1からの水理学(14)エネルギー密度の話
今日の話、もしかして、水理学の範囲を逸脱していたら、ごめんなさい。

図1に示したように、今日の話は「圧力」を中心にしました。この圧力は、すでに、(3)エネルギーの3成分で紹介した転化する水の力学的エネルギーのうちのひとつです。他の2成分は位置エネルギーと運動エネルギーでした。

それら3つのエネルギーの水頭H[m]は次式のようでした。
Hz= z (1z) Hv=v²/(2g) (1v) Hp=P/(ρg) (1p)
ここで、gは重力加速度9.8[m/s²]、ρは水の密度1000[kg/m³]です。
そして、エネルギー密度e[J/m³]は次式のようになります。
ez= ρg×z (2z) ev=ρ×v²/2 (2v) ep=P (2p)

図3に書かれている先生の話(黒板の式)を信じて使うと以下の3つの式を得ます。黒板の中のPは水圧と混同される心配がありますので記号Pwで表すと以下の3つの式を得ます。
Pw = Q× ρg×z (3z) Pw = Q× ρ×v²/2 (3v) Pw = Q× P (3p)
上の3つの計算式のうち、(3z)式は水力発電の式に酷似しています(というか同じ意味の式です)。右辺が原因(物理量)であって、左辺が結果(電力)であることを示すために、イコール記号は矢印の記号⇐に代えました。
Pw ⇐ 0.8×gzQ [kW] (4z)
ここで、zは水力発電機のタービンのある場所とダム水面との標高差[m]です。密度ρはSI単位で1000[kg/m³]であって、ちょうど単位のキロ[k]と同じ数値ですので、記号を減らすためにρを無視した上で、単位を[W](すなわち[J/s])から[kW]に代えてあります。右辺の最初の係数0.8は効率の例です。記号を増やしたくないので概数で0.8と書きました。図4では、無理を承知で、エネルギー保存の法則を確立したジュール先生に水力発電を語ってもらいました。
同様に、(3v)式は、以下の風力発電の式に酷似しています(というか同じ意味の式です)。ここで、Q = Av =(πR²)× v を適用しました。
Pw ⇐ 0.5×(πR²)× ρ×v³/2 [W] (4v)
Rは円の半径ですが風力発電機の羽根1枚の長さ、ρは空気の密度(水との大きさの違いを比較しやすいように書くと)1[kg/m³]、vは風速[m/s]です。右辺の最初の係数0.5は効率の例です。記号を増やしたくないので概数で0.5と書きました。図4では、無理を承知で、力学の父であるニュートン先生に風「力」発電を語ってもらいました。
そこで、圧力についての実用に供されている計算式を(3p)式をにらみながら探して、やっと見つけたのですが、自動車のエンジンについての式がありました。
Pw ⇐ pQ (4p)
ここで、pは計算でロスを差引いた正味の平均有効圧力[Pa]、Qは1秒間に出てくる排気ガスの体積[m³/s]だそうです。一般的な乗用車であれば、Pwはおおまかに100,000[W]であって、(4p)式の右辺全体を735.5で割るとPwの単位は[W]ではなく[馬力]になるそうです。

エンジンの馬力に関わる計算式ですので、(4p)式には工業的なイメージを感じます。そういうこともあり、図6では、パスカル先生には、やや浮いた感じになってもらいました。

そして最終的に図7中、パスカル先生には悪いのですが、悲鳴をあげてもらって、それをオチといたしました。(パスカル先生、ごめんなさい)


(4p)式は(3p)式と同じですので、ここではさらに、(3p)式,(4p)式中のQを体積V[m³]に代えた(5p)式について、さらに話を続けさせてください。(5p)式では、大文字のVを体積[m³]です。図5でも、エネルギー密度である圧力pにかけてあるのは体積Vです。

エネルギーEp=p V [J] (5p)
(5p)式は、化学でもよく登場する理想気体の状態方程式 (pV=nRT, Rは気体定数) の左辺ですので特筆しました。単位は[J]です。理想気体の状態方程式は、熱力学の本にも登場してくる、つくづく、圧力は工業的なエネルギー密度と感じます。

電気をつくる水力発電の式は、電気を使う揚水機(ポンプ)の式に転用可能ですので付記しました。
0.55 × Pw [kW] ⇒ gzQ (6z)
ここで、0.55は電気エネルギーを位置エネルギーに変える時の効率の例です。
電気をつくる風力発電機の式は、電気を使う扇風機の式に転用可能ですので、付記しました。
0.2 × Pw [W] ⇒(πR²)× ρ×v³/2 [W] (6v)
ここで、0.2は電気エネルギーを位置エネルギーに変える時の効率の例です。
仕事をするエンジンの式は、電気を使うヒートポンプの式に転用可能なようですので付記します。
0.6 x Pw [W] ⇒ p x Q (6p)
ここで、0.6は電気エネルギーを圧力に変える時の効率の例です。pは圧縮機が冷媒を押し出すときの吸込圧力と吐出圧力の差、Qは圧縮機が流す冷媒ガスの流量だそうです。
まさか、(6p)式に相当する計算式をそれなりに示せるとは思いませんでした。水理学のコンテンツをここに作っている私には、このあたりがもう限界です。最後に、本日の話題のイラストを図6に整理しておきました。コーヒーは発電はしませんので、電気をお金に例えておきました。


