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【続けていくと何事も尊くなる】─人生の沿革をガレージブランドから探してみる企画 #54

はじめに─

腐るほど物がある時代に自分たちが意味を作れないものづくりでは、他者に魅力的な価値や熱狂を伝えることは、宝くじを買わずして1億円当選する事と似ている。

意味の消失は、持続可能性の消失につながる。


こんにちは!
パタンナーという洋服の設計をする仕事をしています、島村です。メンズのパタンナーをしてもうすぐ10年になります😀

趣味ではMYOG(Make Your Own Gear)というアウトドア用品の自作をしています。

このシリーズ記事は《人生の沿革をガレージブランドから探してみる企画》というマガジンにて連載しています。洋裁やMYOGなどのものづくりが好きな方や服飾のデザイナーやパタンナーに読んで欲しい内容を書いています。

1話読み切りできる且つシリーズ形式で公開中です。この記事は第5章になります!

✅人生の沿革とは?
─日常生活をする上で何に重きを置いて、何を信じて、何を選択してきたのか。今までしてきた事の集積と過程の変化を人生の沿革と定義しています。

✅ガレージブランドとは?
─自宅や小さな工房(=ガレージ)から始まった少人数のブランドまたはメーカーのこと。


そしてこれは現役のパタンナーである筆者が、自身のものづくりを深く追求する為に、様々なロールモデルを徹底的に調べるという企画。

前回の第4章では、どんな背景を持った人物がどんな言葉で伝えて何をしているかが分からないものづくりでは意味を見出すことが難しいよね、という話をしてきました。
これはニッチなものづくりや大衆向けのものづくりどちらも変わらずに言えることだと思います。

👇第4章👇

ガレージブランドを調べていると自分と同じように考えているブランドがありました。
それが、atelierBluebottleです。

どこの誰に作ってもらうかと言うことは
僕にとって重要なことなのです
売れるから作る
大量にできるから工場へ
誰でもいいからとりあえず作って!
もうそんな物つくりはしたくないのです!
それだけバックパックにはこだわりたいのです

PAC-03R商品紹介ページにて


今回は、そんなガレージブランドatelierBluebottleについて下記の内容でまとめました。

ガレージブランドの沿革
作ってきたアイテム
作り手の生い立ちや考え
各SNSの発信内容

その中で作り手が感動したことや感情が揺れ動く要素をピックアップしていきます。ただまとめるだけでは面白くないので、自分の今の考えや心境と重なりそうな部分も照らし合わせて書いていければなと思っております!

それではいってみましょう!🔥



ブランドについて─

今回リサーチしたブランド《atelierBluebottle》

ブランドホームページのOUR HISTORYにはこのように書いてあります。

夫婦ともにバッグデザインの専門学校を卒業し、その後は企業でバッグデザイナーを10数年経験。

もともと自身のブランドを立ち上げることへの憧れは全くなかったが、サコッシュとバックパックを製作し、企業と全く違う方法での販売を試していくうちに、消費者と直接接することができる清々しさと、追求できるものづくりにはまり、2013年「atelierBluebottle」を開業。今日に至る。

ブランドHP【OUR HISTORY】にて

①《企業と全く違う方法での販売を試していく内に、消費者と直接接することができる清々しさ》

②《追求できるものづくり》

この2点にハマり開業したとあります。
ひとつづつ見ていきます。

①はD2Cの側面がある一方で、商品の中間コスト削減の為という意味合いでは使われていません。
atelierBluebottleは、バックパックの裁断から製造までを縫製工場などに外注せず、一貫してものづくりをしています。自分たちのアトリエでひとつひとつ作り上げています。

さらに驚くべきことに、受注を受けたアイテムを一つ完成させてから次のアイテムの製造をするという丸縫いスタイルを貫いているそうです。

このような作り方は、製造の効率が落ちる上に時間のリソースが製造に比重が増えてしまうことで、ブランド自体のスケールがしにくいというデメリットがあります。

また、アウトドアイベントや手作り市などに出店した際には、自分たちの手で作り上げた物を自分たちの言葉で届けるという現場全てを担うやり方をしています。

そうすることで、高い熱量を持ったままお客さんに伝えることができ、コミュニティ的な繋がりをもったD2Cブランドに近いように思えます。

一方で、②も色々と調べていく内に、今まで追求しにくいものづくりを経験されてきたのだなぁとしみじみと思いました。笑

とある商品説明のページにはこのようにありました。

僕が企業デザイナー時代
展示会をし、受注をとり、量産へ進む
展示会で作ったサンプルと量産が同じでないといけない
だから使い勝手や見た目に問題がなくても
展示会サンプルと違っていたら作り直し!
金具や革や生地の色
ポケットの位置や持ち手の長さetc
そんな事を何度も経験してきました。


上司が居て、営業が居て、MDが居て生産管理も
さらに卸先が居てお客さんがいる
全てのジャッジが必要でしたが
今は僕一人ないしリナさんのジャッジのみ

最高に気持ちがいい
あんな馬鹿げた確認や指示をすることなく
問題を解決できるのですから

PAC-bit 商品ページにて

ブランド内部の意思決定のスムーズさによる高い熱量を持ったまま、ブランドとユーザーの距離が近いという点がまさに①②を象徴していると言えます。


上記2つの商品ページから分かる通り、このブランドの面白い特徴として、商品ページひとつひとつに作り手の言葉を添えていることがあります。
(企業内ブランドでは絶対に出せそうにない温度感高めの感情がこもった内容も添えて👏🔥笑)

スマホの画面からではありますが、カジュアルな説明をブログのような形式で伝えることで、実際に接客を受けているような感じがありました。

自分たちが本当に良いと思って作り上げた商品を責任を持って自分たちの言葉にして伝える。

結果として、お客さんが納得して購入でき、atelierBluebottleを応援するような形でブランドが大きくなっているように見えます。

これらは当たり前のように聞こえますが、企業デザイナーという立場では仕組み的に難しいこともあるのが事実。

一般的にインハウスデザイナーは、年にいくつものデザインを生み出して毎シーズン次から次へと売れそうな新しいものを生み出していくことが求められます。

文化服装学院のバックデザイン科出身の夫妻は、企業デザイナーとして、10年以上経験を積んだ後にこのブランドを立ち上げた経緯があります。

実際にその企業デザイナー時代に感じていた違和感をatelierBluebottle写真集の中でこのように綴っていました。

───「さまざまな要因はありましたけど、いちばんの違和感は売り上げを立てるためのものづくり。
他社や社内の別のブランドで売れた商品があれば、似たものを作る。ヒット商品だろうが翌年には新商品として新しく作り変える。

なんでなの?って思っていました。クリエイティブからは程遠くて、惰性で仕事をしているみたいだった。好きで就いた仕事なのに、いろんな嫌なことをしなくちゃいけなくて」

atelierBluebottle写真集
〈好きで始めたのに、という違和感〉から

この違和感というのは、アパレルや雑貨メーカーだけではなく、ものづくり系のメーカーに勤めている人なら誰しも共感のできることではないでしょうか?
おふたりが感じていた違和感を払拭する形でこのブランドが誕生していったという歴史がありました。(アツイですね🔥)


創業当時の2013年は、まだULカルチャーが日本に入り始めてきた黎明期ぐらいでしょうか?

この頃は高校に入って登山部で入部し、全身モンベラーだった自分からすると、UL黎明期時代の雰囲気は全く分かりません。そこでatelierBluebottleが2013年から始めているマウンテンネバーランドというブログを見て当時の空気感を知りました。

ヘビーデューティーなギアがメインストリームだった頃、このような使い方によっては危険が及ぶプロダクトになりうる可能性を持ったプロダクトは受け入れにくいものであったそうです。

初めて行った販売会は2013年の4月。静岡の手作り市に出店したことが始まりだったそうです。

また京都に出店した際には、売れたのはなんと財布が1個のみ。しかし、販売を続け5年後に同じ場所に出店した際には行列ができていたそう。
(すごい)

InstagramなどのSNSが無い時代に、尖ったアイテムやカルチャーは中々普及されにくかったはず。中には商品を馬鹿にしてくる人もいたとのこと。

そんな中でも、商品の説明を直接ユーザーに自分の言葉で説明して販売することの良さを体験してきたからこそ今でも続けられているのだなぁと想像しました。

そうして10年以上続けていく中で、多くのユーザーに口コミや紹介され、UL文化の市民権を得ると共に受け入れられていき、今では4万人を超えるフォロワーを持つブランドになっています。👏

代表的なアイテム─

atelierBluebottleといえば、真っ先に思い浮かぶのがバックパックのPAC-03なのではないでしょうか?

PAC-03

創業当時から展開されているこのPAC-03は、販売を続けながら少しずつ改良されて今の形になっているとのこと。

デザインから製造までを社内で一貫して担い、作られたこのバックパックの特徴としては、大きなアウトポケットと止水ファスナーポケットの2つの組み合わせによって生まれるデザインが一目見ただけでatelierBluebottleだと分かる外観。
(たまに、鎌倉で背負っている人をちらほら見かけます)

腰で背負うのではなく背中とショルダーで背負う方式を採用しているとのことで、背中の芯材(パッド)は特注で作ったもので厚みと凹凸のあるパッドが使っていく中で背負う人の身体の曲線にフィットするように作られているそうです。

背面長の数値よりも背中のフィット感を重視し、背中と肩で背負うバックパックというのがatelierBluebottleが推奨しているスタイルです。

商品ページの説明を見ていてしきりに思うのが、このブランドが作る意味は何か?ということを常に考えながらものづくりをしているという点。

アメリカから輸入されてきたULカルチャーをそのまま日本で取り入れるのではなく、日本の気候や山の環境に合うULのバックパックとは何かを自分たちで考えてきた結果として多くの方に受け入れられる物が誕生しています。

メーカーは売るために消費を煽るために
新しい機能をつけたり
それ必要?なものをつけたり
とにかく売るための機能だらけ

皆さん氷の壁を登ります?
一週間も一ヶ月も歩きます?

1泊〜4泊程度それに登山道を歩く方が
圧倒的なはずですよね?

だったら最低限の機能で十分じゃないですか?
シンプルに山を歩く道具なんですから

PAC-03商品ページにて

自分たちでデザイン・裁断・縫製をこなし、
自分たちの言葉で伝えていく
という
ブランドの姿勢や責任を感じれる代表的なプロダクトでした。

そこには売れているから自分たちもやろうという価値基準は存在していなかったです。

アレ売れたらしいよ
そんな理由で
同じような物を出してくる
他の会社やブランドと同じにされたくないのです

それっぽい自然の中で
よくわからないシチュエーションで
スタイルの良い人に服を着せて
そんなブランドとは違うことを
言い続けないと
毎年新しいブランドが出てくるこの世界で
埋もれてしまうのではないかと、、
そんな恐怖を感じる今日この頃

作る理由や意味
他の製品やブランドとは何が違うのか?

そこだけは
これからもちゃんと説明したいし
知ってもらいたいのです。

https://bluebottle.exblog.jp/32878429/

atelierBluebottleの商品ページやブログを拝見していているとこのようにありました。

ものづくりの人間は真面目で孤独
皆んな同じ悩みを持っている
二人が色々話をしてくれたのは
きっと僕も同じものづくりの
人間だからだと思うのです

atelierBluebottle写真集から

気になってすぐに購入した写真集(途中で対談やコラムなどがあります)を読むと、そこには作り手が共感することばかり。是非、購入して読んでいただき、自分のものづくりや表現したい事の方向性の参考にすることをオススメします!とても良い写真集でした。

沿革まとめ─

SNS発信•商品展開数などについて見ていこうと思います。ここは調べた内容を簡単にまとめて見ました。

✅運用しているSNS
①Instagram(投稿数1043)
②excite blog
③note
④LINE
⑤X

✅商品展開数(掲載されている商品数)
•BACKPACK・・・6種類
•SACOCHE, WALLET, CAMERA・・・19種類
•PERTEX and POLARTEC・・・12種類
•T-SHIRTS, SHIRTS・・・15種類
•PANTS・・・7種類
•SOCKS & GOODS・・・22種類
※カテゴリーごとに種類を記載。
他のカテゴリーにかぶっているアイテムもあります。

✅取扱店:14
取扱店の説明にこのようなことが書かれていました。

(前略)

また、私共は「不必要な数の生産」を良しとしておりませんので、需要数と供給数についていつもイコールであることを目指しております。これは多すぎても少なすぎても良くはありません。

しかしながら半年以上前に未発売のそれを予測するのは困難でございまして、お待ちの皆様が買えないということもございます。
ただ、いたずらに少なく生産していたり、 受注生産という名のリスク回避は全く行っておりません。
ONLINEの販売後は各ご協力店舗様での販売もございますのでそちらをご利用いただければと存じます。


《沿革》
調べた商品や出来事を簡単に時系列にしてみました。(一部抜粋する形で掲載しています)

・合同展示会roomsに応募(2010)
・静岡手創り市に初出店(2013)

・サコッシュ&ウォレットを
 Hike+Likeに卸す(2013)
・代々木earth garden&京都森
 手造り市に出展(2013)
・雑司ヶ谷の手創り市・秋ヶ瀬森
 バイクロアに出展(2013)
・PAC‐S(2014)
sokitに卸す(2014)
・ハイカーズソックス(2015)
・PAC‐01(2016)
・Off the Gridに初参加(2016)
・Hiker's T-shirt(2017)
・Hiker's JACKE(2018)
・Camera sholuder(2018)
・Hiker's T-shirt8sleeve(2019)
・Hikers' Pants'(2019)
・Hiker's Shorts(2019)
・PAC‐03R(2019)
・Neo Wool Shirt(2019)
・Bakepen Strap(2020)
・Neo Wool Pants(2020)
・Hiker's Purese(2021)
・新宿伊勢丹にてイベント出展(2021)
・noteを始める(2021)
・Rain Parka(2021)
・ALPHA WOOL JAKET(2021)
・Alpha Quick Haramaki(2022)
・PAC-Lite(2022)
・ALPHA MANT(2022)
・ALPHA HOODIE(2022)
・Neo Shell Smock(2022)
・ALPHA SHORT SLEEVE(2022)
・写真集(2023)
・Hiker's Cap(2023)
・Hiker's ALPHA BEST(2023)
・Pac-bit(2023)
・メガネケース(2025)
・PAC-03R mini(2025)

《参考にしたサイト》

さいごに─

この記事を書いている中で感じたことが最近見た動画の感想と重なる。
仕事を長く続けていると、視野が拡がると同時に、産業の構造や仕組みにどこか無理があることも知るようになるのだと思います。

そういった歪み自体、あることは受け入れた上で、どう向き合っていくかを考える。これらを言葉にして向き合いながら、既存の仕組みを調整していき新しい価値基準や枠組みを捉え直す。

何事もネガティブなことから目を逸らすのではなく、直視して受け入れてからでないと開けてこない景色というものはありそうです。

atelierBluebottleというブランドも、自分たちの心の中にあった違和感を言葉にして直視することで表現したいこと•やりたいことを実現していったのかもしれない。じぶんが表現することの意味は、じぶんで決めることで輪郭を確かなものにするのだとしたら、他者からの使役では決して信じきることができないだろう。

意味の消失は、持続可能性の消失につながるが、反対に何事も長く続けていけば尊いものになっていくのでしょう。

───── 作る意味はなんだ?


おわり。

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【MYOG進捗状況】
2026年5月⇒進捗率46%(4/10)
【note進捗状況】
2026年5月⇒進捗率54%(54/100)
これらの進捗は2027年4月までに達成する目標です🔥エイエイオー!
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ここまで読んで下さりありがとうございます。
noteの他にInstagramもやっています。こちらではアウトドアについて体系的に学ぶことができ、アウトドアの遊びがより楽しくなれるような発信をしていくので興味がある方は是非覗いてみてください😊

P.S. このnoteは基本的に自分が哲学本を読んだり、ものづくりをしていく中で面白いと思った内容を4000文字〜10000文字くらいの文章量にまとめています!(最近は3000文字多め)
そして全て無料で公開しています!
ものづくりをしている方にとって何か学びになれば幸いです。シェアハピ!!!


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