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無キャ東大生が慶應卒キラキラOLに惨敗した話


出会い:慶應・帰国子女・丸の内OL

今から3年ほど前、私が大学3年生の終わり頃の話である。当時の私はまともな恋愛経験がなく、マッチングアプリをやりこんでいるという状況だった。

確かいいねは向こうからだったと思う。 自分より2歳年上で社会人1年目。大企業の総合職として働き、趣味は旅行とK-POP。そんな無難な「23歳OL」といった風のプロフィールだった。顔写真は載せていなかったが、プロフィール欄はしっかり埋まっているし、何より女性からいいねを貰えることなど滅多にないので、私は嬉々としていいねを返した。 今思うと、この「顔出しをしていない」というのが、その後の失敗の前兆だったのかもしれない。

向こうからアプローチしてきただけあり、メッセージのやり取りはサクサクと進んだ。5往復ほどしたところで私から会うことを打診。当然のように了解され、新宿のカフェで会うことになった。

現れた彼女に写真詐欺はなく、予想通りの綺麗な女性であった。色白で、K-POPアイドルのように目元がパッチリとした、隙のない顔立ち。しかも、会話はかなり弾んだと記憶している。彼女のスペックは以下のようなものだった。

小学校から高校卒業まで、都内の某お嬢様学校。そのうち3年間はヨーロッパ在住の帰国子女。推薦入試で慶應大学に進学。KPOPダンスサークルに打ち込み、学部卒で誰もが知っているような大企業に総合職として入社。

まさに「東京」を体現しているようで、当時の私からすればとにかくキラキラして見えた。普段私が所属するコミュニティには居ないような、華やかで垢抜けている年上美女。思慮が浅かった当時の私は、一瞬で「この人と付き合いたい!」と思った。

その後も2回ほど無難にデートを重ね、マッチングアプリの定石通り、3回目のデートで告白。 簡単に付き合うことができた。なんなら、向こうから告白を促されたくらいであった。

覚醒:マチアプ女子の正体と違和感

当然、付き合えた直後はとても嬉しかった。一緒に並んで歩くだけでドキドキしていたし、彼女が教えてくれる大人の世界――六本木のフレンチやら、隠れ家的な岩盤浴やら――がキラキラして見えた。

しかし、楽しいだけの時間は一瞬で終わり、徐々に、そして確実に違和感が高まっていった。一言で言えば、彼女は「典型的な女子」、もっと言えば「マチアプ女子」だったのである。

①ガリ勉無キャと推薦陽キャに共通言語はない

これが一番大きかった。私は彼女の内面ではなく「キラキラ感」に惹かれて付き合い、彼女は彼女でどうやら私の顔面がタイプだったらしい(もちろん「東大」という学歴もプラスに働いていたと思う)。

かたやガリ勉の無キャ東大生。かたや受験勉強をしたことすらないK-POP好きのキラキラOL。これまで経験してきたことや、生きてきた世界が違いすぎた。 両者が打算的に付き合ったところで、話すことなど何もないのである。最初のうちは自己紹介でなんとなく場をやり過ごすこともできたが、ネタが尽きてくると本当に会話が続かない。

特に向こうは趣味であるK-POPの話を延々としてくるのだが、私は一切興味が持てなかった。彼女と話を弾ませたくて、健気にNewJeansの曲を聴いたりもしたが、私の頭には何も残らなかった。

②2週間で5万円を費やした勉強代

彼女は「男性の方が多く払うべきだ」という価値観を持っていたようだ。 これ自体はまあ許容できるのだが、今になって思うと、年下の学生と付き合っておいてそれを実行させるか? とは思う。

デートの食事では私が奢ることが多かった。極めつけは、付き合って2週間後に訪れた彼女の誕生日だ。プレゼントや食事代などひっくるめて、合計5万円近くの出費をさせられたのである。 当時の私は流石に違和感を覚えつつも、「せっかく付き合えたのに別れたくない」というサンクコストに近い思いから、しぶしぶ従っていた。恋愛経験に乏しかったため、付き合うとはこういうものなのかと納得した(しようとした)面もあった。

この2つの違和感が特に大きかったが、それ以外にも無数にアラが見えてきた。 職場の上司や同期に対する愚痴の多さ、目に余る他責思考、時間を守らない、こちらの提案を無視する、免許を持っていないのに趣味はドライブ……などである。

次第に、会っても沈黙していることが増えた。 そして付き合ってからわずか1ヶ月ほどで、「あなたと一緒にいると健康に悪い。動悸がしてくる」という、これまた訳の分からない理由で振られた。

結び:我々が選ぶべき相手とは?

金銭的にも精神的にも大きな痛手ではあったが、この失敗から学んだことも多い。これまでのnoteで書いてきたような私の洞察を形成する経験となる、良い勉強代であった。

当時は気が付かなかったが、いま当時の彼女と同じ年齢になって分かることがある。 おそらく彼女には、学生時代に付き合っていた同学年か年上の彼氏(同じ大学か中高出身、すなわちハイスペック)がいたのだが、就職を機に振られたのだろう。コミュニティ内恋愛であれば、彼氏も似たような価値観・趣味を持っており、彼女の無茶に思える要求も満たされていたはずだ。また、彼女の周りにも同じように「キラキラしたハイスペ彼氏」と順調にいっている女子がたくさんおり、年齢的にも負けたくないという焦りもあったのかもしれない。

そこでアプリを始め、表面上のスペックは申し分ない私と付き合ってみた。しかし中身を開けてみれば、私は就活すら経験していない学生であり、無キャで恋愛経験もないゆえにガキ過ぎた。これまで経験してきたことや、生きている世界も違いすぎた。結果、彼女の要求水準を満たすことができなかったのだ。私自身にも至らぬところ、未熟なところは大いにあったと思う。

キラキラに見えた彼女だが、人生経験が深まった今振り返ると、中途半端な感じもする。 大企業の総合職とはいえ、慶應から新卒で入るにしては微妙なランクの会社である。慶應より遥か下の大学出身者も多そうで、それが彼女の職場に対する愚痴やストレスに繋がっていたかもしれない。華やかに見えていたが、慶應には上には上がいる。彼女はせいぜい中の上といったポジションだったのだろう。 そういえばK-POPサークルも途中で辞めたと言っていたし、顔面も目頭切開ぐらいはしていそうな顔であった。

この中の上という立ち位置――上流階級の同級生とギリギリ接点はあるが、自分自身はそのレベルにない。だからこそ、そこへの憧れが深く、それを実現してくれる人を恋人に求めている。キャリアや将来に対する確固たる希望はなく、その日その日を享楽的に生きている。 そんな、ある意味で典型的な女性であった。

高い授業料を払って得たこの経験から、私は残酷なほどの教訓を学んだ。

まず、「年上女性」という幻想を捨てることだ。特にこちらが学生で向こうが社会人の場合、そこには埋めようのない人生経験の差がある。対等なパートナーにはなりえない。

そして何より、表面上のスペックやブランドで相手を選んではいけない。 「慶應卒」「丸の内OL」「美女」。そんな記号に目が眩む気持ちは痛いほど分かる。だが、共通の趣味や話題がない関係はあまりに脆い。沈黙が恐怖に変わる地獄を、私は身をもって知った。

さらに踏み込んで言えば、相手の入試方式こそが見極めのポイントだ。 最終学歴が同じ慶応でも、泥臭い受験勉強を経て這い上がってきた人間と、エスカレーターや推薦でスマートに生きてきた人間とでは、根本的な価値観がまるで違う。もちろんどちらが偉いという話ではない。しかし、受験勉強という努力して何かを勝ち取るというプロセスの共有ができない相手とは、言葉は通じても心は通じないのだ。

我々のようなガリ勉無キャが目指すべきは、華やかなお飾りを手に入れることではない。 煌びやかな世界の住人に無理して合わせ、心をすり減らすのはもうやめよう。我々が真に愛すべきは、同じような温度感で会話ができ、目の前のやるべきことに愚直に向き合える……そんな実直な女性なのだと思う。



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