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空に解き放った心 - 第三話 策略

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策略

「社長、先日は親身になっていただきありがとうございました。今回は具体的な計画の相談に伺いました。私の話しというか計画を聞いていただけますか」
「おっ、今日は自分なりのシナリオができたみたいだね。ぜひ、話を聞かせてくれ」
「わかりました。実は、私にパートナーとなるべき人が見つかったんです」
「おぉ、ついに見つけたか。それはよかった」
「でも、その人は、現在、翔さんが付き合っていたしおりさんと付き合っているのです。しおりさんは翔さんが突然姿を消したことでフラれたと思っているようでした。そんなタイミングでちょうどプロジェクトで知り合ったPMである井上健二さんという方と付き合い始めたようです。健二さんは開発会社の方でこの会社の人ではありません。でも、その方の相手はしおりさんでは無く私が似合っていると確信しているのです。なので、私なりにこれまでのデータを分析するとともに私の希望を考慮した計画を作成しました」
「おぉ、凄いね。君のことだから隙のない計画ができたのだろうね。で、どんな計画」
「まず健二さんが所属している会社は、現在北海道進出を考えていて我が社とは緊密な関係にあります。よって、社長から、札幌あたりに事務所を構えニアショア開発拠点を設立することを提案していただきたいのです。そして、そのリーダーとして健二さんを推薦していただきたいのです。あわせて、私を健二さんと同じ会社に転入させてほしいのです。遠距離恋愛になれば、しおりさんとは必ず別れる時が来ると思います。その時が私の出番です。必ず健二さんを私に振り向かせ、一緒になるようにします。そして、札幌の事務所をさらに大きくするようにサポートしたいと思います。もちろん、会社を変わった時点で、私の得意分野であるデータ分析を以て、健二さんの出世のサポートをしたいと考えています。そうすれば、この会社にとっても必ずプラスになると思っているんです」
「里香さん、プライベートと仕事をうまく結びつけた計画を考えましたね。翔としおりさんは一緒にしてあげたいので、里香さんの計画に乗りましよう。実は、その開発会社とは既に太いパイプはできています。向こうの社長は私の大学の後輩でもあるし、話は早いと思うよ。まずは、その、井上健二くんと言ったかな。その彼を札幌に赴任させる前に、里香さん、あなたを札幌勤務にしよう。もちろん会社を変わってね。支度金は出してあげるよ。明日にでも向こうの社長と話をしよう。そして、数ヶ月遅れで、健二くんを栄転という形で札幌赴任にしてもらうよ。それでお膳立てはできるな。できれば札幌の拠点は私も出資したいくらいだけど、まぁ、それは次の話にしよう」
「ありがとうございます。後はチャンスを見て、私が健二さんの心を掴んで見せます」
「人の心を掴むのは難しいと思うけど、里香さんならできそうだね。何か準備する必要がある場合は遠慮なく連絡していいよ」
「分かりました。すごく心強いです」

 何とも、公私混同も甚だしいような計画が翔の仲介で社長と里香の間にできてしまった。しかし、これが時代の後押しもあり、スムーズに進むのである。まず、里香はコンサルティング会社を自己都合退職で手続きをし、健二のいる会社にはキャリア入社ということで処理された。しかも退職金も通常の2倍が支払われたので、当面の生活に何の不安もなかった、そしてその間に里香は札幌のマンションを探し始めていた。健二が務める会社でもデータアナリストは喉から手が出るくらい欲しかった人材であり、本来なら東京に残したい人材であったが、入社時の約束として北海道赴任ということを約束していたので、札幌勤務に決定した。追いかけて、今後の日本国内のローカルでの開発を増加させる予定だということを翔の父親である社長から話を通してもらい、開発会社としても札幌拠点立ち上げを決定し、里香が最初に準備要員として送り込まれた。そして、しばらくして、健二に話が行き、健二は自分の努力が認められたということで快諾した。

 札幌に移転した後は、里香がデータアナリストとして健二を全面的にサポートするようになった。その正確さとスピードは右に出るものはいなかったため、健二にとってはかなりの追い風となり、受注するプロジェクト全てをうまく処理できていった。その影には、里香が分析した情報の正確性があった。複数並行して走っている開発プロジェクトで日々発生している課題や問題を一手に整理して傾向分析を実施し、納期へのインパクト、品質へのインパクトなどを整理し改善の方法まで健二に報告していた。おかげで健二は判断を誤ることなく、プロジェクト全てを成功裡に導いていった。そのことが本社でも評価されるようになり、北海道拠点は健二に任せておけば今後も成長するに違いないと噂されていたのである。そんな評価をされるようになり、健二は効率化や開発用の部品化も着実に進めていき、利益率も右肩上がりに伸びていた。しかし、里香としては複雑だった。懸命にサポートしてきたのに喜んでいるのは、健二としおりだったからだ。本来なら、健二と里香とで成功を喜び合いたいと思っていたのである。それでもきっとチャンスは巡ってくると信じて、献身的なサポートを継続していたのだった。毎日、健二の行動の変化を里香は監視していた。もし、翔が日本に帰ったきたら、きっとしおりに連絡を入れるだろう。その結果、翔としおりが元さやに戻るようなことがあれば、きっと健二


つづく


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愛を得るための策略や心の動きを綴りました。あなたの経験と重ねてお楽しみください。

仕事で活躍する2組の男女の恋愛を描きました。それぞれが相手を得るために策略を実施します。それを登場人物4人の目線で異なる短編として書き上げ…

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