【MYOG】財布制作ノート《後編》#23
こちらの記事の後編です。
前回は財布が出来るまでの過程を0から説明しました。まだ見ていない方は👆こちらの投稿を見て頂けると嬉しいです!
今回は、MYOGで作った財布(ウォレット1:DWD)の作品説明をしていきます!
このデザインはこういった意図で作りました!という説明だったり、パタンナー島村自身がおすすめする使い方をつらつらと書いていきます!
ものづくりする人はこういった考え方でものづくりしているのか!ふむふむ!と何かの学びが得られると良いなと思い記事を書いていきます。そして何事も深いところまで沼に浸かると全てが面白いぞ!!ということも知って頂けると嬉しいです。
それでは財布(Wallet 1)制作ノート《後編》いってみましょう!📖
─はじめに(デザインと設計)─
アウトドアの物は目的やスペックを重視する傾向がある為、どうしても似たような服やギアが多くあるのが実情です。その中で消費者が物を購入する際、手頃な価格帯のものやブランドイメージ(このブランドを身に付けている時の他者からのイメージ)の違いの中で取捨選択をせざるを得ない状況が生まれるのです!
ファッション業界を例にとっても、ファストファッションとハイブランドの低価格帯か高価格帯の2極化が顕著に見られます。これはコモディティ化されると手頃な価格帯のものかブランドイメージかという2択がまず先立って見えやすい選択として存在するという事があるとパタンナー島村は思うのです。
そして目的が明確化しており、人が自由で身軽に活動する為のミニマリズムの背景を持つ事から、UL系のブランドはより一層コモディティ化が顕著に進んでいます。MOYGの文化が生まれる背景には、自由に作りたいものを決めて自作するというものでしたが、合目的的に方法論が確立されるとデザインが収斂されるというジレンマを抱えています。
それだとものづくりをしている立場からすると、非常にもどかしい気持ちになってしまう訳で…
だからこそ!!!
パタンナーである自分は、【明確な目的や用途、思想によって制度の枠組みが強固なものとなったときに収束されるデザインの探求】ではなく、それらの外側で物作りがしたいとどうしても考えてしまう訳です。
そして、UL素材だからこそ幅広い可能性があるデザインによって、独自性のある財布を目指して作りたいと考えました。
では一体、【明確な目的や用途、思想によって制度の枠組みが強固なものとなったときに収束されるデザインの探求】とはどういった事を指すのか?
簡潔に言えば、頭の中で物事を象る構造を理解して、合理的な物を作るデザイン手法という事です。
その手法の外側でものづくりをするということは言わば、どこか視点を変えた脱構築的な作り方がしたいという事になります。
その事については、自分がものづくりをする上で大切にしている考え方をベースにして説明する事が出来るのです💡

パタンナー島村は物には全てこの図解のような表層と深層があると考えています。この図解は建築家の黒川雅之さんが本の中で書かれた内容をもとに作り、哲学者のカントやロランバルトなどの考え方も参考にして自分なりに解釈した図解になります。
今回はこの図解の中の【原型】というキーワードを深く理解してみたい!という理由もあり、この財布を作ってみました。
この【原型】というのは、心理学者のユングが考えた集合的無意識(=アーキタイプや元型)の事と少し分けて考えていて、人々が無意識の中にある共通のイメージやパターンを具体化して生み出される物を今回は【原型】と定義しています。
詳しくは、下記の2記事で解説しています。
《名作を生み出す方法論》と《0→1を生み出す方法論》という記事です。
物の表層と深層についての図解で素材・形態・色彩・様式までを《名作を生み出す方法論》で扱い、原型・思想・文化については《0→1を生み出す方法論》で言及しています。
島村が作るモノづくりは上記の2記事をベースにしています。
理解すると、0→1でモノづくりをする際の視点の捉え方が身に付き、独自性のあるモノ作りが可能になります。そして、その作り上げた物をより洗練された名作に成り立たせる為の考え方を持つことが出来ます。
2万文字くらいありますが、面白いので是非読んでみて下さい⭐
─財布の名前について─
財布の名前について考えた時に、言葉の使用頻度が多いカテゴリーというのは固有名詞にした途端、周囲に伝播することが限りになく小さくなってしまうのでは?という疑問がありました。
つまり、財布という大きいカテゴリーの物に対してモデル名を付けるという事に意味を見出しづらいと考えました。また、財布は小さな道具で目的が明確であるからこそ意匠性が高くはない為、デザインの差分によって識別されることが難しいのだと感じました。
その為、パタンナー島村が作る財布はWallet1という末尾に数字を入れてモデルチェンジごとに数字を変える(1.2.3.4…)選択にしました。そこから型番ごとに分類していく事にしました。
このWallet1の型番は今回使用した鹿革とダイニーマ(Deer skin With Dyneema)の頭文字を取ってType:DWDにしました。

─スペックについて─
Instagramで投稿した生地の解説と併せてこのウォレット1のスペックを箇条書きしました。
一緒に見て頂けると深い理解が得られると思います。
—SPEC—
[fabric]
─表地 / 裏地(ポリエチレン100%)
•Dyneema®Composite fabric (1.0oz)×OCEANプリント【吉永商店】
─芯地(鹿革)
•Deer skin
─別布A(ポリ塩化ビニル)
•PVC
─別布B(ポリエチレン100%)
•Dyneema®Composite hybrid (3.18oz)
─別布C(ナイロン100%)
•ナイロンワッシャー素材
[size]
─7.5×10.3㎝
[color]
─BLUE
[weight]
─31g
👇素材の説明も下に載せておきます!素材の特性を理解するとケア方法や取り扱いなどが分かってくるのです!(あとは使われる附属や仕様も考慮する必要あり)
鹿革は今回作る財布にぴったりの素材でしたが、使う理由にもう一つあります。それは山岳の害獣問題にあります。(害獣という言葉は人間的な見方で少し嫌なアレですが…)
野生鳥獣による森林被害の規模は、全国で毎年5000ヘクタール、東京ドームに換算すると1000個分にもなります。その7割がシカによるものと言われています。
詳細は👆こちらの記事を見て頂ければと思いますが、この鹿の山岳問題を知るきっかけとして鹿革を使うという選択をしました。狩猟というと「生物を殺す」という事が先行して残酷・恐怖などのイメージを持たれると思います。
しかし、生物の生態系(ここでいう生態系とは人間中心だけではなく、自然環境全体を指す)を維持・調整する目的には、有限な土地にフィットする持続可能な暮らしを作っていくことがあるのだと思います。
狩猟は生態系の調整の為にあります。その生態系ひいては自分たちが暮らす環境が一体どのような問題を抱えて、何を未来に残していけば良いのか。それらを考えるひとつのきっかけとして機能すれば良いなと思いながら鹿革を採用しました。
高校生の時に読んだ自殺島という漫画があります。
この本の中で初めて鹿を狩る場面があるのですが、そのシーンで衝撃を受けました。「なるほど!」と思わず感動するほどに。
「人間は生態系の調整役」というページが印象に残っていたので、ネットで探したのですが、下記の考察リンクしか出てこなかったので載せておきます。(この方も「そのページを紹介したくて探してみたのですがどうしても見つからないので、思い出して書いておきます」と書かれていました)
だいぶ話が逸れてしましましたが、この財布はダイニーマと鹿革を使った財布です。一見アウトドアっぽくないような見た目ですが、機能性や思考はゴリゴリのアウトドア仕様なのです。
─各ディテールについて─
ここからようやく本題のWallet1のディテール解説に入ります。MYOGしている方の参考になれば幸いです!
─本体─



3つ折り財布のシンプルな本体。ダイニーマなどのUL素材のみで財布を作ってしまうとペラペラになってしまうのがどうしても嫌でした。しっかりとした保形性に加えてしなやかさが必要だった為、芯材として鹿革を採用しました。
鹿革の質感がダイニーマの上から浮き出てくることで、素材の奥行が生まれます。意図していなかった雰囲気でしたが、独特な仕上がりになりました。
─コインポケット─

コインポケットは小銭と同じくらい浅く設定しています。マチを付けたりもしたのですが、この財布の作り方にあうマチが現状無かったのでこのシンプルな形状にしています。小銭は15枚入ります。(20枚入ったのですが使いづらいので推奨しません)
基本的にはキャッシュレス化を推奨したミニマリスト財布です。
─カードポケットA(紛失防止カード)─

この紛失防止カードを入れる為だけのポケットです。ここにお気に入りの写真をステッカーにしています。開けた時に愛猫の写真が都度見れる幸せがありますネ。そしてスマホと連動させて財布を無くすリスクを減らします。
紛失防止カードに貼るステッカーの作り方は下記にて紹介しています。👇
─カードポケットB(クレジットカード等)─


カードポケットAの後ろ側にクレジットカードやマイナンバーカードなどを入れるポケットにしています。お札もここに収納します。
《5枚カードを入れる想定での収納》
上から
①クレジットカード
②キャッシュカード
③その他(運転免許証など)
④その他(マイナンバーカードなど)
⑤Suica
自分は④の下にお札を入れています。
お札を仕切りにしてカードを分けています。
Suicaが下に無いと改札機に反応しない点もアリ…
(スマホにSuica入れる方もいると思いますが、自分は毎回充電がなくなるタイミングでSuicaを使う場面があるので…)
─キーポケット─

鍵を入れるポケットはPVC素材を使っています。裁ち端の処理をしなくて良いメリットがあります。本体の上側のフラップをめくると簡単に鍵が取り出せる仕様です。

─財布の容量とおすすめポイント─
Instagramでリールを作って、ショート動画で財布の容量とおすすめポイントを説明しています。ご覧ください!
《財布の容量》
小銭15枚・お札10枚・カード5枚が入るミニマリスト財布です。
《財布のおすすめポイント》

─お手入れ方法について─
ケア方法については、基本的に防水素材などはラミネートで作られているので皮脂汚れと湿度と紫外線に弱いです。
まずは汚れたら濡れた布などで汚れを落としてください。
財布を洗濯する猛者はいませんが、過度な汚れをそのままにすることはおすすめしません。余談ですが、PVC素材はドライクリーニングで硬化します。ダイニーマは高温に弱いのでタンブル乾燥×です。
─プレゼント企画用に6つ量産─
先上げサンプルを作り終え、最終確定したら量産に入ります。今回は6つプレゼント用に財布を作ります!
ミシンが1つしかないのでここでは出来るだけ糸の交換や押さえがねの交換は少なくなる順番で縫製していきます。ゆっくりと丁寧に縫製します。
インスタのリール用の素材もここでたくさん撮っていきます。
プレゼント企画で作るMYOGアイテムは、ベースで販売する前のロゴや文字を入れていない無印の初期アイテムです。今後の財布にはワニ口金具などに刻印をしていこうと考えています。
─さいごに─
現在、このMYOG財布をInstagramにて抽選でプレゼント企画🎁しています!
いいね&フォローして頂けた方の中から抽選でプレゼント致します✨
10月中に抽選結果をストーリーで公開するので良かったご参加下さい〜!
次回のはMYOGは遂にバックパックを企画します🔥サコッシュと財布がMYOGの入門とするならば、バックパックはラスボス級のアイテムです!
ゼロベースでバックパックを調査して企画して理想のバックパックを作っていきます!!Instagramのストーリーで随時更新していくのでお楽しみに〜
良ければフォローと♡をポチッとして頂くと今後の励みになりますので宜しくお願い致します!
【MYOG進捗状況】
2025年8月⇒進捗率40%(4/10)
【note進捗状況】
2025年8月⇒進捗率23%(23/100)
これらの進捗は2027年4月までに達成する目標です🔥エイエイオー!
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ここまで読んで下さりありがとうございます。
noteの他にInstagramもやっています。こちらではアウトドアについて体系的に学ぶことができ、アウトドアの遊びがより楽しくなれるような発信をしていくので興味がある方は是非覗いてみてください😊
P.S. このnoteは基本的に自分が哲学本を読んだり、ものづくりをしていく中で面白いと思った内容を4000文字〜10000文字くらいの文章量にまとめています!
そして全て無料で公開しています!
ものづくりをしている方にとって何か学びになれば幸いです。シェアハピ!!!✨
