蝶の舞(第3話)
川の周辺に生物たちが快適に棲める多自然型河川工法を学ぶために大学の専攻をした明日香は、ますますその夢を確固たるものにして、川の氾濫や治水なども総合的に含めた研究を深めていき、成果を上げていった。河川周辺で、人間と営んでいる動植物たちが共生できる場所にする研究がどんどん進んだ。明日香の周りをまとわりつく昆虫たちと、明日香は次第に会話ができるようになっていて、それはテレパシーに近いコンタクトの取り方で、そうするうちに川の流れや界隈の自然の大いなるものとも、コンタクトを取ることができるようになっていた。それは恐れに近い感覚だったが、コンタクトを取っているうちに自分の側に寄ってきてくれる、そんな不思議な感覚だった。
大学から大学院に進学した明日香は、有能な研究者になっていた。そして、ある意味有名人物になっていて、開け放しにしている明日香の部屋に、見知らぬ男性が入り込んで、明日香の隣で寝ているという事もあった。しかし、いつの間にか神々しいオーラを纏った明日香には、誰も手出しできない雰囲気になっていた。いつも身なりは質素で、目立たない格好をしていたが、面白い話題も提供できるし、どこかひっそりとした影に寄り添える美しい大人であり、偉大な科学者になっていた。
研究の為に足しげく通った川は聖地になっていた。どんなに雨が激しくなっても、治水がしっかりされている川のそばで、人々は安心して暮らせたし、水辺に棲む動植物たちは、ある意味人間の手の入らない自然の中で棲めるようになり、多種多様な動植物が戻ってきていた。
著名な研究者であり、実地に戻づいた施工者にもなっていた明日香と、国や県とも連携がスムーズに取れて、人間にとっても、川を中心とした自然豊かな場所になっていた。変わらないことは一つあって、明日香の頭上には、たくさんの蝶や昆虫たちが群がって飛んでいて、街の名物になっていた。
もともと精神的に美しい子どもであった明日香でしたが、人に寄り添える、動植物たちと会話しつつ寄り添える、自然の掟を守りながら会話できる、ますます魅力的な人物になっていた。(終わり)
第一話 2259字
第二話 1669字
第三話 883字
合計 (4811字)
