1からの水理学(6)水圧(横)

健康に良いらしいです湯舟の水圧、その強弱は温泉宿でも自宅でも同じでしょうか?

👉設問1:図1のように、水面が狭い灰色のダムと、水面が広い茶色のダムの2つがあります。どちらのダムの方が大きい水圧を受けているでしょうか?ただし、水深は同じであり、堤体の幅や高さなどは全く同じと仮定してください。

👉Q1:堤体が受ける水圧については、(□茶色のダムの堤体(下の図)のほうが受ける水圧が大きい、□堤体の近くで水深は同じなので同じ水圧を受ける、□その他( ))と言えます。
👉A1(解答例):
堤体が受ける水圧については、図2のようになります。すなわち、(☑堤体の近くで水深は同じなので同じ水圧を受ける)と言えます。


💡付記1:これは地震とかない日常的な静水圧分布での話でした。

👉設問2:
視覚的に圧力分布を把握しやすいように、水圧の矢印に図3のように着色しました。その結果、圧力分布は図4のようになりましたが、底の水圧をHp[m]、水深をH[m]、堤体の幅をW[m]としました。緑色の矢印は水平の平均水圧です。
👉Q2:
堤体が受けている水平の力(全圧)[ton重]を表しているのはどの式?
□ 全圧 =(図4の緑の矢印長さ)×(赤い面の面積)、詳細には、
全圧=平均水圧((底の水圧Hp)÷2)×垂直壁の面積(H×W) (1)式
□ 全圧=(図4で青い三角形の面積)×(三角柱の高さW)、詳細には、
全圧=底面積(底の水圧Hp×深さH÷2)×幅W (2)式
□その他( )


👉A2(解答例):
底の水圧Hpは深さHに等しいので、全項目とも正しい。

💡付記2:
全圧[ton重]から全圧[N]への単位変換のためには、数値に9800を乗じます。


👉設問3:
水族館には図5のような水槽の覗き窓がありますね。今、ガラス板の上端が水面から1.0[m]の深さ、下端は水面から2.0[m]、ガラスの幅は3.0[m]と仮定してください。
👉Q3:ガラス板の受けている全圧[ton重]はいくらでしょう?

👉A3(解答例):
図3のように、矢印を着色すると、窓に当たる水平力の分布は図6のように示せます。

図4と(2)式の両方を参考にすると、図6から次式を得ます。
全圧[ton重]=(図6の青色の台形の面積[㎡])×窓の幅[m] (3)
∴ 水平方向の全圧=(1.0+2.0) ×(2.0-1.0)÷2×3.0 =4.5[ton重]

💡付記3:45度の三角定規を使って図6を描ければ、水平方向の全圧が見えてきますね、という話でした。

👉設問4:
水族館の窓ガラスが図8のように頭上に傾いてきている場合を想定してみました。
👉Q4:その窓ガラスが受ける水平力の全圧はいくらになりますか?
👉A4(解答例):
説明のために、図7に3段の階段とスロープのイラストをコピペしました。スロープは1000段ぐらいの小さいアリさん用の階段で近似できるでしょう。図8のように水族館のガラス窓が傾いているとしても、アリさんの階段の小さい段差の垂直壁は、傾ける前の垂直のガラスと同じように水圧を受けるでしょう。すなわち仮に、水族館のガラス窓が手前に傾いていたとしても、アリさん用の垂直壁は図6と同じ向きで、全部足すと図6と同じ面積の垂直壁があると視覚的に把握できるでしょう。すなわち、図8から次式を得ます。
全圧[ton重]=(図8の青色の台形の面積[㎡])×窓の幅[m] (3)’
実際のところ、図8で青い部分の面積は、図形的に図6中の青い部分の面積と同じになるので、水平方向の全圧も同じ4.5[ton重]です!
図8の設問も図9のように置き換えて考えて、設問3の回答を転用すれば良かったということになります。図9の中での書き換えのコツは、例えば、食堂やレストランに置かれている割り箸が沢山入れられた箸立ての高さをそろえるために、スタッフが箸立てをトントンと軽くテーブルをたたいて、橋立の底で箸の並びを揃えるのと同じです。矢印の先の赤い部分をトントンと箸立ての底に合わせます。





👉設問5:
水族館の窓が図11のように、くねっている場合を考えてみました。
👉Q5:図11のくねったブラインドのような窓ガラスが水平に受ける水圧の全圧はいくらになりますか?

👉A5:解答例
図10でも水平方向の水圧[m]は水面からの深さ[m]に同じです。アリさんの階段も水平部分が長かったり短かったりしますが、垂直壁は図8と同じと思って良いでしょう。すなわち、図11中の赤い矢印の先を箸立ての底でトントンとたたいて、図12のように設問を置き換えます。結局、図11の青色の台形の面積[㎡]は、図6, 8と同じであって、以下の計算式になり、全圧も同じ(4.5[ton重])になります!
全圧[ton重]=(図9の青色の面積[㎡])×窓の幅[m] (3)’’


💡付記1
この章の図では、矢印の長さを圧力水頭の単位[m]にすることに徹底しました。水圧の単位は[Pa]で良いと考えれば、徹底しすぎかもしれません。ですが、得られた図中、矢印の束の体積[㎥]がそのまま全圧[ton重]の数値として得られることの利点を主張(押し売り?)したかったからです。トン重という単位を生み出した先人たちの知恵には頭がさがります。SI単位が普及してもなくなっていないことに今更ながら納得です。なおもし、全圧を単位[N]で尋ねられていたら、答案の数字[ton重]を9800倍してください。
💡付記2
箸立ての底で矢印の先(赤い部分)をトントンとたたけば、設問4(図8)も設問5(図11)も設問3(図6)のように、やっかいな問題を単純化できました。同時に、図6の45度と90度の台形が、この種の問題で共通の基本的な圧力分布であることも示すこともできました。このように、この箸立ては、難しい問題を易しい問題に代えてくれる魔法の杖です!ここで読者の皆さんに紹介できて良かった!

