足関節背屈制限への臨床意思決定システム
参考文献
Tourillon R, M'Baye M and Smith M. Restoring ankle dorsiflexion range of motion in athletes: an individualized clinical decision-making system. Front. Sports Act.Living. 2025;7:1677383. doi:10.3389/fspor.2025.1677383.
アスリートにおける足関節背屈可動域の回復:個別化された臨床意思決定システム
とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)
目的
多くのアスリートに見られる足関節背屈可動域(ROM)制限に対し、個々の制限因子を特定・解決するための個別化された臨床意思決定システムを提示することです。
方法
既存の文献レビューに基づき、ウェイトベアリング・ランジテスト(WBLT)を起点とした評価プロトコルを構築しました。
WBLTによる定量的・定性的評価
特定の構造を同定するための確証的診断テスト
同定された原因に応じた個別介入
の妥当性を検討しました。
結果
WBLTにおいて、左右差が1.5 cm以上(壁からの距離)または4.7°
以上(脛骨傾斜角)ある場合に臨床的な制限と定義しました。
また、患者が訴える症状の部位(前方、後方、内・外側など)により、距腿関節、長母趾屈筋、腓骨筋、あるいは神経系組織といった異なる原因組織の特定が可能であることを示しました。
結論
この3ステップのフレームワークを用いることで、臨床家は標準的な治療を超え、各アスリートのニーズに特化した効果的なリハビリテーションとパフォーマンスの最適化を提供することが可能になります。
ポイントと感想
WBLTを鑑別ツールへ
WBLT(荷重位ランジテスト)を単にROMを数値化するだけのテストではなく、原因組織を絞り込むための定性的評価として位置づけています。
このシステムではどこに、どのような感覚があるかという主観的フィードバックを最重視します。
例えば、前方の「詰まり感」であれば距骨の後方滑り制限、
後方の「突っ張り」であれば下腿三頭筋や神経系といったように、訴えの部位によって次に行うべき確認テストが自動的に導き出されます。
これにより、評価の迷いが大幅に軽減されます。
原因組織に基づいた確認テスト
ステップ2で提示されている確認テストは、軟部組織の関与を鑑別するための付加的なWBLTとなっています。
FHL(長母趾屈筋)の関与: 母趾を最大背屈させた状態でのWBLT
腓骨筋の関与: 足部を内反させた状態でのWBLT
神経系の関与: SLRやスランプテストを用いた神経系モビリティの確認
原因の判別が重要となります。
介入方法の提示
ステップ3(介入)では、具体的なトレーニング強度や期間についても言及されています。
例えば、筋・腱組織が原因の場合、単発のストレッチではなく「5週間以上の継続」や「週合計1,200秒以上の時間」が必要であるといった具体的な指針は、実施する側も助かりますね。
また、関節の可動性を確保した後は、シングルレッグスクワットなどの機能的動作を通じて獲得したROM内での運動制御を再学習させるという流れは、再受傷予防の観点からも非常に重要となっています。
ではでは。
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