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8月28日 民放テレビスタートの日 【SS】人の関心

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 民放テレビスタートの日

1953年(昭和28年)8月28日午前11時20分、日本テレビが民間放送として初のテレビ放送を正式に開始した。

1953年2月1日にNHKが放送を開始し、続いてこの日に民間放送が開始した。テレビの放送開始直後は受像機(テレビ)の価格が高く、家庭にはなかなか普及しなかった。盛り場や駅・公園などに設置された街頭テレビに多くの人が集まり、プロレスやプロボクシングなどに熱狂した。その後、日本の経済成長とテレビの価格低下により、電気冷蔵庫と電気洗濯機とともに「3種の神器」として家庭に普及した。そして、放送番組もニュース・ドキュメンタリー・ドラマなど様々な番組が放送されるようになった。


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【SS】人の関心

 六十年前、まだテレビは一部の裕福な家庭を除いて、全家庭にまでは普及していなかった。東京オリンピック開催を機に普及期に入り、カラー放送開始とともに広がっていったようだ。それがいつしか、世帯普及率は九十九パーセントにまで成長した。その間に、リモコンの登場やブラウン管テレビから液晶テレビという大きな変化やアナログ放送からデジタル放送への移行、無線対応、ネット対応とテレビも時代とともに変化して来た。それに伴い、テレビを通した人々の関心分野も少しずつ変化している。

 民放では収入をスポンサー企業から得ているのは周知の事実である。つまり、スポンサー企業の売上に貢献できる番組を作る必要が裏事情としては存在する。いや、裏ではなく表かな。番組の放送時間や曜日、見てくれる人たちを想定し、興味を持ってくれそうな番組に仕上げる必要がある。そして、番組内容と同等レベルで必要なのが途中に挟まれるスポンサー企業のコマーシャルだ。番組に興味を持ち、多くの人がチャンネルを合わせてくれれば、その流れでコマーシャルも見られることになる。それが商品に興味を持ってもらうことに繋がるのだ。

「今回の新番組なんだけどさ。予算の都合上、スポンサーが結構多いんだよね。コマーシャルの構成も気にしないと時間内に収まらないな」

「ああ、そうだな。基本的には出資額の順に考えざるを得ないけど、コマーシャルの時間で企業間を渡り歩くようなストーリーができると面白いのにな」

「それ、いいアイデアだけど、企業側のコマーシャルは別枠でバラバラで作られているから実際には難しいよな」

「そうだなぁ」

 こんな会話がスタッフの間で交わされていたかどうかは分からないが、コマーシャルの挿入にはかなり気を使ったはずだ。だが、番組を見ている方からすれば、面白くなって来た時にコマーシャルが入り、盛り上がったテンションが一度冷めてしまうことになる。当たり前だが、コマーシャルを見たいために番組を見ている人はいない。

 だんだんと働き方にも変化が出てきて、ドラマや映画は録画してみる習慣が浸透していった。そうなると、ビデオデッキの機能が向上していく。コマーシャルをスキップする機能とか、早送りしながら時短で見る機能などが代表的だろう。極め付けは、有料の配信サービスや無料の配信サービスの台頭だ。現在販売されているテレビはほとんどがネット対応になっている。しかもテレビの利用形態はテレビ番組を見るのが主流ではなく、ネットを見るためのディスプレイだったり、ゲームを楽しむための大画面の役割になりつつある。テレビの大画面化も、より拍車をかけているように感じる。人々の関心は大きく変化し、テレビとしての利用形態もだんだんと変化しているようだ。

 配信サービスやSNSにも、コマーシャルがどんどん表示されるようになって来ており、テレビのコマーシャルより効果が高いケースが増加している。そうなると、テレビ番組のスポンサー離れが加速し、番組を作るための制作費を捻出するため、少ない金額でより多くのスポンサー企業を集めないと成り立たなくなりつつあるのではないだろうか。関係スタッフも未来への恐怖を心配し始めている。

「なぁ、そろそろテレビ番組とスポンサーの関係って崩壊しつつあると思わないか」

「そうだな。若い人たちにとっては、今やネットの方がテレビより見られているしな」

「テレビを続ける価値ってなんだろうな」

「はは、そんなの分かりきっているだろう。今や高齢化社会だ。だからテレビのターゲットは高齢者だよ。番組内容も高齢者向けが多いと思わないか」

「そう言われれは、懐メロ番組とか、テレビショッピングの商品とかそうだな」

「だろ。それに、高齢者がテレビでネット参照していると思うか」

「確かに。それは少数だろうな。大半の人はそのままテレビを見続けるだろうな」

「なっ、そうだろ。だから、シニア向けの商品を開発販売している会社を回ってスポンサーになってもらうようにお願いするわけさ」

「なるほどね〜。シニアはテレビ。若者はネット。それぞれでコマーシャルを考えるってわけか」

 今では、ネットに接続すると至る所にコマーシャルが表示されるようになり、それがあるために見なくなってしまうサイトになるケースもあるようだ。全ては、人々の関心次第だとは思うのだが、見づらい画面は敬遠されるのは人間の心理だろう。

 番組を作る側や商品を売りたい企業側と、番組やサイトを見て楽しみたい視聴者との期待値は決して交わることは無いのかもしれない。結果、有料配信サービスに人気が集まってしまうのかもしれない。そのうちにコマーシャル自体がオンデマンド配信に切り替わっていく時代が到来する可能性も否定できない。番組の途中で一分ずつコマーシャルを流すのではなく、五分でストーリーを持ったコマーシャルを番組中に一度だけ放送する方が、見ている人の関心を引く内容のコマーシャルを作ることができるのかもしれない。そういえば、一社でストーリー性を持たせたコマーシャルを流していた企業もあったな。


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