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3月28日 シルクロードの日 【SS】残り物強盗

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- シルクロードの日

1900年(明治33年)のこの日、スウェーデンの地理学者・中央アジア探検家のスヴェン・ヘディンによって、廃虚になっていたシルクロードの古代都市・楼蘭(ろうらん)が発見された。

都市国家・楼蘭は、中央アジア・タリム盆地のタクラマカン砂漠北東部に、かつて存在した塩湖で「さまよえる湖」として知られるロプノールの西岸に位置した。シルクロードの要衝として栄えたが、4世紀頃からロプノールが干上がるのとほぼ時を同じくして国力も衰え、やがて砂漠に呑み込まれた。

「シルクロード」(絹の道)とは、古代の中国と西洋を結んだ歴史的な交易路を指す呼称である。絹が中国側の最も重要な交易品であり、この道を通って西方に運ばれたことから名付けられた。


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【SS】残り物強盗

 古代エジプト時代から発展し続けた地底国家は拡大の一途を続け、中国の敦煌のあたりまで達していた。国家として大きくなり、人口も増加するとどうしても悪事を働くものも現れ始めた。その数は数十人にもなり、その辺りの地下都市の一角はシルクシティという裏の名前が付けられていた。地下で悪事を働く集団は、地底国家内で悪事を働くわけではなかった。地底国家内で秩序を乱す行為を行うと厳しい法律により排除されるからだ。排除とは死を意味する。よって、地底国家では犯罪が極めて起きにくい生活環境が維持されていた。争いの元になる貨幣も存在していなかったのだ。

 シルクシティに巣食う悪事を働く集団はシルクエンジェルと陰で呼ばれ、シルクシティの住民には歓迎されていた。地下都市では見たこともないような綺麗なものや美味しいものを手に入れ配ってくれるからだ。他の地下都市とは違う生活がシルクシティには存在していたのだ。

 シルクエンジェルは、地上にあるロプノール湖まで地下水脈経由で水路を作っていた。近くはシルクロードと呼ばれる大きな貿易路となっていて、時折強盗に襲われ品物が強奪されるような場所だった。強奪されるのは高価なものばかりであり、強盗が襲った後には、多くの死体と強盗にとって価値のないものが散らばっていた。シルクエンジェルはその残っているものを狙っていたのだ。彼らがロプノール湖を通って地上に出るのは夜に限定されていた。太陽の光を見てしまうと目をやられてしまうからだ。闇に紛れて残っている品物を持って帰るのは、たやすいことだった。そして持ち帰った品物をシルクシティの住民に分け与え、自分たちの存在を明かさない見返りとして取引していたのだった。

 シルクエンジェルは、何世代もの間、親から子へと引き継がれ存続していた。ロプノール湖の水は地下水脈経由で絶えず流れ出していた。地下水脈との連携水路が地上にあらわれるようになるとその水路を塞ぎ、更に少し深いところに連携水路を作る工事をシルクエンジェルは繰り返していた。徐々に水位は下がっていっていたのだ。流石に湖の底が見え始めた頃、シルクエンジェルたちは、自分たちの行為が影響しているのではないかと思い始めた。

「おい、もしかするとこの湖は干上がってしまうんじゃないか。そうなると周辺の都市はどうなるんだ」

「ああ、この辺りだとこの湖が生活用水だろうから、みんな生活できなくなるかもなぁ」

「うわー、俺たち、なんか大変なことしでかしてるのかなぁ」

 シルクエンジェルは、人を傷つけたり何かを壊したりすることは望んでいなかった。しかし、長い間の活動が結果的に地上の人々を苦しめることになっているんだと思うと責任を感じざるを得なかった。

 シルクエンジェルと名乗っていたのは十人のメンバー。彼らはリーダーの意見に従うことを決意し、地上が夜になるのを待ってロプノール湖へと出ていき、地上側から地下都市へ通じる通路を埋め立ててしまった。そう、彼らは責任をとって自ら地底国家を離れたのだった。彼らは地上で生きていく術を知らなかったので、シルクロード近辺の都市を目指して歩き始めた。そして地上の昼間の太陽の光にもようやく慣れ、地上の人間と同じ時間帯に活動できるようになると、地上人の言葉を学習し何とか言葉が理解できるようになっていった。見た目から違う彼らに対し人々は冷たい目を向けていたが、砂漠のそばに住むお婆さんが優しくしてくれて、仕事と食事をくれるようになり、シルクエンジェルのメンバーは何とか生きながらえていた。

 おばあさんは元々はロプノール湖のそばに住んでいたそうだ。それを知ったシルクエンジェルは何とかこのお婆さんを助けてあげようと思っていたのだが、おばあさんから聞かされた話で後悔することになる。ある時、おばあさんは淡々と語ってくれた。

「昔はロプノール湖辺りには雨もよく降っていたから、湖にも水がなみなみと溜まって魚もたくさんいたんじゃが、いつの日か雨も少なくなり、日差しは強くなってしまったんじゃ。それが何十年も続いてしまい、流れ込む水もなくなって、湖は干上がってしまったんじゃよ。だから、湖の底が見え始めた頃、ここに引っ越してきたんじゃよ」

 何と、おばあさんの話によると、湖の水はシルクエンジェルが作った水路のせいではなかったということだった。シルクエンジェルのメンバーは考えてもいなかった原因に言葉も出なくなってしまった。通路は塞いでしまったので今更戻ることもできない。みんなは覚悟を決めた。

 シルクエンジェルのメンバーは、シルクロードを通る商隊を盗賊から守るための護衛として生きていこうと考え、訓練を重ねるとともに、ロプノール湖の底にある地底国家への入り口が地上人に見つからないように見張ることにした。

 その頃地下都市のシルクシティでは、シルクエンジェルが出ていったことを悟り、そこまでの地下通路を全て埋め戻してしまい、ロプノール湖の底の通路が見つかったとしても地下都市には入ってこれないようにしてしまった。シルクエンジェルとの連絡手段を全て閉ざしてしまったのだった。

 悪いことをすると天罰が下るとはよく言ったもので、シルクエンジェルたちは自分たちの祖先の過ちの分まで償いをすることを誓い、商隊警備という仕事に誇りを持つようになり地上での生活に馴染んでいった。文明が進んでいた地下都市に比べると不便なことが多かったが、数年もすればそれにも慣れ、すっかり地上人としての生活を楽しむようにもなり、そのうち地上人と結婚し子供も生まれ、平凡な家庭の一生を送ったそうだ。


下記のSSの内容の延長みたいなストーリーにしてみました。
この発想をくれたうぉんのすけさんに感謝です。


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