かれこれ二十年くらい担当しています。それだけに、吉永さんとは顔馴染みでもあり郵便物がある日は、必ずと言っていいほど挨拶と軽い世間話をする関係になっていました。今日も、そのつもりで配達に来たのですが、いつもは庭に出ていらっしゃるはずの姿が見えません。最初は珍しく外出しているのかなとも思いましたが、念の為に玄関の扉を確認してみたんです。案の定、鍵がかかっていました。それでもなんとなく胸騒ぎがしたので、裏の方に回ってみたんです。そしたら洗面所の窓から倒れている吉永さんが見えて慌てて電話した次第です。正確には顔は見えなかったので吉永さんかどうかは分かりませんでしたが、取り急ぎ警察に連絡した次第です」
「なるほど、そうでしたか。ご連絡ありがとうございます。それで、吉永さん宅には頻繁に郵便物が届くのでしようか」
「ええ、不動産とか投資とか、あとはネットショッピングをされているようでゆうパックも時折お届けしていました」
「そうですか。ちなみに玄関を確認するというのも郵便配達としては珍しいと思うのですが、裏まで回るというのはよほど親しかったのでしょうか、吉永さんと」
「えっ、親しいというか、なんと言いますか。あのー」
「どうしました」
そこに民生委員の瀬羽さんがたまらずに割り込んで来た。じっと様子を見ていた縁梨刑事も驚いた表情を見せた。
「すみません。言いそびれたのですが、私も日々さんもですね。実は、お小遣いというかお礼というか、吉永さんからちょっと良くして貰っていたんですよ。言いにくいのですが、なんと言いますか、吉永さんには身寄りがないらしく、死んだら財産があっても使えないから親切にしてくれた人にあげたいといつも仰っていたんです。それで、私たちを含め、何人かの知り合いは吉永さんに余計に親切にするようになったんです。いえ、あの下心があったわけではありませんよ。いや、少しはあったかもしれません、すみません」
「ほう。ということは、普段良くしてくれる人に吉永さんは遺産の一部を渡そうと考えていたということですか」
「はい、いつもそんな事を仰っていました。そんな人が何人いるかは存じません。私が知っているのは日々さんだけです。郵便配達のついでにちょっとした買い物や庭掃除をされていると聞きました」
「ええ。その通りです。なので、吉永さんの家の裏の方まで行く癖がついていたんです。決して私が何かしたという事はありません」
「ふーむ。もし吉永さんが本気で遺産を渡そうと考えていたとしたら、遺言書を作っていた可能性はありますね。そんな話をした事はありませんか」
「良くは知りませんが、保有しておられるマンションなどの相談は弁護士さんとお話をされていたようです」
「なるほど、その弁護士さんってどこの事務所の方か分かりますか」
「さぁ、存じませんが、なんて言ってたかなぁ。お助けさんとか手助けさんとか呼んでいたような気もします」
「あ、吉永さんに届いている手紙を見れば分かりますよ。時々、弁護士事務所からの封書が届いていましたから。多分個人事務所だと思います」
それを聞いていた縁梨刑事が奥の部屋へ行き郵便物を確認した。積まれている手紙をいくつか確認し、手出須健一法律事務所というところからの手紙を見つけた。証刑事は早速連絡を試みていた。スマホのダイヤルをタッチする。
「はい、手出須健一法律事務所でございます」
「もしもし、神奈川県警の証と申します。実は吉永金蔵さんのことでお伺いしたいことがあるのですが、お時間とっていただけますか」
「はい、吉永金蔵様は私のお客様ですが、何か事件に巻き込まれたのでしょうか?」
「それも含めて直接お話ししたいのですが、お伺いしてもよろしいですか?」
「はい、今日は事務所にいますのでいつでもどうぞ。お待ちしております」
証刑事と縁梨刑事は、すでに暗くなろうとしている時間でもあったので、民生委員の瀬羽と郵便配達員の日々に話をしてくれたお礼を伝えるとともに、連絡先を確認し吉永邸を後にして法律事務所に向かった。車で向かって三十分もかからない場所に事務所はあった。小さな雑居ビルの三階にあり、証刑事たちは階段で事務所に向かった。事務所は、すでに午後六時を回っていたせいか事務員の方の姿はなく手出須だけが待っていた。事務所に入ってすぐの応接イスのところで名刺を貰い話をすることになった。
「どうぞおかけください。連絡を受け、胸騒ぎがしてならないのですが、吉永さんに何かあったのでしょうか」
「はい、実は、自宅ですでに亡くなられました。今朝発見されたのです。その件でお話をお伺いしたいと思います」
「えっ、亡くなられたのですか。数日後に最新の遺言書の確認に行くところでした。あんなに元気だったのに。そうだったんですか。そうなると有効なのは一つ前の遺言書ということになります。困りましたね」
どうやら遺言書を何回も作成していたようである。果たして最新の遺言書になるのは、いったいどんな内容だったのだろうか。殺人だとすれば同期に繋がるかも知れないと証刑事は考えた。
明日に続く
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