1からの水理学(4)損失水頭

土台の低い方のタンクに水は集まるのだよ、だって水は低い方に流れるからね!・・・ではない話の紹介です。今更ながら、回りくどい説明になっている気もしますが、お許しください。

図1にエネルギー線を書き込んで、水泥棒はどちらのビルのオーナーかご意見ください(質問Qに解答してみてください)。ただし、図1の左側の青い線(自由水面)にある点①は点⑥よりも高いところにあると仮定してください。
👉Q:正しい項目を選択してください。
2つのタンクをつないでいるパイプの中で水は、
(□左から右へ流れます、□右から左へ流れます、□流れていません、□その他)

👉ヒント:エネルギー線と動水勾配線の描き順
前章を参考にまず、ベースラインと位置水頭Hz、速度水頭Hvやエネルギー線、そして最後に圧力水頭Hpを図に書き込んでみましょう。
🖌まず、図2のように、ベースライン(緑色の線)を引きます。そして、位置水頭Hzの矢印↑を描きます。

次に図3のようにエネルギー線を描いてみます。
🖌点①(水面)は大気圧に等しい(自由水面です)ので、①におけるゲージ圧の圧力水頭Hp₁はゼロです。水の動きはなく①における速度水頭Hv₁もゼロです。したがって、点①→②では、①における位置水頭Hz₁の大きさがそのまま全水頭Ht₁を表すエネルギー線になります。

🖌点②→③では、エネルギー線は水面の高さから入口損失水頭He₂₃[m]だけ垂直に低下します。
🖌点③→点④では、エネルギー線は更にHf₃₄[m]だけ下がるように斜めに伸びてゆきます。
🖌点④→⑤では、エネルギー線は高さを出口損失水頭Ho₄₅[m]だけ垂直に低下します。
🖌点⑤→⑥では、エネルギーの損失はありませんので、区間⑤⑥でエネルギー線は水平になるはずです。
🖌⑥における位置水頭Hz₆の大きさはそのまま⑥における全水頭Ht₆を表すエネルギー線になります。
このように描いた図3(エネルギー線)を図2にカチッとはめ込んで図4を作成します。
🖌ついでながら、図5では、速度水頭Hvの矢印の末端をつなぐように黄色い線を引きました。これは「動水勾配線」と言われています。


👉ANS(解答例):
上流から下流にゆく流れる過程で、エネルギーの損失によってエネルーギー線は下がってゆき、自然にエネルギーが増えることはありません。したがって、エネルギー線(図4と5)の勾配(傾き)によって、2つのタンクをつないでいるパイプの中で水は(☑左から右へ流れます)。


👉付記1:高きから低きに水は流れるとは言うものの・・
🥇厳密には、全水頭(Ht)の大きい方から水は流れます。
🥈近似的には、ピエゾ水頭(Hz+Hp)の大きい方から水は流れます。
🥉簡易的には、位置水頭(Hz)の大きい方から水は流れます。
👉付記2:通例として下記のことは知っておくと良さそうです。
💡出口損失水頭Ho=1.0×Hvですので、図5中、パイプの下流端で動水勾配線は滑らかに水面に接続します(動水勾配線に鉛直部分は1か所発生するのみです)。
💡屋外での実スケールではしばしば、摩擦損失水頭Hfが他の損失水頭よりとても大きいようです(他の損失水頭はゼロに近似されることもありえます)。
💡摩擦を想定しない「ベルヌーイの定理」はツルツルのパイプというだけでなく、計測器のように摩擦が目立たない屋内のイメージもありそうです。
💡今回の設問のように高さの違う自由水面が2つ以上つながっている場合、損失水頭を仮定しないとエネルギー線を描けないので、ベルヌーイの定理は仮定できないようです、私には不思議ですが。
👉付記3:しばしば、HvやあちこちのHpを問われる計算問題があるようです。このコンテンツでは、興味と納得感を大切にしたいので、そのあたりの話は(永久に?)後回しにしましょう。

