座り仕事による「丸まった肩」と「猫背」が筋肉に与える影響
参考文献
Guduru, R.K.R.; Domeika, A.; Domeikienė, A. (2022). Effect of Rounded and Hunched Shoulder Postures on Myotonometric Measurements of Upper Body Muscles in Sedentary Workers. Applied Sciences, 12(3333). https://doi.org/10.3390/app12073333
座り仕事の労働者における丸まった肩と猫背の姿勢が上半身の筋肉の筋圧測定に及ぼす影響
とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)
この研究は、慢性的な肩の痛みに悩まされることの多い座り仕事従事者を対象に、
丸まった肩(Rounded Shoulder Posture:RSP):肩関節が前方に巻き込まれた状態。肩峰が耳よりも前に位置している。
猫背(Hunched Shoulder Posture:HSP):胸椎が過度に屈曲し、頭部前方突出が伴う姿勢。
が、上半身の筋肉の筋圧(筋緊張・硬さ・弾力性)にどのような影響を与えるのかを調べたものです。
被験者は合計60名(RSP群・HSP群・正常肩姿勢群(NSP)各20名)で、年齢やBMIなどの条件を揃えて比較されました。
その結果、RSPおよびHSP群は、NSP群に比べて大胸筋の筋緊張が有意に低下し、三角筋後部の筋硬直が有意に上昇していることが明らかになりました。つまり、「前に巻き込まれた肩」や「背中が丸まった姿勢」は、筋肉の性質そのものに影響を及ぼすというわけです。
また、筋の弾力性にも差が見られ、これらの姿勢が長期的に継続されると、筋の機能低下や筋筋膜性疼痛につながる可能性が示唆されました。
ポイントと感想
RSPとHSP、その違いは?
まずこの論文を読んで多くの方が戸惑うのが、「RSP(丸まった肩)」と「HSP(猫背)」の違いです。
RSP(Rounded Shoulder Posture):肩関節が前方に巻き込まれた状態。肩峰が耳よりも前に位置している。大胸筋が短縮、僧帽筋中部・下部が弱化していることが多い。
HSP(Hunched Shoulder Posture):胸椎が過度に屈曲し、頭部前方突出が伴う姿勢。肩甲骨の位置も不安定になる傾向があります。
見た目は似ていますが、筋肉や骨格に及ぼす影響がやや異なるため、臨床では区別して評価・介入することが重要です。
筋圧計測で見えた筋肉のリアルな反応
RSPおよびHSPのどちらも、筋の「過緊張」ではなく「筋緊張の低下」と「筋硬直の増加」が同時に起きていました。
具体的には、大胸筋の筋緊張低下、三角筋後部の筋硬直です。
本論文では、姿勢異常に対する具体的な介入方法として
僧帽筋中部の強化
大胸筋と僧帽筋上部のストレッチ
が推奨されていました。
これらは、いわゆる「巻き肩」の基本的な是正エクササイズにも共通しており、姿勢のリトレーニングや動作教育と併せて行うことで、より持続的な効果が期待できます。
ではでは。
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