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8月29日 焼きふぐの日 【SS】たまの贅沢

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 焼きふぐの日

高タンパクで低カロリーの高級食材として知られる「ふぐ」の身を炙った「焼きふぐ」などを提供する、東京都港区虎ノ門にある料理店「心・技・体 うるふ」が制定。

日付は「や(8)きふ(2)ぐ(9)」(焼きふぐ)と読む語呂合わせから。看板メニューの「焼きふぐ」の美味しさを多くの人に知ってもらうことが目的。尚、店名にある「うるふ」は九重親方(元横綱千代の富士)の現役時代につけられた愛称で、同店のメニューの監修を九重親方が行っていることに由来する。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。


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【SS】たまの贅沢

「おい、健ちゃん。たまには贅沢にフグでも食べに行かないか」

「何、フグ。あの高級食材のフグか。一体、どこにそんなお金があるんだよ。毎日、ヒーヒー言いながら生活してんのに。洋ちゃんはお金持ってんのかい」

「ははは、ちょっとパチンコでフィーバーしちゃってさ。十万稼いだんだよ」

「えっ、洋ちゃんってそんなにパチンコ強かったっけ」

「いやいや、ビギナーズラックっていうのかな。そいつだな。多分な。だから、今回は俺が奢ってやるよ〜」

「いやいや、ちょっと待ってよ。奢ってくれるのは大歓迎だけどさ、フグって冬じゃないの」

「健ちゃん、まだ、そんな風に思ってるの。遅れてるねぇ」

「違うのかい。まぁ、ほとんどというか食べたこと無いから気にもとめてないけどな」

 元々、フグの旬は「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われ、そのことがフグの常識として根付いています。産卵期前の時期がトラフグの身は一番うまい時期と言われており、産卵期は春から初夏なので必ずしも期間的には一致していません。どうやらフグの身の旨さのタイミングからだけを考慮した格言ではないようです。食べ方の代表としてフグのチリ鍋は暖かい料理で冬に適していること、またその時に利用する柑橘類などが秋に旬を迎えるので利用しやすい季節であること、加えて成長した天然フグが産卵のために日本沿岸に近づくため収穫しやすいということが理由として考えられるそうです。

 現在では、フグの養殖が増え、一年中収穫に困らないということも、年中フグを食べることができる理由の一つですね。しかも、天然物と違い安定した供給を維持できるので、価格も低価格を実現できるようになったようです。とはいえ、他の魚と比較すると「高級」であることには違いありません。それに、養殖の方法によっては、トラフグといえども毒を持たなくなるため、調理の失敗による毒に当たるということがないということは安心材料の一つですね。それでもフグ料理の免許が必要なのは変わりません。

「健ちゃん、フグってのは、今や養殖されてるんだよ。特に九州とか多いみたいだよ。だから、今回食べにいくのも養殖ものさ。それに、今日は『焼きふぐの日』なんだってよ」

「えっ、『焼きふぐの日』、そんな日があるのか。夏なのにねぇ。じゃあ、せっかくだから、焼きフグだけと言わず、フルコースでご馳走になろうかな。ついでにヒレ酒もいいなぁ。エアコンが強烈に効いた店に、あったかいフグ料理を食べに行こう。洋ちゃん、お言葉に甘えてゴチになります。で、どこに行くんだ」

「そりゃあ、健ちゃん。『焼きふぐの日』を作ってくれた店に決まってるだろう。焼フグを中心にしたメニューが充実してるんだよ。ウルフこと横綱千代の富士が監修したお店らしいよ。その名も『心・技・体 うるふ』という店だよ」

「ほえー、かっこいい店名。でっ、もう予約したのかい」

「当たり前だよ。とっくに予約済みさ。さぁ、行くぜー。夕方五時からの贅沢だ」

 こうして、仲良しの同僚、健ちゃんと洋ちゃんは連れ立ってフグを食べに出掛けていきました。夕方からヒレ酒で気持ちよくなることでしょう。実はフグは焼き魚としてもとても美味しいのです。網の上でホクホクで香ばしく焼き上がったフグは、ヒレ酒との相性も抜群でしょう。きっと、健ちゃんと洋ちゃんは飲み過ぎてしまうのでしょうね。

「健ちゃん、美味かったなぁ、焼きフグ。何年振りかなぁ、フグ食べたの。しかも今回はちょっと変わったコースだったよな。ちょっとヒレ酒飲み過ぎたけど」

「洋ちゃん、実はさ、俺、初めてフグ食べたよ。いやー、美味かった、ヒレ酒」

「健ちゃん、初めてだったのか。しかし、一番気に入ったのはヒレ酒かい」

「うん、居酒屋で時々フグの唐揚げって食べるけどなんか違ってたような気がするな」

「ああ、それは多分、トラフグじゃないからだろうな」

「そうなんだー。でさ、奢ってもらって聞きにくいんだけど、今日の勘定、いくらぐらいだった。五、六万したのかな」

「えー、健ちゃん、そんなこと気にしてたのか。そんなにしないよ。今回はヒレ酒を飲んでも二人でその半分くらいだよ」

「えっ、そのくらいで行けるんだ。じゃあ、俺でも行けるなぁ。今度誘って行ってみようかな」
「えっ、行ってみるって誰とだよ。まさか、健ちゃん、彼女いるのか」

「あっ、いや、なんでもない。本当に、今日はご馳走様でした」

 おやおや、洋ちゃんは、健ちゃんからいいお店を教えてもらったと思ったみたいですね。次回は、きっと彼女を誘って焼きフグを食べに行くのでしょうね。彼女のいない洋ちゃんはちょっぴり可哀想です。夏の定番としては『うなぎ』ですが、たまには、『焼きフグ』という選択をするのも面白いかもしれません。


博多にもお店があるようです。


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