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五輪コーチに学ぶプライオメトリクスの目的と手段


臨床のリアルと迷い

アスリートに対するトレーニングとして「プライオメトリクス」というトレーニングがあります。
これは「筋肉と腱のバネの力(SSC)を最大限に活かして、より速く、より力強く動く能力を鍛えるためのトレーニング全般(各種ジャンプ運動など)」を指します。

ジャンプエクササイズなどはよく行われますが、この行い方について、しっかりと学習する機会は少ないと思います。

とにかく高い段差を用意すればいいのか、どのような意識で行なってもらうのか。
よくわからない中で行うことが、アスリートのパフォーマンス向上の妨げになっているかもしれません。
今回は、オリンピックコーチたちのデータから、プライオメトリクストレーニングの解釈を深めます。

知見の整理と道標

ブラジルのオリンピック・スプリントおよびジャンプコーチの実践を調査した報告によると、目的に合わせて種目と条件を緻密にコントロールしています。

主要な知見は以下の通りです。

  • ドロップジャンプにおける「声かけ」の力
    「できるだけ高く跳ぶ」よう指示するか、「最小の接地時間で、可能な限り高く跳ぶ」よう指示するかで、引き出される生体力学的反応(接地時間やパワー発揮)が異なります。

  • ボックスジャンプの誤解
    ボックスを高くしてもジャンプの運動強度が上がるわけではなく、非現実的な柔軟性を要求し怪我等のリスクを増やすことにつながります。

  • バウンディングの使い分け
    踵接地で接地時間が長い伝統的なバウンディングに対し、足裏全体でフラットに接地するスプリントバウンディング(約130ms)は、実際のトップスピード時の要求に近く、最大速度の向上に寄与します。

  • アシステッドジャンプ(免荷ジャンプ)
    弾性バンドで体重を免荷し、「無負荷より20%速い速度」を引き出すことで、筋力発揮能力を高めることができます。

臨床への落とし込みと深掘り

まず見直すべきは「どのような意識でトレーニングを行なってもらうか」です。

単に「高く跳んで」と指示すると、患者さんはダイナミックな動作から、跳躍距離を稼ごうとします。
しかし、スポーツ現場で求められる「素早いバネ」を考えた場合、これだけではパフォーマンスの向上に繋がりません。
「接地を最短にして跳ぶ」という意識だけで、下肢の急速な力発揮へとターゲットを絞ることができます。
そういう意味では、また、ボックスジャンプの高さへのこだわりも捨てていいかもしれません。
跳べた or 跳べないに一喜一憂するのは本質的ではありません。
この種目の本来の目的はをしっかり理解した上での高さが重要です。

なんにせよ重要なのは、どのような能力を高めたいかをより細分化して見つめることです。初速(加速)を上げたいなら、静止状態からの立ち幅跳びや水平方向へのバウンディングを。
トップスピードを高めたいなら、短い接地時間を意識したスプリントバウンディングや、チューブで上方に牽引したアシステッドジャンプを。
このように「なぜそのジャンプなのか」を言語化できることが、臨床の基準となります。

締め

ジャンプトレーニング、その種類と負荷量の調整は、大前提として細かな目的の設定をしましょう。
まずは、ジャンプの方向、接地時間を考え、それをアスリートにしっかり伝えることが重要です。

参考文献

Loturco, Irineu, et al. Plyometric Training Practices of Brazilian Olympic Sprint and Jump Coaches: Toward a Deeper Understanding of Their Choices and Insights. Journal of Human Kinetics 88 (2023): 131-150. doi: 10.5114/jhk/168792.

ブラジルのオリンピック・スプリントおよびジャンプコーチのプライオメトリック・トレーニングの実践:彼らの選択と知見のより深い理解に向けて

ではでは。
#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

ご覧いただきありがとうございました。

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