筋トレは限界まで追い込むべきなのか?
参考文献
Refalo, M.C., Helms, E.R., Trexler, E.T. et al. (2023)
Influence of Resistance Training Proximity-to-Failure on Skeletal Muscle Hypertrophy: A Systematic Review with Meta-analysis. Sports Med 53, 649–665.
https://doi.org/10.1007/s40279-022-01784-y
筋力トレーニングの限界到達が骨格筋肥大に与える影響:メタアナリシスを用いた系統的レビュー
とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)
「筋肥大を目指すには、筋トレで毎回限界まで追い込むべきか?」
というテーマは、トレーニング現場でも患者指導でもしばしば議論になります。
今回ご紹介するRefaloら(2023)のメタ分析は、この疑問に科学的視点から答えを示す研究です。
著者らは、筋肥大をアウトカムとした計15件の研究を分析。限界(失敗:もう1回も挙がらない状態)まで行うレジスタンストレーニングと、限界までは行わないトレーニングを比較しました。
主な結果は以下の通りです:
限界まで行う方が、筋肥大にはわずかな有利さがあった
瞬間的な筋不全まで行う条件では、有意な差は認められなかった
筋肥大への影響は、ボリューム負荷や相対負荷による調整では変わらず
結論として、限界まで行うことで筋肥大が必ずしも大きくなるわけではなく、むしろ限界と筋肥大には非線形の関係がある可能性が示唆されました。
ポイントと感想
限界までやることのメリット・デメリット
臨床や指導現場では、限界まで追い込むことが正義と考えられやすいです。
確かに、限界までやることで筋線維(特に速筋繊維)への動員が増えるのは事実です。
これは神経系の興奮度が高まるため、筋肥大の刺激になる要素です。
今回のメタ分析では限界までやらなくても筋肥大は十分得られる可能性が示されました。
重要なのは、単発のセットで限界まで迎えることにはデメリットも存在することを忘れないことです。
以下はデメリットとされている内容です。
神経疲労が強くなる
→ 次のセットや次回トレーニングのパフォーマンス低下トータルのボリュームが減少しやすい
→ セット数や挙上重量が減ることで、最終的な筋肥大刺激が不足するリスク
筋肥大の鍵は、限界まで行うことそのものではなく、トータルのトレーニング量(ボリューム)を確保することかもしれません。
限界に挑むほど疲労が増え、結果的にボリュームが減るなら、かえって逆効果になりかねません。
限界までやるべき種目とは?
限界までやる方が良い場面
単関節種目(アームカール、レッグエクステンションなど)
マシン使用種目(安全性が高い)
トレーニングの最後のセット
軽重量×高回数でのトレーニング
経験者や筋トレ慣れしている人
限界までやらない方が良い場面
複合関節種目(スクワット、ベンチプレスなど)
フリーウエイト種目
疲労の蓄積が心配なとき
セット数が多い場合
トレーニング初心者
高重量×低回数のトレーニング
個人的には上記のような区分けをして指導していこうかと思います。
ただ、強度の確保も必要です。限界まではいかなくてもいいとしても、筋に対する負荷は減らさないようにしたいですね。
ではでは。
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