【5分で分かる中学社会】東南アジアの特色 中1地理
前回は東アジアの特色について学びました。今回は東南アジアの特色についてです。
みなさんは「罰金の街」を知っていますか?少々長いですが、よろしければお付き合いください。
1:罰金の街?
東南アジアには「罰金の街」(Fine City)と呼ばれるぐらい罰金が多い国があります。(Fineは「元気」以外に「罰金」という意味があります。)
例えばその国にガムを持ち込むことは違法です。持ち込んだらなんと100万円以上の罰金です。(ひぇ~~!)
ごみのポイ捨てなどもってのほかで、最大10万円以上の罰金です。ちなみに鳩にエサをやるのもアウトです。これも10万円以上の罰金です。
さて、この国はどこでしょうか?地図を見ながら考えてみてください。

2:罰金の街が生まれた理由
さて、みなさん予想はできましたか?
・・・・・・
正解はシンガポールです。シンガポールはとてもルールが厳しい国として有名です。
でも、なぜこんなに厳しいのでしょうか?
それはシンガポールが生き残るために必要だったからです。
そもそも、シンガポールはとても小さい国です。大きさは東京23区程度しかありません。人口も約600万人です。(東京の人口は約1,400万人)
このような小さい国が経済発展を遂げるにはどうしたらよいのでしょう?
シンガポールは経済発展のために戦略的に国を運営してきました。中国の経済特区と同じように、外国の企業を呼んで経済を発展させようとしたのです。
そのためには外国人が過ごしやすい街づくりをしなくてはなりません。そこでシンガポールはルールを厳しくして安全でクリーンな街づくりを進めていったのです。
しかし、外国から色々な国の人々が移り住むということはそれだけ宗教や文化の面で対立が発生しやすくなります。これは多民族国家の宿命ですね。
そこでシンガポールは宗教や文化に関するルールを明確にして、宗教や文化に関係なく住みやすい環境を整備してきたのです。
また、クリーンな街づくりをしてきた結果、シンガポールは観光地としても人気になりました。
有名なところでいうとマリーナベイ・サンズというホテルがあります。これはホテルの上に船をくっつけたデザインで、他に類を見ない建物です。
余談ですが、マリーナベイ・サンズは劇場版名探偵コナン「紺青の拳」に登場します。建物の結果は「あれ」ですが・・・

3:恵まれた立地
実はシンガポールは他の東南アジアの国々に比べて恵まれた点があります。それはマラッカ海峡のすぐ近くに位置していることです。

マラッカ海峡は海の交通においてとても重要な場所です。マラッカ海峡は狭いため、この場所を安全に通れるかどうかが海の交通にとって非常に重要です。
ちなみに、中東にあるホルムズ海峡も狭いため、この場所の安全性が重要です。現在のアメリカとイランはホルムズ海峡をめぐる大きなトラブルを抱えていますね。
シンガポールはマラッカ海峡を通る船に港を提供し、利益を上げました。
東南アジアは東アジアと南アジア(インド)を結ぶ役割があるので、シンガポールのような中継地点はとても便利な存在です。
シンガポールのように貿易を仲介して利益を上げる方法を中継貿易(ちゅうけいぼうえき)と言います。
他の例だと、江戸時代の琉球王国(現在の沖縄)も中継貿易で有名です。日本と中国(清)の貿易を仲介しました。(詳しくは歴史で勉強します。)
しかし、このような交通の要所はデメリットもあります。それは色々な国がその場所を欲しがるということです。交通の要所は利益につながるのです。
このようなオイシイ条件を抱える東南アジアは、残念ながら欧米の植民地になってしまいました。
植民地の影響は現在の東南アジアでも見られます。
4:植民地の影響(宗教)
東南アジアには植民地の影響が多くみられます。例えば宗教です。スペインの植民地になったフィリピンではキリスト教が広まりました。ちなみにフィリピンという国名はスペインの王様のフェリペからきています。
ベトナムはかつてフランスに植民地にされました。もともとベトナムは仏教が広まっていたのですが、フランスの影響でキリスト教も広まりました。
東南アジアの貿易が宗教に影響した例もあります。インドネシアやマレーシアは海上貿易がさかんでした。そして、貿易でこの地を訪れたムスリム商人(イスラム教を信じる商人)たちが、徐々にイスラム教を広めていきました。ムスリム商人たちは独自のネットワークを持っているので、イスラム教に改宗すると商売がしやすくなるのです。
ちなみにインドネシアはその後、オランダの植民地に、マレーシアはイギリスの植民地となります。
また、特殊な例としてタイがあげられます。タイはヨーロッパの植民地にはなりませんでした。
当時、タイの東側のベトナムはフランスの植民地でした。また、タイの西側のミャンマーはイギリスの植民地でした。タイはイギリスとフランスの間に挟まれたのです。
イギリスとフランスの強国が戦争をすると被害は大きくなります。そこでタイはイギリスとフランスのクッションとしての役割(緩衝地帯)を果たすことになり、独立を維持しました。
また、当時の王様ラーマ5世も非常に優秀でタイの独立に大きな役割を果たしました。
その結果、タイには昔からあった仏教がそのまま広まったのです。
5:植民地の影響(産業)
植民地になったことで産業にも大きな影響がありました。
ヨーロッパの国々は東南アジアで「これを作れ!」と本国の利益になる作物の栽培を命じました。例えば、次のような具合です。
・イギリス→マレーシアでゴムや油ヤシの栽培
・オランダ→インドネシアでコーヒーや砂糖、油ヤシの栽培
・フランス→ベトナムで米やバナナ、コーヒーの栽培
このような売るために作られた農作物を商品作物と言います。
この中でも特に油ヤシは重要な商品作物です。油ヤシはヤシの木の仲間なのですが、油ヤシの実からパーム油という油が取れます。パーム油は安くて大量に作れるため、世界で一番使われている油と言われています。
油ヤシはいろいろなモノに加工されており、クッキーやポテトチップスなどのお菓子類やカップ麺、チョコレートにも入っています。また、石鹸やシャンプー、化粧品にも入っており、身近なものの多くに使用されています。

東南アジアでは油ヤシのような商品作物を効率的につくるために大規模な農園が作られました。この大規模な農園をプランテーションと呼びます。

ただ、特定の商品作物ばかりを生産することは、その国の経済にはマイナスです。
なぜならその作物が天候の影響などで生産できなくなった場合、大きな被害を受けるからです。
また、特定の資源に頼ることも同様に危険です。その資源の価格が暴落した場合、経済が大混乱してしまいます。
特定の作物や資源に頼っている経済のことをモノカルチャー経済と呼びます。monoは「1つ」、cultureは「栽培」という意味です。モノカルチャー経済は不安定であることを確認しましょう。
そこで、近年の東南アジアではモノカルチャー経済を脱するために工業化を進めてきました。工場を作り、技術力を向上させ、ものづくりの力を高めてきたのです。
たとえば、タイにはトヨタ自動車の生産工場があります。中国の人件費が高くなり、東南アジアに工場が移転してきているのですね。
6:協力する東南アジア
東南アジアは海上交通の重要拠点であるため、たくさんの人や物が行き来してきました。その結果、様々な文化が交わる地域になったのですが、植民地の影響も多く受けました。
現在の東南アジアではモノカルチャー経済からの脱却や工業化への歩みを進めるために協力しています。その組織がASEAN(東南アジア諸国連合)です。ASEANはアセアンと呼びます。
ASEANには全部で11か国が加盟しています。(タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ブルネイ、東ティモール)
さて、ASEANとよく間違えるものにNIES(新興工業経済地域)というものがあります。NIESの読み方はニーズです。
これは近年、急速に経済が伸びている国や地域をまとめた言い方です。アジアにもNIESに数えられる国や地域がありアジアNIESと呼びます。具体的には台湾、香港、韓国、シンガポールの4つです。
シンガポールはASEANに加盟しており、なおかつNIESとしても数えられるので混ざってしまいがちです。用語の違いに注意しましょう。
7:まとめ
では、今回の学習をまとめましょう。
・東南アジアは海上交通の要所
例:マラッカ海峡
→多くの人が交わる多様な地域
宗教
・仏教→タイ、ミャンマー
・キリスト教→フィリピン
・イスラム教→マレーシア、インドネシア
植民地
・イギリス→マレーシア、シンガポール
・フランス→ベトナム
・スペイン→フィリピン
・オランダ→インドネシア
☆タイは独立を守る。
植民地の影響(工業)
商品作物を作るモノカルチャー経済
・マレーシア→ゴム、油ヤシ
・ベトナム→コーヒー、バナナ、米
・インドネシア→コーヒー、砂糖など
現在は工業化を進め、モノカルチャー経済を脱却中
・ASEANを結成し地域的協力をはかる
※NIESとの違いに注意!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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