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田舎に戻り、猫を飼うようになった。

といっても、おいてあるダンボールに勝手に入り、時間になるとスキに散歩に出かけ、メシ時になると食べにくるという、自由気ままな飼い方である。

もともと目の前にあった商店で、店主のおばさんがノラネコどもに餌をあげていたのだが、その商店も閉店となり、店舗はすでに取り壊され、その猫がくるようになったという次第である。

その店舗が取り壊された直後、3匹いる猫が、取り壊された店舗の瓦礫がおりかさなる跡をぐるぐると行ったり来たりしており、自分の居た記憶をかぎとろうとするかのように、いろいろなところを嗅ぎまわっていた。

そんな感じに思えた。

今は整地され、あたらしいブロック塀が敷かれ、横にジャバラ状に伸びたり縮んだりする鉄製の門ができている。

その門の向こうに、かつての店主のおばさんが住んでいる家がある。

そこまで、猫たちは餌をもらいに行く。

時間になると、しっかりと集まってくる。

そして自由気ままに解散する。

その後、うちに猫が来る。

年老いた猫だ。

15歳というから、人間の年齢にすると70歳後半くらいか。

食べると寝る。

昼になると周囲を散歩する。

その散歩は、「パトロール」と呼んでいる。

たかだか200メートル四方を行ったり来たりする。

人間はまだ見ぬ世界を飛び回ったり、我先に宇宙へと出て行こうとしたり、とても行動範囲が大きい。

それに比べ、猫の人生…もとい”猫生”を思うと、とても小さな範囲を生活圏としている。

それでいいのだろうかと少しさみしく思う。

いや、それで良いんだろう。

寝て起きて、ご飯食べて寝て自分の見知った生活圏をパトロールして、それでいいのである。

もしかすると、人間はあくせくしすぎなのではと、都会から帰ってきた自分はそう思った。

ある朝、戸を開けると、ひだり頬からダラリと血を流しているその老猫がいた。

大怪我をしているのに、いつものように座っている。

ニャーン。とないた。

なき声は「いたいよ~…」と言っているように感じた。

その後、少し目をはなした隙に居なくなった。

かつての店主のおばさんが住んでいる家のほうで、物置の隅にある小さいダンボールでうずくまって居るという。

猫は猫なりに、治そうと懸命に休んでいる。

へたに動いて傷口が開かないよう、触らないように、そのままにする。

次の日、ヨレヨレになりながら、いつもの行動をとろうとして、うちのダンボールまで歩いてきた。

数メートル歩くと休む。

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30分くらい座ったままだ。

またヨタヨタと歩く。

やっとのことで、うちのダンボールに入る。

寝る。

食べ物は食べようとしない。

頬が痛くて、食べられないような感じに見えた。

頬の傷は、毛がくしゃくしゃになってカサブタになって固まっていた。

夜はまた、おばさんが住む家の、物置の隅にある小さいダンボール寝ていたようだ。

次の朝、教えてくれた。

ゲル状の餌をあげると、少しだけペロっとする。

少しだけのペロリを数回すると、寝る。

すごくやせてしまった。

起きると、ゲル状の餌をあげる、少しだけペロっとする。

そして寝る。

そういったことを繰り返して数日が過ぎた。

5日くらいたち、うちのダンボールに入って寝ている猫を見る。

もうだめかと思っていたら、ゆっくりと起きて、水桶までゆっくりと歩く。

水を飲む。

5分くらいかけて水を飲む。

頭をなでる。

また水を飲んだ。

寝た。

次の日、寝ているダンボールのところまで行くと、”にゃん”とないた。

にゃんとないて、ダンボールからゆっくりと出た。

水を飲んだ。

その"にゃん"は、「おはよう~」と言っているようだった。

頬の大きなカサブタは取れていた。

思わず、

「おまえ大丈夫なのか、、」

と言って、あたまをクシャクシャとなでた。

傷はなおり、元気にまたウロウロするようになった。

仕事場の入り口に、少し傾斜しているスロープがある。

その老猫は、そこにゴロンとする。

一緒に座ってあげると、ゴロンゴロンとなる。

ネコ科の動物は、この地面にゴロンとするのが愛情表現なのだと、

とあるテレビ番組で言っていた

嬉しいんだろう、と思う。

そうすると自分もなんだか、とても嬉しくなる。

この老猫が動かなくなったときに、自分は泣くだろうと思う。

せつない。

命あるものはいつか死ぬ、ということを教えてもらうのだと思う。

なにを考えているのかわからないけれど、

猫はうれしそうに今日もゴロンゴロンとする。

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ここまで読んでいただきありがとうございました。
2020年6月8日に永眠いたしました。
あまりにも悲しいですが、記事を描いていますので
リンクしておきます。
「愛猫が永眠いたしました。」

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絵かき浅野・猫(キイチ)漫画(素人)は保留です… ご訪問ありがとうございました。 ▼キイチ(猫)漫画・第一部(プロトタイプ)まとめました。  ご興味などございましたらご覧ください。 https://note.com/ordinary_life/n/nbf2ac79c49ec