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心血管疾患予防のカギは腸内細菌

参考文献

Yu, Junwen, et al. The impact of dietary patterns on gut microbiota for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease: a systematic review. Nutrition Journal. 2025; 24(17). doi:10.1186/s12937-024-01060-x.

和訳:心血管疾患の一次および二次予防に対する食生活パターンが腸内細菌叢に及ぼす影響:系統的レビュー


とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)

目的

心血管疾患(CVD)患者およびその高リスク群を対象に、異なる食事パターンが腸内細菌叢の組成およびCVDリスク因子(心血管代謝指標)に及ぼす影響を明らかにすることを目的としています。

方法

7つの主要なデータベースを用い、2024年10月までに発表された文献を網羅的に検索しました。
18歳以上のCVD患者、または2つ以上のリスク因子を持つ成人を対象とし、食事介入によるマイクロバイオームの変化と心血管代謝パラメータを分析した19件の研究(RCT 17件、自己対照試験2件)を抽出しました。

結果

食事パターンによって、腸内細菌叢の変化に明確な特徴が見られました。

  • 植物ベースの食事: 酪酸産生菌である Faecalibacterium の増加が最も多く報告されました。

  • 食事制限(低脂肪・断食): Bacteroides の増加と Roseburia の減少が確認されました。

  • ポリフェノール豊富な食事: Alistipes などの増加が認められました。

メタ分析の結果、植物ベースの食事は総コレステロールを有意に低下させ、食事制限は中性脂肪、コレステロール、血糖値、体重、BMI、腹囲のすべてにおいて有意な改善を示しました。

結論

食事パターンは腸内細菌叢の組成を明確に変化させ、心血管代謝指標を改善させることが示されました。
特に植物ベースの食事は、食物繊維の分解による酪酸の産生を促進し、抗炎症作用や脂質代謝の改善を通じて心血管の健康を増進させる可能性が示唆されました。


ポイントと感想

腸-心臓軸を繋ぐ「酪酸」

植物ベースの食事が有用な理由として、植物ベースの食事は腸内の酪酸産生菌を増やし、それが直接的に心血管保護に働くからです。
全粒穀物や野菜に含まれる難消化性デンプン(レジスタントスターチ)が、善玉菌によって発酵され、短鎖脂肪酸である酪酸を生み出します。

この酪酸は、血管内のプラークを安定させたり、過剰な炎症を抑えたり、さらにはコレステロールの逆転送を促進して血中脂質を下げる役割を担っています。
何を食べるかで腸内細菌を活性化し、血管の質を変えることに繋がります。

食事制限と植物ベース、どちらを勧めるべきか

低脂肪食や断食といった食事制限の方が、BMIや中性脂肪、血糖値の低下において植物ベースの食事よりも大きな数値的改善を示しました。
これは、単純な摂取エネルギーの削減が代謝指標に直結しやすいためと考えられます。

その中で、論文内で指摘されている通り過度な食事制限には継続の難しさや善玉コレステロール(HDL-C)の低下といった懸念点があります。
植物ベースの食事は、腸内環境を根本から整え、長期的な抗炎症状態を作ることに長けています。

体重や血糖値をコントロールするために適切なエネルギー制限と、腸内環境を整えるための植物由来の食品(食物繊維やポリフェノール)を増やすという、ハイブリッドなアプローチが現実的かつ効果的ですね。

ではでは。

#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

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