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10月3日 センサの日 【SS】不満爆発

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- センサの日

京都府京都市下京区に本社を置き、高品質の産業用センサの製造・販売で知られるオプテックス・エフエー株式会社が制定。

日付は「1003」で「センサ」と読む語呂合わせから。同社は工場での生産ラインに使用される品質管理及び自動化のための光電センサ、変位センサ、画像センサ及び画像処理用LED照明などを手がける。センサの技術は自動車、電子部品、医薬品、食品など、世界の様々な業界で使われ、多くのものづくりに貢献している。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。また、10月は全国のセンサユーザーの皆様に感謝の気持ちを込めて、センサに関する特別企画を行う期間としている。


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【SS】不満爆発

 現代社会は、センサーに囲まれて生活しているといってもいいくらい、センサーが溢れかえっている。玄関を入れば、人感センサーが感知してくれて勝手に照明がつく。温度センサーによる気温や湿度の表示は何の躊躇いもなく利用している。そして、自家用車を持っている人であれば、よりセンサーを感じているかもしれない。横から近づいてくる他車の検知、迫ってくる障害物の検知、道路の白線からはみ出しそうになることの検知などもそうだ。もっと身近なもので言えば、普段利用しているスマホにも多くのセンサーが利用されている。照度センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、生体認証センサーなど車でも利用されているセンサーが多い。外出して最も身近に感じられるセンサーといえば、自動ドアや、止まっているエスカレーターに近づくと動き出すといったものがあるだろう。多くの施設で見かけるものなので、今や感動すらしなくなっているのではないだろうか。その逆に家の中でも普段気が付かないものとしては、冷蔵庫、洗濯機、照明、空気清浄機、エアコンなどありとあらゆる電化製品にはセンサーが内蔵されている。

 このように我々の生活の周りはセンサーだらけなのである。そして、知らず知らずに、センサーを頼り、信頼する生活にどっぷりと浸かっているのである。ほんの少し前までの日本には、自動ドアさえなかった時代があったということすら、忘れ去られているのではないだろうか。そんな環境に目を付け、悪いことを企て、世の中を混乱に陥れてしまおうと思う輩たちが徒党を組み始めたのである。人々の暮らしの向上のために開発されたセンサーを悪用してしまおうというのだ。まだ、誰一人として気がついていない。政府や警察は新しいテクノロジーには弱いので、常に後手の対応となることを悪い輩は知っていた。なので、さっと混乱を起こし、金儲けをしたらさっと引くことを計画していたのだ。

 同調した悪い奴らは十人余り。待遇が改善されない技術者や電気工事士、車の整備士などがそれぞれの仕事の現場の不満を感じ、世の中にぶつけようという共通の意識の下、集まったのだ。八つ当たりもいいところである。しかし、当の本人たちは大真面目に取り組み始めたので始末が悪い。そして事もあろうに、悪巧みを実行するために新兵器を開発してしまったのだ。それは手のひらに収まるほどの銃であり、彼らはESDガンと名付けた。ESDとは、貯めた静電気を放出するという意味だ。大量の電気をバッテリーに蓄積し、その放電エネルギーを利用してセンサーと配線部分に高電圧の負荷をかけてしまい、センサーが役に立たなくなる様にするための武器だった。総じて電気で稼働する部品は予期しない電圧や電流を流すことでその機能を失うことがある。

 彼らは、様々な分野で仕事をしていたため、それぞれのスキルを持ち寄ってESDガンを作り上げることに成功したのだった。ESDとはElectro-Static Dischargeの略であるESDガンを作り上げた後は、それぞれが連携せずに無差別にいろんなところでセンサー破壊行動を起こし始めた。ショッピングモールに駐車している自動車は軒並み被害に遭い、衝突したりする事故が相次いだ。また、ショッピングモールの入口では自動ドアが作動しなくなってしまい、多くの買い物客はガラス扉に激突して軽傷をおった。影響が大きかったのは銀行のATMだった。生体認証である指紋認証の機能が完全に停止してしまったのだ。

 俄かに影響の大きさが話題になり、ニュースでも取り上げられる様になった。実行したメンバーは、何となく日頃の鬱憤を晴らすことができてスッキリしていた。大半のメンバーはこれ以上やってしまうと大変なことになるなと感じ、ESDガンを処分して連絡を取らなくなった。残ったメンバーは逆に火がついたように犯行を繰り返す様になったのだ。ただ、略奪などの行為までエスカレートすることはなかった。

「俺たちは中途半端な活動はしない。やるならとことん世の中が変わるまでやり続けるぞ」

 同調したメンバーはわずか二人だったが、それでも警察からすれば手がかりのない犯罪者を追うような形となり、捜査は行き詰まりかけた。そんな中、最初にメンバーから抜けた、本来須直もとき すなおは良心の呵責に耐えられなくなり、警察に出頭し、全てを白状した。

 本来もときの出頭を受けた警察は、本格的に摘発に乗り出した。程なくして最初に抜けたメンバーを含め、最後まで頑張って活動していたメンバーも摘発された。事情聴取で、全員が口を揃えて訴えていたのは、多様なセンサーとAIを利用したコンピュータ処理の結果、自分たちの仕事は少なくなり将来に不安を覚えたのだという。つまり、自分たちが頑張って作り出したものによって、自分たちの職が失われてしまうというのだ。これには、担当した警察官も多少の同情の気持ち湧いていた。警察官は、自分たちの仕事はAI搭載のロボットに置き換えられる時代が必ずくるだろうと思っているのだから。


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