『BPM 小西康陽特集』
自分はロックから本気で音楽を聴いてきた人なんですけど、小西康陽さんが監修してCDで再発されたロジャー・ニコルズのアルバムから始まって世界が大きく広がっていったという体験はとてつもなく大きなものでした
今や誰でも知っている名盤ですけど、当時は知る人ぞ知る扱いだったんです
いかにもロッカーみたいなのは元々苦手でヘビメタも無理だったものの、この衝撃はビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』と並んでそれまでの自分の音楽観を塗り変えてしまったほどでした
一般的にはまだ何者でもなかった小山田圭吾さんが、当時よく知られていたファンジンの『英国音楽』に掲載された四コマ漫画で『ペット・サウンズ』を片手に登場したりとか、特にネオアコという方面の音楽が好きだった人たちには大きく影響していました
「ネオアコって何?」という方には自分の過去の投稿をリンクしておきますね
ほぼ同時期にヒップホップやハウスがクラブ経由で浸透していきます
ヒットチャートの上にあるだけの踊れる要素のない音楽を掛けていたディスコには微塵の興味もなかったものの、(今やその当時のディスコとほぼ同じものになってしまったけれど…)クラブは行けば何かが必ずあるという宝箱のような存在でした
小沢健二feat.スチャダラパーさんの『今夜はブギー・バック』は、個人的にはそれほど好きではないものの、今でもカバーされたりする名曲ですけど、クラブ・カルチャーの世界をそのまま曲にしたものです
リアルタイムで視聴できなかったから断片でしかわからないものの、こちらのバージョンなら「わかるー」となるんですけど…
そこからソウルやR&Bといった「ブラック・ミュージック」の世界にハマっていくんですけど、ジャマイカや🇬🇧のジャマイカ移民の子たちが演るレゲエも含めてそちら方面に移行するはそれほど大変なことじゃなかったです
でも、更に掘り進めていくとブーガルーやサルサやブラジルのサンバやボサノヴァというラテンの音楽が見えてきます
ここを楽しむためには一つの壁を乗り越えるような感覚がありました
リズムが四拍子から八六というものに変わりますし、言葉もスペイン語やポルトガル語で言葉の響き一つで音楽そのものも変わってしまうので
僕はロック沼に本格的に突入する前に軽音楽を好んでいたから、ティト・プエンテなどにも親しみがあってわりあいすんなりイけた感じかなぁと思いますが、ファニアという名前のつくアナログレコードやCDを聴いていった最初はこれでした
2枚組のアナログレコードの前半二曲目で、盛り上がったお客さんが当たり前のようにやっている「クラーベ」という手拍子がとにかく楽しげだったんです
ほぼ同時期にジャズという大きな山も乗り越えなければならないことになっていきましたが、それらを聴く耳を得る大きな手掛かりをいただいたのが『ミュージックマガジン』誌であり、名物編集長だった中村とうようさんでした
ワールドミュージックという概念で世界中のポピュラー音楽が紹介されていた時期でもあり、ラテンとジャズをとりあえず乗り越えた先に開けてきた豊穣な音楽の世界へと続いていきます
ロック沼からは、ノイズ・インダストリアル系やフリージャズや現代音楽とも近しいインプロビゼーションや、ずっと後に名付けられたソフトロックやその周辺の音楽を
ソウルやR&Bからは、同時代に幾つものリミックスで12インチシングルレコードが出されていたヒップホップやハウスやそれらの元ネタであるレアグルーヴやアンダーグラウンドなディスコやダンスホールスタイルのレゲエから、ジャズも含めて更にいろいろと
ラテンやサンバからは、ワールドミュージックと呼ばれた世界中の魅力的なポピュラー音楽を
全部同時並行して、時代を遡ったり最先端に戻ったりしながら、ひたすら音楽に浸っていましたが、それができたのは『ミュージックマガジン』誌と中村とうようさんご本人と周りに集まってくる信頼するに足るそれぞれ専門の評論家さんがいたから故です
『BPM 小西康陽特集号』をパラパラと眺めていて、小西さんもまた改名する前の『ニューミュージックマガジン』を中高生時代にむさぼり読んでいた中村とうようチルドレンだったとの本人の言葉を見つけて、一見スタイリッシュながらも押さえるべきをきちんと踏まえた音楽に共感して後追いしていたから、「やっぱりそうなるよねー」と嬉しくなりました😃
この号は値段の割にペラペラで勿体ないと感じるかもしれませんが、中身はおそろしいまでの充実ぶりで、一時Amazonから品切れになったほどなので買っておいた方が絶対いいと強くお勧めしたいです
そんなに部数を刷っているとも思えないから、後で買おうとしてもプレミアムなお値段になっているかもしれないですしね
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コロナ禍の頃に、浴びるほど聴いた新しいJポップに強く影響していたボカロ系などのDTMミュージックやそこからメジャーシーンで人気となった人たちに惹きつけられましたが、それと同じくらい実は面白いんじゃないかな…と思わせたのがクラシック音楽でした
(ジャズを更に面白く聴くためにもクラシックを聴く耳が役立ちました)
ラテンやジャズを面白く聴くための耳を養うことの応用でイけたからとも言い得るほどにあの頃の経験は役立ちましたし、小西さんは水先案内人としてはとてもセンスの良い方でいらっしゃいました
自分にとり音楽とファッションは分かち難いものだったから、小西康陽さんのつくる音楽のスタイリッシュなあり方に対しては今も特別な思いで接しています
今こんな音楽が好きという投稿もしましたが、すべてはそうした過去があったからこそです🙂
