英語でのコミュニケーションの際に、役に立つこと(オーストラリア・パース編⑭)
オーストラリア・パースへの留学の思い出
初回の記事
以下、続きを書く。
*******************
ある週末、住宅街にある、ホームセンターを訪れた。
目的は、懐中電灯を探すことである。
語学学校の授業が始まって以来、住宅街にあるステイ先の家から中心部(city centre)にある学校に通うため、早起きをするようになった。
早朝、近所のバス停に向かうと、周囲はまだ薄暗かった。パースには四季があり、筆者が渡豪したのは秋である。これから、徐々に暗さは増していくだろう。懐中電灯を早めに購入しておくことで、こうした状況に対応しようと考えた。
初めて訪れた、海外のホームセンター。
店舗内は広く、どこに何があるのか、さっぱり分からない。
あてもなく、店内をうろうろと歩き回っていた。
すると、店員らしき人物を見つけた。
よし、懐中電灯がある場所を聞いてみよう。
このように考えた筆者は、スタッフに声をかけることにした。
そして、「Excuse me, I’m looking for…」と声をかけたところで、固まった。
(懐中電灯って、英語でなんて言うんだっけ?)
そう、懐中電灯を意味する英語の表現について何も考えずに、スタッフに話しかけたのである。
こういう時、用意周到な人なら、先に調べてから声をかけるだろう。
我ながら、のんきだなと思う。
「棒のような形をしている…」
「先端から、光を発する…」
思いつく特徴を挙げながら、懐中電灯のことを説明しようとした。
この時、ふとflashlightという単語を思い出した。
「やったあ」と喜びながら、相手に伝える。
すると、スタッフは「ああ、torchのことだね」と言った。
懐中電灯について、アメリカ英語ではflashlightと言うが、イギリス英語ではtorch(あるいは、electric torch)と表現する。オーストラリアは基本的にイギリス英語の影響が強いので、torchと言い換えたのだろう。
なお、余談だが、英語は一つではない。国や地域などによって、特徴が異なる。
例えば、筆者は以前、オーストラリアのシドニーの空港で、海洋生物のDVDを購入したことがあるが、そこにはアメリカ英語とオーストラリア英語の、二つの英語のナレーションが含まれていた。
このように、国や地域によって英語の特徴は異なる。このことは、仕事や留学等で特定の国を訪れる際の英語学習について考える時に、参考になる。
筆者は、無事に懐中電灯を購入することができた。
もっとも、ここでポイントになるのは、懐中電灯を意味する単語を思い出せたことではない。様々な特徴を挙げながら、相手に理解してもらおうと努力した行為の方が、重要だと思う。
英単語や熟語などの表現をたくさん知っていることは、基本的には役に立つ。
しかし、英単語や熟語の量は、かなり多い。辞書にもよるが、数十万単位で掲載されているものもある。
英語の語彙について、英語圏のネイティブ(成人)でさえ、2万から3万語と言われている。非英語圏で育つ日本人が、知っている言葉の数を増やそうとしても限界があるし、一時期は覚えたとしても忘れてしまうことは多いと思う。
それでは、どうすればよいのか。
例えば、そのものズバリを指す英単語が分からなくても、様々な角度から説明して、相手に伝わるように工夫できる能力が重要になると思う。
このことは、日本語でも変わらない。
日本語でも、何かを思い出そうとして、言葉が出てこないということはよくあるだろう。例えば、園芸店で、探している花の名前を忘れてしまったとしても、「白くて、大きな花びらがあって、茎が長くて…」、「初夏の時期に咲いて…」等の説明を重ねていくことで、最終的には「ああ、百合のことですね」と相手に伝わる。
もし、客側が百合という名称を知らずに探していたとしても(例えば、名前を知らずに、どこかで百合の花を見かけて気に入ったような状況)、こちらの意図が店員に伝われば、「これのことですよね」と実物を示してくれるだろう。そうすれば、探している花を見つけることができる。
このように、全ての言葉を覚えていなくても、コミュニケーションは成り立つ。そして、基本的な表現を用いて何かを説明できる能力は、様々な場面で応用が利く、とても実用的なものである。
しかし、日本の学校の試験や、大学受験、民間の英語の検定試験などで、こういう能力が評価されることは、ほとんどないだろう。
実用的なコミュニケーション能力が、試験では評価されにくい。このことは、「学校英語を学んでも、英語が使えるようにはならない」と言われてしまうことの、理由の一つだと思われる。
英語圏の国にいると、英語について様々な体験をすることができる。
それらの多くは、日常的なやり取りであり、特別なものとは感じにくいかもしれない。
しかし、そういった経験の中にこそ、コミュニケーション能力を向上させるためのヒントがたくさん含まれていると思う。
*長い記事を、ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
*オーストラリアと関連する記事は、以下のマガジンにまとめています。
*英語学習(指導)と関連する記事は、以下のマガジンにまとめています。
