社長が仕事を取るほど、会社が苦しくなることがある
会社を経営している以上、
仕事を取ることは社長の大切な役割だと思っている。
営業に行く。
人に会う。
企画を考える。
提案書をつくる。
そして、仕事を受注する。
新しい仕事が決まれば、当然うれしい。
売上が増える。
会社の可能性が広がる。
スタッフに新しい経験をしてもらえる。
だから私は、これまで社長として、
仕事を取ることにかなりの時間を使ってきた。
でも最近、悩む。
社長が仕事を取るほど、
会社が苦しくなるのではないか。
新しい仕事は、社長に集まってくる
ELKやGATESでは、小売や宿泊、旅行だけでなく、
さまざまな仕事を行っている。
企業向けの自然体験。
地域イベント。
行政と連携した事業。
登山やアウトドアに関わる企画。
宿泊と体験を組み合わせた旅行。
こうした仕事には、
最初から決まった商品があるわけではない。
相手の話を聞きながら、
何を求めているのか。
ELKに何ができるのか。
いくらなら実現できるのか。
一つずつ組み立てていく。
その入口にいるのは、多くの場合、社長である私だ。
私が相談を受ける。
企画を考える。
見積もりをつくる。
相手と条件を調整する。
そして案件が決まると、
そのまま私が中心になって動き続ける。
仕事が増えれば増えるほど、
私にしか分からないことも増えていく。
受注した瞬間から、別の仕事が始まる
仕事を取るまでは、営業だ。
でも、受注した瞬間から、仕事の内容は変わる。
実施体制をつくる。
スケジュールを決める。
関係者へ連絡する。
現場を確認する。
予算を管理する。
営業で話した内容を、
社内で実行できる形に変えなければならない。
ここが弱いと、逆に、会社にとって負担になる。
社長は「新しい案件が決まった」と喜んでいる。
でもスタッフから見れば、
「また知らない仕事が増えた」
「誰が担当するのか分からない」
「いつまでに何をすればいいのか見えない」
となることもある。
仕事を取ることと、
会社がその仕事を受け止められることは、
別の問題なのだ。
社長の頭の中だけで、案件が進んでいく
私自身、思い当たることが多々ある。
商談の場では、相手とかなり具体的な話をしている。
その場で方向性が見えると、私の頭の中では
次々と企画が組み上がっていく。
「これは、このスタッフにお願いできる」
「この場所と組み合わせられる」
「この事業にもつながるかもしれない」
自分の中では、かなり進んでいる。
でも、会社に戻ってみると、
その内容をまだ誰にも共有していない。
スタッフにとっては、何も始まっていない。
社長の頭の中では8割まで進んでいる案件が、
社内では0のまま。
この差が大きくなるほど、会社は混乱する。
新しい仕事を取るほど、既存事業を見る時間が減る
もう一つの問題は、
新しい仕事に時間を使うほど、
今ある事業を見る時間が減ることだ。
ELKの売場。
在庫。
スタッフの状況。
ツアーの集客
gosenやAlps Lapsの稼働。
登山サブスクの運営。
新しい商談は、未来の売上をつくる。
でも、今ある事業を整えることも、
同じくらい重要。
社長が外で仕事を取っている間に、
既存事業の小さな問題が積み重なっていく。
気づいたときには、
在庫が増えていたり、
現場の負担が偏っていたり、
数字が計画を下回っていたりする。
仕事を取っているのだから、会社を前に進めている。
そう思いたい。
が、新しい案件が増えることと、
会社そのものが強くなることは同じではない。
社長がいないと回らない仕事を増やしてはいけない
一番危険なのは、社長が仕事を取るたびに、
社長がいなければ回らない仕事
が増えていくことだと思う。
相談窓口も社長。
企画も社長。
判断も社長。
現場対応も社長。
請求前の確認も社長。
これでは、売上が増えても会社の処理能力は増えない。
社長の時間には限界がある。
私が忙しくなることでしか売上を増やせないなら、
それは会社の成長ではなく、
社長個人の稼働を増やしているだけだ。
仕事を取ることは必要だ。
でも同時に、
誰に引き継ぐのか。
何を標準化するのか。
どこまで任せるのか。
どの段階で社内へ共有するのか。
そこまで設計しなければならないと反省する。
仕事を取る社長から、仕事が回る会社へ
私はこれからも、営業をやめるつもりはない。
今のELKやGATESには、新しい仕事をつくることが必要だ。
まだ世の中にない企画を形にするには、
私が先頭に立たなければ進まない場面もある。
ただ、仕事を取ることだけを、
自分の成果にしてはいけないと思っている。
取った仕事が社内に共有される。
担当者が決まる。
必要な利益が残る。
現場に無理がかからない。
次は私がいなくても実施できる。
そこまでできて、初めて会社の仕事になる。
問題は、
取った仕事を、
会社の仕組みに変えられていないことだ。
私が仕事を取り続けなくても、仕事が回る会社へ。
今の私が次にやるべきは、
営業の量を増やすことだけではなく、
取った仕事を組織に渡せる形にすることだと思っている。
でも、営業って楽しいんだよね。
(今日は頑張りました。3記事も書いちゃった)
