【あなた、だからできること。】ものづくりで意味が見出せない人へ─人生の沿革をガレージブランドから探してみる企画 #49
誰の言葉なのか。
誰が何をしてきたのか。
どのような過程で生まれたのか。
YouTubeやnoteなどのハウツーコンテンツが無数にある今、この上記3つの点は重要な意味を持つようになったと感じています。
何かを調べていて分からないことがあった時、人間よりも優秀なAIに聞くことができる時代では、それなりの及第点を超えたアウトプットを多くの人が出せる権利を持つようになった良い時代ともいえるかもしれません。
しかし、そのアウトプットの出発点には過去の知らない誰かが言った借り物の言葉や思考が根底にあります。(これはAIに限らず本などにも当てはまりますが)
ものづくりに於いて、自分の経験や背景のフィルターを通さずにそのまま出力していては、自分(たち)で作っているのにも関わらず主語が曖昧になるような気がしていて、純粋性が失われていく感覚がはっきりとした輪郭をもって突きつけられてしまう。そうしたものづくりでは、満足できないし記憶にも残らない。
洋服を例にとって挙げていくと、模倣問題がそれにあたります。つまりアパレル業界のパクリ問題。不正競争防止法では模倣を以下のように定義しています。
模倣とは「他人の商品の形態に依拠(=参考に)して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すこと」
※商品の形態は、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感と定義。
なぜ(この業界だけにとどまらず)アパレル業界はこのような模倣をしてしまうのかを考えると、いくつかあると考えていて、
ひとつは、トレンドという仮想の共同体を業界全体で作る構造になっていること。トレンドは移り変わりがある前提なので必ず消費期限があります。
ファッション業界の消費が短サイクル化をしていく中で新しい商品を次々と生み出さないといけないという考え方が醸成されてしまうのではないかと思っています。
もう一つは、「売れそうなものを作ろう」という考えが出発点となり、ものづくりを始めてしまうこと。大雑把な言葉で言えば、マーケットインの考えに近いです。
既に市場にある正解っぽい服の集合知で生み出そうとすると、消費の短サイクル化も相まって模倣が常態化する文化ができるのは自然な流れとも言えます。
仕事に還元されるものづくりでは、利益を出すことがゴールとなっている以上、売れないものを作るというのは作り手のエゴになってしまうのでものづくりの始点をどこに据えるかというのは難しいですよね。
そんな中でAIが浸透してきている今だからこそファッション業界は、ものづくりの生産過程においてある種の過渡期にあるんじゃないかと考えています。
デザインの類型化とトレンドによる拡散性が最大化する時に、作り手は感情の陳腐化が度々起こります。これは、ものづくりなどの表現が他人の一部に浸食され、のめり込む感覚です。
そういった他人は知らず知らずのうちに孤独なものづくりからは遠い位置に移動していて、用意された正解をジャッジするゲームを淡々と行っているのではないかと疑ってしまうほど。
タイロッケンコートなどで有名なCOMOLIというアパレルブランドがあります。このブランドのデザイナー小森啓二郎さんはとあるインタビュー記事にてこのように綴っていました。
─どの時代にも偽物はいます。
(中略)
ファッションから一定の距離を置きたいのに、どんどん距離を詰めてこようとする偽物達、自分が好きだった素材なりスタイルがどんどん気持ち悪くなる感覚。自分自身がまだ中途半端だからそう感じる事はわかってはいるんですが…、偽物と虚しかないこの業界で気持ちを保つのは正直苦しいです。
とにかく自分は魂が入った本物しか見たくないんです。
模倣を別の言い方でいうと、《判断をせずに決めない》《主語を曖昧にして※痛みを緩和する》などと言えそう。(つまり魂が抜けている…)
※クリエイションに全力を注いで商品を短サイクルで生み出し続けることは苦痛がいることだと思っています。だからショーピース製作をするブランドのクリエイティブディレクターは常に入れ替わっている現状があります。
こうした「売れそうなものを作ろう」という考えが出発点になり、模倣が蔓延る業界の中でのものづくりをすることは、作り手にとってはどうもつまらない。そして、ものづくりが好きで入った業界が《自分じゃなくても別に良いものづくり》だとしたら…
だからこそ作り手の始点は「作りたい表象(心の中のイメージ)から個人のものづくりにある欲求や欲望を満たす栄養を作ろう」という考えが出発点になる方が良いです。
ちなみにこれは、「欲しいものを作ろう」ではありません。そして「欲しいものを売れそうなものに変えて作ろう」でもありません。そういった意味で、プロダクトアウトとは少し違う立場になります。
簡単に理由を説明すると、〇〇が欲しい!と思い立ったときに、まず頭で想像するのは、既に世の中にあるプロダクトですよね。言葉になった物(=名詞)で人は存在を認識するので、そうなりがちです。
そうなってくると、異なる要素とプロダクトの組み合わせが新しいものを作るのでは?と思う方もいるでしょう。
それはそれで、新しいものを作るアイデアの考え方としてはあっているかと思います。しかし、AIもそういった考える手法はできてしまいます。既知の組み合わせを考えるのは、AIの得意領域です。
「売れそうなものを作ろう」という考えが出発点となり、ものづくりを始めてしまうこと。
から
「作りたい表象(心の中のイメージ)から個人のものづくりにある欲求や欲望を満たす栄養を作ろう」という考えが出発点
への転換。
そうしたものづくりの生産過程へ変わってほしい。変えていきたいと個人的に考えています。そこで冒頭にあった、
誰の言葉なのか。
誰が何をしてきたのか。
結果として、どのような過程で生まれたのか。
これらが今後重要視される観点なのです。
ものづくりの出発点は、言語よりも非言語(心の中のイメージや感情の動き)に焦点を当てる。
その後、デザインした物が他者へ伝達されるときには、《相応しいと思われる人が今までしてきた事の集積と過程の変化》を言葉にできる状態であることが大事かもしれません。
自分自身が、このnote記事シリーズ《人生の沿革をガレージブランドから探してみる企画》を書いている中で、このように考えるガレージブランドがありました。
どこの誰に作ってもらうかと言うことは
僕にとって重要なことなのです
売れるから作る
大量にできるから工場へ
誰でもいいからとりあえず作って!
もうそんな物つくりはしたくないのです!
それだけバックパックにはこだわりたいのです
それが、《アトリエブルーボトル》というブランドになります。
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今回の記事が長くなってしまったので一旦ここまでにします。🙇♂️
後半からこちらのブランドを調べた内容をまとめて、《人生の沿革をガレージブランドから探してみる企画》の詳細に移っていきます!🔥
このシリーズ記事で大切にしていることは、〈熱狂の追体験をして視野狭窄に陥る〉ことです。
〈熱狂の追体験をして視野狭窄に陥る〉とは一体どういうことなのか?手順を追って説明します。
①自分が興味あるな、知りたいなというロールモデルを見つける。
②ロールモデルの感情の機微に触れる〈熱狂〉をメタ的に捉えてリサーチをしてみる。
③その中で何が感動したのか、ロールモデルの気持ちに想いを馳せて、彼らが今までしてきた事の集積と過程の変化をまとめる。
リサーチをして自分が価値を置く要素や自分の意志で人生を進めていける力を身に付けていくための行為が〈熱狂の追体験をして視野狭窄に陥る〉ことなのです。
様々なガレージブランドの作り手の熱狂を追体験(リサーチ)することで、ものづくりの体系化を深めていくことが目的です。
このシリーズ記事は《人生の沿革をガレージブランドから探してみる企画》というマガジンにて連載していきます。1話読み切りできる且つシリーズ形式で公開中です。
✅人生の沿革とは?
─日常生活をする上で何に重きを置いて、何を信じて、何を選択してきたのか。今までしてきた事の集積と過程の変化を人生の沿革と定義しています。
✅ガレージブランドとは?
─自宅や小さな工房(=ガレージ)から始まった少人数のブランドまたはメーカーのこと。
《第1章》
《第2章》
《第3章》
この記事はこんな人におすすめです!
●新しいことを始めたい!という方
●知らないことを学びたい!という方
●やりたいこと私もあるよ!という方
●MYOGをしている方
●モノづくりをしている方
この記事は第4章《前編》になります。リサーチをする内容は、
ガレージブランドの沿革
作ってきたアイテム
作り手の生い立ちや考え
各SNSの発信内容
などを見ていき、その中で作り手が感動したことや感情が揺れ動く要素をピックアップしていきます。ただまとめるだけでは面白くないので、自分の今の考えや心境と重なりそうな部分も照らし合わせて書いていければなと思っております!
それでは次回の《後編》を楽しみにお待ち下さいませ!🔥
P.S.
人間の性質には【周囲の環境を知覚し理解しようとするときに、言葉や数字で世界を変換し、なんでもコントロールできるようにしようとする性質】があるからこそ、とてつもなく長い時間を経てここまで文化や産業が発展してきました。これはとってもありがたいことです。
一方ですべてを言葉にできること、数字で表せることは、伝達可能性を帯びているからこそ相対的に評価できてしまい、ジャッジする(される)枠組みを持ちます。
そして言葉にすることは、曖昧な状態の中から分断し決めることに近いなと感じています。決めることは同時に責任をもつからこそ不安になります。
その不安をネガティブなものと曖昧な状態で手放そうとするから決めれない・動けないというケースがあるとしたら、不安を抱えたままとりあえず言葉にしてみる。
言葉にしてみた後で反芻を繰り返していけば、過去の知らない誰かが言った借り物の言葉や思考だけがフィルタリングされて、最終的に自分の表現が研ぎ澄まされた形に変わるのかなぁなんて…
自由へ服従するかどうかはあなたが決めることができるのですヨ。
おわり。
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【MYOG進捗状況】
2026年3月⇒進捗率45%(4/10)
【note進捗状況】
2026年3月⇒進捗率49%(49/100)
これらの進捗は2027年4月までに達成する目標です🔥エイエイオー!
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ここまで読んで下さりありがとうございます。
noteの他にInstagramもやっています。こちらではアウトドアについて体系的に学ぶことができ、アウトドアの遊びがより楽しくなれるような発信をしていくので興味がある方は是非覗いてみてください😊
P.S. このnoteは基本的に自分が哲学本を読んだり、ものづくりをしていく中で面白いと思った内容を4000文字〜10000文字くらいの文章量にまとめています!(最近は3000文字多め)
そして全て無料で公開しています!
ものづくりをしている方にとって何か学びになれば幸いです。シェアハピ!!!
