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9月12日 クイズの日 【SS】愛した人(繋がったパズル)

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- クイズの日

東京都渋谷区円山町に本社を置き、クイズ問題の提供、クイズイベントの企画・運営などを手がけ、日本初のクイズの総合商社として知られる株式会社キュービックが制定。

日付は「ク(9)イ(1)ズ(2)」と読む語呂合わせから。

クイズの魅力、面白さ、奥深さをさらに多くの人に知ってもらうのが目的。記念日は2021年(令和3年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。クイズの普及のため、この日を中心として同社によりクイズ大会などのイベントが開催される。


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【SS】愛した人(繋がったパズル)

 愛子のマンションに上がり込んだ証刑事は、一通り部屋の中を見渡した。

「とてもいいマンションですね。私たちには到底住めないような場所です」

「そんなことはありませんわ。それで、今日はどんなご用でしょうか」

「あ、はい。ちょっとお伺いしたいことがあります。先日、三人でお祝いをされた時に注文されたメニューを教えていただきたくてお尋ねしました」

「えっ、食べたものが何か関係あるんですか」

「ええ、実はですね。少し不審な点がありましたので、ご主人を司法解剖に回させていただいたんですよ」

「えっ、交通事故なのに司法解剖をするんですか。私、聞いてませんけど」

「はい、ご自宅に連絡をしたのですが、奥様がお留守だったのでご両親に許可をいただきました。こちらにいらっしゃるとは思っていなかったので申し訳ありません」

「そ、そうだったんですか」俄かに愛子の顔色が曇った。

「はい、なので食事された内容を確認しておこうと思いまして」

「そうですか。えーっと、あの時は、確かパエリアとチョリソくらいだったと思います」

「それは愛子さんも召し上がられたのですか」

「それはそうですよ。美味しくいただきました。あの店のパエリアはとっても美味しいんです」

「そうですか。お飲み物もみなさん同じものを飲まれたのですか」

「えっ、飲み物ですか? あの日は店のマスターが赤ワインを一本お祝いでブレゼントしてくれましたので、それを飲みました。飲み終えた後は、ハウスワインの赤をグラスで何杯か飲んでいたと思います」

「それは、愛子さん、あなたも同じですか?」

「いえ、私は赤はあまり好きじゃないので白を頂きました」

「なるほど、飲み物は男性は同じもので、愛子さんだけは違うものを飲まれたのですね」

「えっ、ええ、それが何か」愛子の動揺が大きくなった。

「実はですね。ご主人の司法解剖の結果が出たんです」

 愛子の表情が一変した。同時に、インターフォンが鳴った。愛子が画面を覗き込んで、更に青ざめている。後ろから証が画面を確認した。映っていたのは、スペイン料理の店、コンティーゴのマスターだったのだ。

「おや、コンティーゴのマスターと親しいのですね。入ってもらって構いませんよ」

 愛子はオートロックの扉を開けることなく、居留守を使うことにしたようだった。

「いえ、いいんです。そんなに親しいわけではありませんから」

 しばらくしたら、玄関の鍵穴から音がする。愛子と証が玄関に行くと、合鍵でドアを開け入って来たコンティーゴのマスターの音無静が、証刑事の存在に気付き、目を見開いたまま立ちすくんでしまった。するとまたしてもインターフォンが鳴った。今度は、音無の後を追ってきた縁梨刑事だった。すかさず証刑事がオートロックの扉を開けた。こうして、愛子の部屋に刑事二人と音無と愛子という奇妙な四人が揃ったのである。証刑事がリビングの窓際に立ち、静かに話し始めた。

「音無さん、愛子さん、あなた方は愛し合う間柄ですよね。ここにいる縁梨刑事が調べてくれましたよ。それなのに、なぜ、愛子さんは大杉さんと結婚されたのですか? おそらく遺産目当てですよね。大杉家の財産のほとんどは、少し前に翔太さん名義に変更されていました。手に入れた財産で音無さんの借金を返済する計画だったんじゃありませんか」

「何を証拠にそんなデタラメをおっしゃるのですか。音無さんとはただのお友達です」

「愛子さん、あなたは一之関芳雄さんともお付き合いをされていましたよね」

「もう、すでに別れましたよ。そんな過去の話をしないでください」

「でもね、一之関芳雄さんと大杉翔太さんは同じ日に、同じような交通事故で亡くなってしまったのですよ。音無さんの店を出てから三十分以内ですね。それに一之関さんが飛び降りたと言われている歩道橋は、音無さんのお店の裏口からだと目の前なんですよね。お店の正面入り口からだとグルッと回らなければならないので二十分くらいかかると思いますけど、従業員用の裏口から出れば目と鼻の先です。実は、二人とも司法解剖に回されまして、二人の胃の中からは、覚醒剤の成分が検出されたんです。それも最近流行りの覚醒剤だそうです。三人で食事をしていた最中に胃の中に入ったようです。心当たりありますか」

「証刑事さん、一体なんの話をしているんですか。心当たりがあるわけないじゃないですか。ましてや覚醒剤だなんて、知るはずがありません」

「そうですか。では、大杉さんは遺言書を準備されていたというのはご存知でしたか」

「えっ、遺言書?」

「はい、結婚して子供が生まれる前にもし自分が死んだら、大杉翔太名義の財産は一旦父親に全て戻すと書いてありました。公正証書になっていますので有効です。おそらく、完全には愛子さんを信用していなかったんじゃないでしょうか」

「そ、そんな、それじゃあ、私は殺されてしまうよ。愛子。借金を返済できなければきっと殺される。助けてください、刑事さん、全てお話ししますから」

 急に音無が刑事がいることも忘れ、愛子に訴えかけた。土壇場に追い詰められると男の方が先に折れてしまうようだ。音無は全てを話した。愛子と共に計画した内容だったと。覚醒剤は、音無が自分で楽しむために定期的に購入しているものだったし、そのことも借金を膨らませる要因でもあった。一之関を歩道橋から突き落としたのも音無が愛子に懇願されて実行してしまったと白状した。愛子は最初から音無を愛していて、なんとか財産を作って、一緒になる方法を考え、今回の事件を起こしたようだった。だが、愛子は何一つ手を下していない。実行したのは音無だけだったのだ。愛子は、交通事故だったら、司法解剖には回らないだろうと思っていたらしく、覚醒剤の件は絶対にばれることはないと音無に話をして実行させたようだ。

 こうして、関係がないと思われた二つの交通事故が一転して殺人事件としてクイズのようなパズルを解くように謎は解けた。証刑事は以前、店で音無と話をした際に、音無が「昨日ここで食事をした後」と言った瞬間、日付の話はしていないのに迷うことなく「昨日」と言ったことで疑いを持っていたのだった。こうして財産目当ての殺人事件は立件された。しかし、あくまでも実行犯は音無だけであり、愛子はどこまでも「計画はしていない」と否定し続けたそうだ。結果としては、状況証拠のみで罪が確定され、反省の色がないということで厳しい量刑が言い渡されたそうだ。立件する際の検事は、証刑事の兄の初雄が担当したようだ。

終わり


※ 記念日同士で一つのミステリーに仕立てる挑戦はこれで終わります。少し強引なエンディングとなってしまいました。


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