【MYOG】シャツの作り方大公開!─パタンナーがシャツをアップサイクルしてみた #8
最近、ザノンフィクションにて特集されたボクと古着と下北沢がYoutubeにアップされて話題になっています。この5年で古着屋の数は倍増し、ゴールドラッシュのような著しい競争が加速している中で日々商売に勤しむ姿が生々しく描かれていました。
そこでは3店舗特集されているのですが、3つの対比構造が上手く番組として興味をそそられる内容となっていたので、良かったら是非観てみることをおすすめします!
(結構バズっているようですね)
この中では有り余る程の量の古着が山積みになり、宝探しのように1枚1枚古着を選別する姿がありました。選別をするというのは、言い換えると価値のある物を探す(山積みにされた売り物にできない服の中から見つけ出す)という事。
アーキュエイトステッチがペイントされた501XXなどのヴィンテージとして評価されている服は2次流通でも希少な価値を持って高値で売買されるのですが、そういった服ではない事の方が99%だと思います。大半の古着は短期的な消費財としてゴミになってしまうというのは、作り手として中々に気持ちの良くないものです…
ファッションのサイクルの速さと手軽さが民主的になった一方で生まれる弊害でもあります。
洋服はボタンを押したらすぐに出来る物ではなく、多くの工程を経て、人の手で生産されて1枚の服が出来上がります。素材や附属の原料まで遡ると多くのサプライチェーンが複雑に絡まっていてなんと※世界の6人1人がアパレル産業に関わっているという実情があります。(驚きです!)
※引用元:https://qz.com/1222569/fast-fashion-is-causing-an-environmental-emergency
着られなくなって不要と判断されてしまった服をレスキューして価値のあるような魅せ方する古着屋以外の方法があるとするならば、それはきっとアップサイクルなのだと思います!
アップサイクルというのは、本来廃棄される予定だったものに、新たな価値やデザイン性を加えて、より価値の高い製品に生まれ変わらせることを指します。
今回は不要になった洋服を用いてアップサイクルしてみました。このアップサイクル手法を用いれば基本的にどんなシャツでも大変身させることができます!さらに作り方の《原型》を覚えれば、デザインバリエーションの展開も可能です。
そんなアップサイクル手法を作り方レシピとして公開してシェアハピしていきます!購入した服が不要となった場合、捨てるのではなく、古着として2次流通に回すか、リサイクルに回すか、アップサイクルとして別の製品に生まれ変わらせるか。
不要になった服の活用方法をシェアする事で何か新しい視点の気付きなどが得られると嬉しいです!
こんな人におすすめな記事です!
●ファッション業界で作り手の方
●アップサイクルに興味がある方
●ファッション専門学生
●MYOGや洋裁が好きな方
作り方をシェアする上で、どのようにしてシャツをブルゾンにアップサイクルしていったかなども簡単に説明していきます。詳しい説明はコチラに記載しております!0→1のものづくりの実践編として記事を書きました。
そして、このアップサイクルの服作りは本縫いミシンとロックミシンと家庭用アイロンがあれば簡単に作れるのでMYOGでも応用が効きます!
まずはじめにBefore•Afterをご覧下さい!
良くあるサックスストライプのシャツが…

(真ん中のストライプシャツ)
👇こうなりました!👇

ドドーンッ!
どういった作り方をしたのかを説明しながら、レシピを公開します。
それではいってみましょう!
【必要な道具と素材】
✅本縫いミシン
✅ロックミシン
✅家庭用アイロン
✅パターン用紙(製図用紙)
✅定規とペン🖋
✅ロールカッター
✅リッパー
✅糸切り鋏✂️
✅目打ち
✅裁断マット
最低限これだけあればMYOGの小さなギアは何でも作れます!中古とかで揃えれば5万あればいけそう?
MYOGに必要な道具(主に裁縫道具)の紹介は別で投稿する予定です✨
今回このアップサイクルブルゾンを作成するにあたり、シャツ以外にも異素材生地をいくつか選んで使ってみました。シャツ生地(綿100%)だけでブルゾンを作ろうとするとどうしてもカジュアルな印象になってしまいます。
自分が作りたいブルゾンはゴープコアのスタイリングに合うブルゾンなのでナイロンやポリエステル素材も使用してみました。
実際に使った素材は、
①本体:シャツ生地(綿100%)
→これは、アップサイクルする前のシャツ生地(古着シャツ)で、全体の8割くらいにあたります。写真はイメージとして載せています。

②別布A:ワッシャー又はリップストップ素材
(ナイロン100%)
→アウトポケットや表衿、脇身頃に採用している生地で、2番目に多く使用しています。つるっとした表情の生地ではなく凹凸感のある素材の方が綿素材のシャツ生地と合います。

③別布B:裏毛素材(綿100%)
→袖下と衿裏に採用した主にスウェットに使われる裏毛を採用。直接肌に触れる首元の衿に使い、腕の動きに追従し、腕まくりをシャツよりもしやすくする為に袖下に合わせてみました。着用感をより良くしています。そして袖口にはリブ素材を使い、スウェットのようなディテールにしてみました。

④別布C:T/Cツイル素材(綿35%ポリ65%)
→この素材は衿当布(衿ぐり付けに近い黒の素材)と身返しに採用しました。ここにはアイロンでしっかりと決まりやすい素材を使いたかったので熱可塑性の良く、他の素材とも喧嘩しない綿ポリのツイルを使いました。

【作り方】
1.裁断
●まずは、古着シャツの衿(上衿/台衿)•カフス•前立を上がり線の箇所で裁断し、古着を解体していきます。その3つを取り除き、C.Bから裾までカットし、半分に分けていきます。そして古着シャツ以外に使用する生地の裁断をしていきます。
その写真がコチラ👇


袖下にはスウェットに使われる裏毛とリブを付けるのでパターンゲージに合わせて古着シャツの袖下をカットしていきます。この箇所は斜めにカットしているので、多少の伸ばしやイセで処理が出来ます。
身頃脇と袖下は一続きになっているのでロールカッターかロックミシンの糸切り刃で一気にカットしていきます。
2.テープ貼り
●衿裏には裏毛を使用しているので、ほつれ防止と動きを止める為に、1.0㎝幅の伸び止めテープを貼っていきます。

3.縫製
•C.B(背中心)
肩幅45㎝のシャツを肩幅60㎝に変更する時に、背中から布パターンを足していくことにしました。身体の形状を拾わない(ダーツ量が生まれない)幅は半身でおよそ6.5㎝だったので棒状のナイロン素材を縫い合わせていきます。
※これ以上幅を広く取ると、衿をとじるときにフラットにならない事があったので6.5㎝以内の幅が都合が良かったです。

片側も切替布を付けて、新しい背中心で縫い合わせていきます。この箇所は袋縫いをします。

•身頃脇と袖
次に身頃脇パーツを付けていきます。このパーツは袖下まで続く鎌底のないパターンになります。何故そうなったのかというと、古着シャツのそのままの袖の形状だと肩幅60㎝のシャツにした場合に、袖幅が不足して二の腕の運動量が不足する為、この脇パーツで不足分を補ったからです。
※脇下をマチ入れて運動量を増やすという事ではないです。


縫い代は0.5㎝に設定しています。縫い代処理は基本的に0.7㎝幅のパイピング処理をしています。量産化
を前提にしたアップサイクルでは裏地が付くと汎用性のある設計が難しい(古着シャツのサイズが物によって異なる為。でも考え方を変えたりデザインを見直せば出来ないことはないと思います。)のでパイピング処理がベストな仕様です。
しかしここが地味に時間かかる…笑


パイピング処理後に袖下の裏毛とリブも付けていきます。裏毛の縫い代処理もパイピング処理をすればしっかりと伸び止めになります。リブの付け線はロック始末をしていきます。
袖下を付けた状態がコチラ👇


•アウトポケットと衿当布と前端布
次にアウトポケットを縫製していきます。ポケット口の縫い代はパイピング処理をした後に折り返して0.5㎝のステッチを入れていきます。

その後アウトポケットと衿当布(下の黒く尖ったバナナみたいなパターン笑)と前端布を3パーツ合わせて縫製します。


アウトポケットには容量を増やす為に2本のタックを設けました。そして前端布を付けてそのまま、表衿とファスナーまで一気に付けます。
その状態がコチラ👇

アウトポケットと前端布の切替は縫い代が前端側に倒れる切替でステッチも入れる為、タックのデザインと相性が良く視覚的な意匠にもなります。さらに5㎜のイセも入れてナイロンの素材に表情を加えてみました。シャツの素材感との調和がより取れるようになります。
👇良い味!

衿当布と身頃をつける際に、裁ち端が合わない(身頃側は台衿付け線でカットしていて、この線はものによって異なる為合わせることができない)のでボディに当てて衿当布の上がり線に合わせて身頃にピンで留めていきます。ここは平面での操作になるようにパターン設計をしているのでどんなシャツにも合うようにしています。
※肩幅60㎝設計のシャツのパターンの前立をカットし、前端布を付けた状態で衿当布を設計しています。



ピンを留めたらコバステッチで抑えステッチを入れていきます。その後に前端布を付けて表衿を付けると先程の👇画像に!!

両端コバステッチ【A】

不足する縫い代はハサミで切り込む✂️
もう半分以上きました!意外と服作りにしてはシンプルな作りで簡単なのでMYOGできるアイテムだと思います!アウトドアギアとして作る場合は綿100%のシャツではなく、ポリエステルかウールの物を選ぶと良いですね!
•衿付けと身返し付け
次は裏衿と身返しを付けていきます。この衿付け線の縫い代も割りでアイロンをして両端コバステッチを入れます。

先程の身頃とファスナーを付けた状態【A】と【B】を外周りをぐるっと中表にして縫い上げていきます。そしてひっくり返してアイロンで整形をします。
身返しを伏せる前に衿付け線の縫い代の箇所をミシンで綴じます。衿がパカパカしないようにする為です。

形状をアイロンで整えてから最後にコバステッチと1.0㎝のステッチを2本入れていきます。入れた状態がコチラ👇

下端はファスナーの金具がミシン針に当たってしまうので段差を付けて意匠的に表現しました。

•スライダー(引手コード)と隠しポケット

スライダーにはリングと再帰反射コードを付けて縫い糸を巻いてアクセントにしました。そしてアウトポケットが裾で閉じられていない段階の時に、隠しポケットを内側に付けていきます。とっても便利な仕様なのでお気に入りです!

隠しポケットを付けた後にはアウトポケットの脇側の端をWステッチで留めます。ポケット口にはミシンカンヌキを入れて補強します。後は裾のバインダー始末だけです!!
•バインダー始末

ここのバインダーはアウトポケットが付いている裾のみ伸ばし付けをしてギャザーを付けていきます。そうする事で着用した時にスピンドルを入れてブラウジングしているような見た目になり、ゴープコアのスタイリングっぽさが出ます。逆に後身頃側にギャザーを入れるとかなりカジュアルで可愛い印象になってしまうので伸ばし付けはしません。
そして最後に残糸などをカットして整えれば完成です!!!服作りにしては意外と簡単にできます!
👇完成したアップサイクルブルゾンはコチラ!!👇
ライブラリー









この撮影したサンプルは自分用に作りましたが、元々は会社としてのアップサイクル企画ですので、3着こちらのサイトに掲載されています。
宜しければ覗いてみて下さい〜

https://fashion-commune.jp
おわりに
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ここまで読んで下さりありがとうございます。
noteの他にInstagramもやっています。こちらではアウトドアについて体系的に学ぶことができ、アウトドアの遊びがより楽しくなれるような発信をしていくので興味がある方は是非覗いてみてください😊
P.S. このnoteは基本的に自分が哲学本を読んだり、ものづくりをしていく中で面白いと思った内容を4000文字〜10000文字くらいの文章量にまとめています!
そして全て無料で公開しています!
ものづくりをしている方にとって何か学びになれば幸いです。シェアハピ!!!✨
