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迷うこと1ヶ月、決着はわずか10分。カメラ迷宮を終わらせた、FUJIFILM X-E5という直感。

およそ1ヶ月にわたる「迷宮」の出口は、名古屋・栄の交差点、その一角にある老舗カメラ店の3階にありました。

こんにちは、おせんどうです。
「バッグを増やしたくない」「でもボケ感が欲しい」「ファインダーって必要?」……。 iPhone 16 ProとOSMO Pocket 3という、2026年現在でも十分なお手軽VLOG撮影機材を持っていながら、なお「あと一歩の質感と、写真撮影にも手を出してみたい」と、のた打ち回っていた私ですが、ついに終止符を打ちました。

本日は、理屈で塗り固めたエンジニアの、迷いに迷ったカメラ選びの一部始終を綴ろうと思います。


第1章:スペックという名の「正論」を確かめに

まずは「王道」から攻めるのがセオリーです。候補に挙げた機材は前回記事のとおりですが、私の第一候補は、SONY α6700でした。 圧倒的なAF性能、動画と写真のハイブリッド性能、そして信頼のソニーブランド。ネックだったのはその「大きさ」だけ(一眼カメラの中では、それでも十分に小さいのですが)。ならば実機を触って、自分のカバンに入るかどうかを確かめるのが先決です。

APS-Cのフラッグシップということで、家電量販店でも扱っていることが多く、店頭で見かけたことはあります。とはいえ、いよいよ購入となると、安い買い物ではないだけに慎重にならざるを得ない。「カメラボディは中古で十分」という話も耳にしていたので、状態が良さそうな中古を扱っている近くのカメラショップを探しました。

そして休日、私は栄の「トップカメラ」へと向かいました。 美品の中古ボディを置いていることは事前に調査済み。中古コーナーでα6700を手に取った第一印象は、「ふむ、思った通りだ。サイズもなんとかなりそうだ」でした。 確かにコンデジに比べれば大きい。けれど、薄いパンケーキレンズさえ選べば、いつものショルダーバッグの隅に収まるイメージが湧きました。「よし、レンズ次第でサイズは問題にならない。α6700、これに決まりかな」

……この時はまだ、そう思っていたんです。

第2章:富士フイルムという「一目惚れ」の伏兵

その場で購入には踏み切らず、組み合わせるレンズも観ておこう、とソニーで決まりかけた心を抱えて1階の新品コーナーへ降りると、そこには多くのカメラたちが並んでいました。 Canon、Nikon、OM SYSTEM……。心はα6700ですが、ひととおり観てみることに。順ぐりに触れていく中で、あるブースの前で私の指が止まりました。

富士フイルム。

もともと気になっていたX-E5のクラシックなカメラらしい佇まいは「やはりアリだな。。」と再確認したのですが、そこに鎮座していたX-T30 IIIを見た瞬間、何かが「グッ」と来ました。

チャコールシルバーのレトロで道具感あふれる佇まい。そして、驚くほどのコンパクトさ。 手に取ると、金属の冷たさとダイヤルのクリック感と、中央に配置された存在感のあるファインダーとアイカップが、「撮るぞ」という気分にさせてくれる。おまけに、ボディで13万円くらいの優しい価格設定。(このときは富士フイルムのレンズは調べてなかったのですが)多少高いレンズに手を伸ばせるかも。。正直、かなり揺らぎました。

しかし、私は衝動買いをしないタイプ。 「ノーマークだった機種は、一度持ち帰ってスペックを精査する」というエンジニア的な鉄則に従い、その日は震える手を抑えて店を後にしました。

帰宅後、X-T30 IIIと、改めて富士フィルムのカメラ・レンズについて調べ尽くしました。 独自の「フィルムシミュレーション」が生むエモい撮って出し。23mmや27mmといった、私が求めていたパンケーキレンズの充実。 調べていくうちに、当初の「VLOGのアクセントに」という目的が、少しずつ変質していくのを感じました。 「このカメラで、本格的に写真を始めてみたい」

第3章:元写真部の妻と、「プロの作例」という高い壁

後日、私は強力な助っ人を伴って再びトップカメラを訪れました。 大学時代、写真部で鳴らした妻です。私の趣味に口を出すタイプではないので、本人が愛用しているキヤノンを推してくる様子もなく「カメラ買うならついていこうかな」と、一緒に来てくれました。

目当てのX-T30 IIIを前に、意気揚々とプレゼンする私。 「見てよ、この小ささと質感。これなら毎日持ち歩けるし、値段も手頃なんだよね」

妻はカメラを手に取り、一言。 「あ、これボディ内手ぶれ補正(IBIS)は付いてないんだね」

「……まあ、そうだね。でもレビュー記事だと、スナップならなくても大丈夫って言ってる人が多いよ?」

すると妻は、少しだけ真面目な顔で続けました。 「日中はいいけど、夜とか、三脚なしでちょっと凝ったことをしたい時に、手ぶれ補正があった方が初心者は助かると思うよ。流し撮りとかも興味あるんでしょ?」

ふむ。。その言葉が、私の胸に鋭く刺さりました。もちろん、事前の調査でボディ内手振れ補正がついていないことは理解していましたし、ネットではIBISなしのカメラで撮られた素晴らしい作例がたくさんあります。youtubeの動画レビューでも「なくてもなんとかなるよ」の声も多い。でも、あれを撮っているのは、脇を締め、息を止め、光を読み切る技術を持った「達人」たちです(たぶん)。

「これからカメラを始める素人の自分が、暗いカフェや夜の街角で、手ぶれを恐れずにシャッターを切れるだろうか?」

急激に不安が押し寄せてきました。 「せっかく買ったのに、手ぶれ連発で嫌になったら元も子もない」。X-T30 IIIという選択肢が、目の前で揺らぎ始めました。

第4章:10分間の大逆転劇、そして閉幕

「ちょっと考える…」

不安を抱えたまま、吸い寄せられるように3階の中古コーナーへ戻りました。 ショーケースの中を彷徨っていた私の目に、ある「黒い塊」が飛び込んできました。

FUJIFILM X-E5。

そこには、輝かしいばかりの"値下げしました"の札。 X-T30 IIIよりも上位の機種であり、急転直下で不安要素となった「ボディ内手ぶれ補正」もしっかり搭載されている。 動画性能も申し分なく、ファインダーの位置もレンジファインダースタイルで、鼻が液晶に当たりにくい(これ、眼鏡ユーザーには意外と大事なポイントらしい)。

横にいた妻も「これなら補正も入ってるし、いいんじゃない?」と背中を押してくれました。

そこからの決断は、1ヶ月の迷走が嘘のようでした。 気づけば10分後、私はX-E5のボディと、新品の23mmパンケーキレンズを手に、レジに向かっていました。

(ここまで来ると、α6700まで立ち戻ってもいいのでは?と思うところもありますが、当時の私はX-T30 IIIを調べる過程で心がどんどんと傾き「おれは富士フイルムでいくんじゃい!」となっていました笑)


エピローグ:完成した自慢のカメラ装備

いま、私の手元にはフル装備のX-E5があります。 ブラックのボディに映える、シルバーのレリーズボタン、手に馴染むリストストラップ、そして23mmのパンケーキレンズ(保護フィルターつき)。

レンズを付けても、それは当初恐れていた「巨大な異物」ではなく、日常を少しだけドラマチックに変えてくれる「相棒」のようなサイズ感に収まりました。

結局、1ヶ月近く理屈をこね回していた時間は、この運命的な出会いを受け入れるための「準備運動」だったのかもしれません。

iPhoneでもない、Pocket 3でもない。 ファインダーという「小さなのぞき窓」から、自分の目で世界を切り取る日々を始めてみようと思います。

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