【花の歌5選】アーティストが束ねた音の花束がひたすらまばゆすぎた。
花は、その美しさをじぶんでは意識しないのに、ただ咲き誇ります。
花の健気さを私はかっこいいと思います。
JULIET: What's in a name?
That which we call a rose
By any other word would smell as sweet.
ジュリエット: 名前って一体なに?
バラと呼んでいるあの花を
なんと呼んでも美しい香りは同じ。
シェイクスピアの"ロミオとジュリエット"に出てくる有名な一節です。この言葉に初めて触れたときは、ハッとしました。とても美しく、物事の本質をついた文章です。
"花"にまつわる歌を集めてみたところ、それぞれのアーティストが歌う"花"はやはりどれも美しかった…。
ごゆるりとお付き合いください。
Nirvana / Marigold
1993年にNirvanaがリリースしたシングル"Heart-Shaped Box"にカップリングとして収録されています。
ドラマーのデイヴ・グロールがヴォーカルを務め、カート・コバーン以外の人物がNirvana名義で歌唱した、たいへん珍しい一曲です。
現在はFoo Fightersのフロントマンとして活躍し、力強い歌声が魅力のデイヴですが、この曲では非常に繊細なヴォーカリゼーションを聞かせてくれています。
言葉遊びの要素が強い歌詞のようですが、
All in all the clock is slow
Six color pictures all in a row
Of a marigold
時も空間もモノクロのような部屋に、写真のマリーゴールドだけが鮮やかに際立ちます。
この空間からは生きているものの存在が全く感じられず、退廃的なムードを漂わせますが、美しいメロディラインが不思議に心地よい楽曲です。

可憐な愛情、友情、勇者、予言、健康
そして嫉妬、絶望があります。
妙に感じ入ってしまう。
ちなみに色々調べて初めて知ったのですが、"Marigold"は、1992年にデイヴがLate!と言う別名義で発表したアルバム"Pocketwatch"でリリースしたのが初出だそうです。
L'Arc~en~Ciel / 花葬
1998年に"HONEY" "浸食 ~lose control~"と合わせて、シングル3枚同時リリースされたうちの一作で、どれも売れに売れました。
この3作、オリコンチャート10位以内に四週連続で、同時にランクインしています。
ばらばらにちらばる花びら 雫は紅
印象的なフレーズから始まる"花葬"は、このメロディにはめるなら、この歌詞以外ないだろうなと思うほどのふさわしさで、出だしからリスナーを魅惑の世界に引きずりこみます。
また、生死の境目が曖昧に感じられる世界観で、Hydeのエモーショナルなヴォーカルがダークで耽美な美しさを浮かび上がらせます。
間奏部分で英語でHydeが呟いている中に登場する"Cosmos"は、文脈的には「宇宙」を示していますが、やはり花のコスモスをイメージさせないでしょうか。
エンディングもとても印象的で、ドラマチックな余韻を残すものとなっています。
華やかなイメージの強いラルクですが、細部まで手を抜かないクラフトマンシップが光ります。
"花葬"はラルクの最高傑作の一つではないでしょうか。

少女の純潔、乙女の真心です。
南佳孝 / モンローウォーク
1979年にリリースされた"モンローウォーク"、南氏が風呂上がりに15分くらいで作ったそうです。
すごいですね、天才です。
昨今注目されるシティポップと、クインシー・ジョーンズ風のソウルミュージックをミックスした印象で、爽やかで大人のポップスの仕上がりです。
歌詞に注目してみると、歌われている女性が非常に魅力的。
とにかくかっこいいのです!
つま先立てて海へ モンローウォークしていく
生かした娘は誰? ジャマイカあたりのステップで
束ねた髪にカトレア 小粋に飾ってにっこり
背中のあいたドレス グラスを片手にスイング
おしゃれで、知ってか知らずか、人を惑わす身のこなし。歌を聴いているだけでも「どんな女性だろう?」と興味をそそりますね。
さんざん興味を持たせながらも、
名前を聞き出しても 気を持たせてウィンク
内緒ねとウィンク
と、最後は粋にあしらいます。
この男性には申し訳ないけれども、私には非常に痛快に見えてしまいました。
一枚も二枚もうわて。
聡明で気高い女性ではないですか?

「優雅な女性」「あなたは美しい」です。
自らこの花を飾るこの女性、ほれてまうやろー
サンボマスター / 花束
2020年に配信限定シングルとしてリリースされ、Netflix「トークサバイバー!」の主題歌に採用されています。
冒頭、山口氏の声の使い方が抑え気味ながらもソウルフルで、とてもかっこいいです。軽快なロックチューンに、徐々に盛り上がるヴォーカルにのせた歌詞も見逃せません。
ここで登場する花束は、いくつもの悲しみ・寂しさを乗り越えた日を記念するためのものです。
祝い事には花束がつきものですが、ネガティブな感情さえ記念日にかえてしまう発想がサンボマスターらしいです。
最終的には、
あなたが花束
あなたが花束
あなたが花束
あなたが花束
あなたが花束
ゲシュタルト崩壊しそうなほど連呼され、あなた自身が花束になってしまいます!
一輪の花のみならず、あらゆる感情を肥やしにし、大きく花を開かせた花束として、聞く人を讃えています。
「あなたがはなたば」と、aの母音だけで韻を踏みつつ、刻むビートにうまくのせているのも技巧的かつ印象的です。
サンボマスター印の人間讃歌、かっこいい!

と歌われていますが、一応ご紹介。
アカシアの花言葉は、
「友情」「秘めやかな愛」「エレガンス」

「沈黙」「私に答えてください」
平井堅 / ノンフィクション
2017年に配信リリースされ、主要音楽配信サイトで軒並みデイリー1位を獲得し、TBS系ドラマ「小さな巨人」の主題歌だったことでも有名です。
"ノンフィクション"の歌詞には、花は登場しませんが、平井氏が花束を片手に持って歌うMVが印象的です。
この歌は、突然に命を絶った友人への思いをのせたもので、MVに登場する花束の意味は、人それぞれにとらえられるでしょう。
個人的には、また会うつもりだった相手に、生きているうちに渡せなかった花束で、それがゆき場を失ったままになっているかにみえるのです。
そう考えながら聞くと、曲の印象がよりいっそう切なく感じられ、儚さをともなって響いてしまいます。
***
いかがだったでしょうか。
花が演出するのは、明るく、祝いに満ちた状況のみならず、死や別れに直面する悲しい状況もありますね。
生きているものと、そうではないものの境目に、花の存在が大きな役割を果たすのかもしれません。
なんだかとても哲学的なことを言い出す雰囲気になってしまいました。
(そうでもないか…)
お花を飾りながら、もしくは、お花を手に入れるのが難しい時も、音楽で花を愛でてみるのもオツなものかもしれません。
思いのほか長くなってしまいましたが、
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
✔️ 最後にすこしだけ・・・
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