#14│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」
「オバアサン!馬南の姿を見なかった!?」
台所で米を炊こうとしているオバアサンの両肩を掴んで聞く。
「それが、見かけんのじゃ。どっか走りに行っとるんかの?」
もう一度寝室に戻る。猿飛が目を覚まし、いつものように柱に傷を刻んでいた。
「猿飛!馬南がいない!」
「なんだと!?」
楽丸と雉彦を起こし、馬南のことを話す。
「もしかしたら、別の場所で復活したのかもしれませんよ」
雉彦の言葉が本当だと信じたい。だが、家の周りを探しても、村に下りて聞いて回っても、馬南の消息はつかめなかった。
「桃騎の島にいるかもしれへんな」
そうだ、きっとそうだ。
望みを託し、船旅の準備をした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「馬南?戻ってきていないよ。一緒にいるんじゃないのか」
「なんでいないんだよ!!いるはずだろッ」
事実を答えただけの桃騎に掴みかかる。
猿飛の「落ち着こう」という言葉で我にかえる。
楽丸の提案で桃騎の島全体を探した。もしかしたら、桃騎と出会っていないだけで、島のどこかにいるかもしれない。昼食も食べずに探したが、見つからない。気が付くと、日が暮れようとしている。
「まさか・・・・・・」
猿飛が何かに気が付いた。
「確かめたいことがある。あそそこに行ってみよう」
◇◇◇◇◇
ロウソク島に着いたとき、完全に夜になっていた。
鬼ヶ島を越えた先にある、あの不気味な島だ。
「明日にしよう」とは誰も言わなかった。みんな馬南のことが気がかりで仕方ない。
猿飛は、あれから口を開かなかった。
洞窟に入り、奥に進む。目的地は、無数のロウソクが燃える謎の場所だ。
ロウソクの光が感じられるようになると、猿飛は集団を離れて突っ走る。
「どうしたって言うんだよ!」
慌ててその後を追う。
猿飛は、あるロウソク台の前で伏せている。そのロウソク台は、他と様子が違っていた。ロウソクは溶けきってしまい、何も燃えていない。
そして、よく見ると、ロウソク台には書いてあった。
馬南と・・・・・・。
猿飛がうめくように言った。
「復活できる回数は無限なんかじゃない。このロウソクの長さが、復活できる回数を表していたんだ」
「どういうことだ?」
「希火団子を食べておけば、復活できる。ここまではいいな?」
全員がうなずく。
「だが、何度でも復活できるわけではないんだ。復活できる回数は、ロウソクの長さと関係している。それぞれのロウソク台に、名前が書いてあるだろ?」
目の前にあるロウソク台を見た。たしかに、誰かの名前が書いてある。前に来たときは、動転していたので気づかなかった。
「馬南のロウソクは、私たちに比べて短かったんだ。ロウソクが燃え尽きてしまったから・・・・・・」
「復活できなくなった、ということか?」
猿飛の言うことは理解できた。馬南とはもう二度と会えないのか?そんな、どうしてあいつだけ・・・・・・
「ちょっと待ってください。わたくしたちのロウソク台は、どうなっているんです?」
雉彦の言葉にハッとさせられる。
「みんなで手分けして探すんや!」
楽丸が走りながら大声を出した。
ロウソク台は地面に直置きしてある。
這うようにして自分たちのロウソク台を探し回った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「これ、だけ・・・・・・・?」
情けない声が出た。
多くのロウソクは、膝まで届くほど長い。
しかし、「桃太郎」と書かれたロウソクは小指ほどの長さしかない。
猿飛、楽丸、雉彦も似たようなものであった。
「この長さ・・・・・・あと何回復活できるんだ?」
猿飛が両腕を組んで疑問を口にする。
「って、聞いても誰もわからんよな。次に復活したとき、どれくらい減っているか見て、逆算するしかないな」
「ワシが説明いたしましょう」
――誰だ!?
(つづく)

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