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【不動産投資はやめておけ】第一回;プロが断言する「買ってはいけない人」と3つの致命的な罠

上記の他に広告宣伝費なども販売価格に転嫁されます

「不労所得で将来安泰」「サラリーマンでもできる節税対策」
ネットやSNSを開けば、不動産投資を勧める魅力的な言葉が溢れています。しかし、実務の最前線にいる人間の立場から、最初に結論をお伝えします。
「大半の人は、不動産投資なんて絶対にやめておいた方がいい」
なぜこれほど強く否定するのか。それは、不動産会社が提示する「バラ色のシミュレーション」と「厳しい現実」の間に、埋められない深い溝があるからです。
本記事では、机上の空論ではなく、不動産の本質を知るプロの視点から、初心者が必ずハマる罠と、「個人投資家が絶対に勝てない流通と数字の仕組み」についてリアルに解説します。

1. なぜ営業マンは「そんなに儲かる物件」を自分で買わないのか?
個人宛てに電話やメールで熱心に不動産投資を勧めてくる営業マンに対して、誰もが一度はこう思うはずです。
「そんなに儲かるなら、なぜ自分で買わないの?」
その答えは非常にシンプルです。「彼らが売っているのは、プロが買い叩いた後の『残り物』だから」あるいは販売委託を受けた会社で勤務しているだけで『物件の生立ちをしらない』からです。
多くの人は、自分が「1番手」として新鮮な物件情報を仕入れていると錯覚しています。しかし、それは限りなくゼロに近い幻想です。現在の不動産市場は、情報も物件の質も完全に「2極化」しています。

例えば、実需(実際に居住する用)の最高級分譲マンションの世界では、そもそも一般市場に情報が出ることすらありません。

公式サイトやポータルサイトに掲載される前に、一部の富裕層やお得意様だけに水面下で連絡が回り、1戸3億円以上するような物件が表に出ることなく即完売していくのが今の時代のリアルです。
本当に価値のある住戸は、一般人が存在すら知る前にインサイダーの間で完結しています。

では、個人のサラリーマン向けに営業電話が回ってくる「投資用物件」の仕入れはどうなっているでしょうか。こちらも、一般人が知らないプロの間で凄まじい転売が繰り返されています。
私が実務で実際に目撃した、ある政令指定都市の土地の流通プロセスをリアルな数字で明かします。

第1ステップ(川上):最初の地主が、不動産会社Aに坪45万円で売却。

第2ステップ(川中):不動産会社Aが、何もせず別の不動産会社Bへ坪60万円で転売。

第3ステップ(川下):不動産会社Bが、私の勤務先(不動産会社)へ坪95万円で持ち込む。

地主の手を離れてから、プロの間を回っているだけで、土地の価格は2倍以上(坪45万→95万)に跳ね上がっています。

ここで「プロの不動産会社なのに、なぜそんな高値掴みだと分かっていて仕入れるのか?」と疑問に思うでしょう。
理由は明確です。大手不動産会社やデベロッパーにとって、「土地の情報が上がってこなくなること」こそが最大の死活問題だからです。
容積率100%あたりの坪単価に引き直して考え、収益化できると判断しました。

地主という生き物は、ネットの一括査定など使いません。代々お付き合いのある地元の不動産会社にしか相談しない特性があります。そのため、私たちにも仕入れ専属の営業マンがいますが、それだけではとても手が回りません。
だからこそ、途中の業者が利益を乗せた川下の情報であっても、「我々が購入しなければ他社に買われてしまう」「ここで買っておかなければ、次の優良情報を一番手で紹介してもらえなくなる」と考えます。つまり、この値上がり分は、プロの世界で生き残るための「情報維持コスト(必要経費)」なのです。
ここに建物が建ち、最終的に「投資用マンション」として一般の会社員に営業がいく頃には、一体いくらの利益が上乗せされているでしょうか?富裕層が買う実住用の最高級マンションは3億円以上でも水面下で即完売する一方で、個人が融資を組んで買う投資用物件は、プロが生き残るためのコストまで上乗せされた「最後の残り物」。これが不動産業界の冷酷な現実なのです。

2. 販売図面のトラップ:プロが見る「NOI利回り」と、個人に躍る「アップサイド表面利回り」
さらに悪質なのは、提示される「数字のトリック」です。

プロ同士が物件を売買する際、重要視するのは「表面利回り(想定家賃収入 ÷ 物件価格)」ではありません。実際の運営費用(管理費、固定資産税、修繕積立金など)や空室リスクを差し引いた、真の収益力を示す「NOI利回り(ネット利回り)」や「IRR(内部収益率)」をシミュレーションの絶対的な基準にしています。

しかし、これが個人のサラリーマン向けに作られた販売図面になった瞬間、不都合な経費はすべて隠され、「満室想定の表面利回り」という、化粧を施された見栄えの良い数字だけがデカデカと記載されます。

現在、23区内で総戸数12戸前後、価格3億〜5億円、表面利回り4%前後といった新築一棟投資用マンションが売られていますが、プロの目から見れば、融資を引いて買う個人がこれで利益を出すのは極めて困難です。
なぜなら、その「表面4%」の計算根拠となっている想定家賃自体が、業者が限界まで盛り込んだ「アップサイド賃料(相場の上限・新築プレミアム)」だからです。
実際のマーケットでは、その強気の賃料ではまず客付けができません。オーナーが直面するのは次の2つのリスク(地獄)です。

家賃を下げて決める:利回りは4%からさらに転落し、実質NOIは3%未満、最悪2%台の完全な赤字へ。

家賃を下げずに粘る:何ヶ月も空室が続き、その間の家賃収入がゼロになるという莫大な「機会損失」が発生。


普通に計算するとガタガタになり、購入直後から家賃値下げか空室期間の長期化という機会損失の罠が待ち受けている。だからこそ業者側は、「満室ならこれだけ入る(表面)」という絵に描いた餅をアピールして、数字を盛るしかないのです。

3. 初心者がハマる「3つ」の致命的な罠
このように、最初から歪んだ数字の物件を買わされるため、購入した瞬間に以下の3つの罠に捕まります。

罠①:空室リスクと家賃下落の二重苦(※ただし例外あり)
「サブリース(家賃保証)があるから安心」は最大の誤解です。保証賃料は定期的に見直され、特に地方の一般的な物件では築年数とともに下がる可能性が極めて高いのが現実です。
しかし、本物のプロはここで一歩深く見ます。実は、保証賃料は「確実に下がる」とは限りません。 現に私の勤務先では、市況に合わせて保証賃料を「上げている」ケースもあります。地方であっても、大型データセンターの建設や、大規模工場の新設、発電所の建設といった「巨大なイベント需要」が起きたエリアでは、稀に保証賃料が上昇することすらあるのです。
問題なのは、「自分が買おうとしている物件に、それだけの家賃上昇を牽引する強烈なファクト(数字)があるか?」を検証せず、業者の「なんとなく右肩上がりのシミュレーション」を盲信してしまうことなのです。

罠②:見落とされる「維持・修繕コスト」と重要事項説明の盲目
物件は生き物です。ご自分で管理する自主管理(専業)でやるなら必要有りませんが通常は管理会社に管理を一任するので管理手数料として月額総賃料の3から5%の管理手数料、10年〜15年周期でやってくる大規模修繕や、退去毎の原状回復費用をシミュレーションに正しく組み込んでいない人が多すぎます。
中古区分マンションを検討する際、「現在の修繕積立金の総額」自体は、契約前の「重要事項説明(重説)」や調査報告書で確認することができます。しかし、ここが最大の落とし穴です。
重説では、「現在の積立金が、長期修繕計画に対してこれだけ不足しています(将来破綻します)」などという親切な解説や警告は絶対にされません。
書類にただ数字が並んでいるだけで、その数字が持つ「危険性」はスルーされたまま契約を迫られます。大規模修繕履歴や計画書を自分で突き合わせて「引き算」ができない素人は、ここで確実に致命傷を負います。
もし、あえて中古を狙うなら、私たちはどこを見るべきか。素人は「なんとなく新しそうだから」と築20年前後の物件を選びがちですが、プロの視点から言えば、過去の大規模修繕履歴を自分の目で精査した上で、あえて築30年以上(バブル期建築)の物件を狙う方がはるかに賢明なケースがあります。
素人が見落とす配管や躯体の質ですが、実は1980年代後半〜1990年代初頭のバブル時代に建築された物件は、潤沢な予算を使って建てられているため、コンクリートの質や建物内部の配管の仕様が驚くほど頑丈なケースが多いのです。
目先の綺麗さではなく、「適切な修繕履歴の確認」と「数字を読み解く力」は絶対条件です。

罠③:金利上昇という目に見えない爆弾
現在は超低金利ですが、変動金利で限界までローンを組んだ場合、わずか0.5%の金利上昇でも毎月の収支(キャッシュフロー)は一瞬で赤字に転落します。

未来にかかる費用をしっかり計算しましょう

4. 命運を分けるのは「サブリーサーや管理会社を見極める能力」
ここまで読んで気づいた方もいるかもしれませんが、不動産投資(経営)の成否は、つまるところ「サブリーサー(家賃保証会社)や管理会社をしっかり見極める能力があるか」に集約されます。
世のおおかたのサラリーマン大家が失敗するのは、サブリーサーの能力や財務基盤、 tender な契約内容、管理会社の管理仕様、コスト、そして重説に書かれた数字の裏側を見極める眼力がないまま、ただ「保証」や「一括管理」という言葉に依存して思考停止してしまうからです。
市況やエリアのポテンシャルを正確に読み解き、時には保証賃料を上げる交渉や経営判断ができる優秀なサブリーサーや管理会社と組むことができれば、リスクは最小限に抑えられます。
逆に、そこを見極める能力がないのであれば、やはり「不動産投資は絶対にやめておけ」と言わざるを得ません。

5. 【結論】不動産投資を「やっていい人」「ダメな人」
厳しいことを書きましたが、不動産投資(経営)そのものが悪というわけではありません。この仕組みが圧倒的な武器になる「明確な境界線」があります。

絶対にやめておけ(手を出してはいけない人)

•営業マンからのアプローチをきっかけに検討し始めた人
販売図面の「表面利回り」や、重説に書かれた「積立金総額」の数字を鵜呑みにしてしまう人
サブリーサーの実力や契約内容を見極める能力がない人

•自己資金が少なく、フルローンを組もうとしている人

やってもいい人(不動産を活用すべき人)

•自分でサブリーサーの適格性を見極め、パートナーとして選定できる人

•潤沢な余剰資金(まとまった現金)があり、レバレッジ(融資)に頼りすぎずに資産を守りたい人

•すでに所有している土地があり、「貸家建付地(かしやたてつけち)」としての評価減を利用して、相続税の節税対策として賃貸物件を建築・運用したい人

•自分で「NOI利回り(実質利回り)」を計算し、引き算のシミュレーションができる人

つまり、他人が何回転もさせて利益を抜き取った後の物件を、融資に依存して「一発逆転の利回り」を狙って買う個人投資家は確実にカモにされます。しかし、「すでに資産があり、その出口戦略や守りの手段(相続対策・土地活用)として、信頼できるサブリーサーを見極め、自ら川上で不動産を組み込める人」にとっては、今でも最強のツールなのです。

次回予告
「それでも自分は不動産投資に挑戦したい」という方へ。

次回は、まさに今回お話しした、業者が絶対に見せたくない「正しい収支シミュレーション(NOI)の引き算のやり方」について、具体的な数字を挙げて解説します。
安易に契約書に判を捺す前に、一度立ち止まって計算し直してみましょう。

※この記事に書かれた内容は、あくまで私個人の実務に基づく「感想」です。不動産市場の状況は常に変化しますので、実際の投資判断やご契約にあたっては、必ずご自身でリスクを検証し、自己責任にてお願いいたします。

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