怪談とミステリーの満腹セット!映画『残穢―住んではいけない部屋―』感想
一行あらすじ
ホラー小説家(竹内結子)が一人暮らしの大学生(橋本愛)から受け取った心霊体験の手紙をきっかけに、その発生源を探る話。
怪談が次々と
この映画の特徴的なところは、怪談の積み重ねでストーリーが成り立っているところです。
話の流れとしては、
女子大生がマンションの一室で不思議な音を聞く
前の住人は自殺していることが判明
マンションが建つ前を調査
独居老人が孤独死していたことが判明
さらにその前を調査
娘の結婚式当日に女性が自殺していたことが判明
…といったようにどんどん過去に遡っていく流れです。
この流れにしたがって、遡っていくたびに怪談が語られます。
かつて欠かさず「本当にあった怖い話」を観ていたような怪談好きの私にとっては、いくつも怪談が観られてとても満足です。
また、「次はどんな怪談が飛び出すんだろう?」という期待感を持って観ることもできます。
ピースが埋まっていく快感
この映画では数々の怪談が語られるのですが、最終的にそれらが一続きになっていきます。これが観ていて気持ちいいです。
さらに、怪奇現象がきちんと順番通りに引き継がれていないところが見事です。例えば、吉兼家の座敷牢話が認知症のおばあちゃんに繋がっていたり、赤ん坊の沸く話が女子大生の前の住人に繋がっていたり、といったことです。「こういうことかも?」と考えたり、推理したりする楽しみが生まれています。また、その"飛び"具合が妙なリアリティを演出しています。
この点でいえば、なにより冒頭の怪談が奥山怪談に繋がる仕掛けが素晴らしいと思います。
薄気味悪い恐怖
この映画で映像化されている怪談は、どれも決して派手なものではありません。話のきっかけとなる「畳を擦るような音」だって地味ですし、赤ん坊の鳴き声だってそれ自体が怖いものではありません。
しかし、それが自殺や隣人の奇妙な態度に結び付くことで、薄気味悪さを帯びてきます。当時を知る人たちがあまり怖がっていないのも、臭くなくて好印象です。
手厚いアフターフォロー
奥山怪談が明らかになった後も、いくつか怪談が紹介される点が良いです。このちょっとしたシーンによって、奥山怪談の怖さがより強調されています。劇中にあった台詞の「話しても祟られる。聞いても祟られる」という点がきちんと感じとれます。
ラストで語られる関係者のその後にも、容赦なくホラー要素が組み込まれており、最後まで目が離せません。ビデオカメラへの映り込みといったさりげないものから、成田凌演じる若者が首つり霊に遭遇する直接的なものまで、終盤にも関わらずガッツリです。これくらい徹底的に最後まで怖い方が、私としては好みです。
手厚いアフターフォローといえるでしょう笑。
難点
ただ難点があるとすれば、やはりラストの編集部のシーンだと思います。このシーンでは、平岡(佐々木蔵之介)の編集担当者が、炭鉱事故の犠牲者集団に襲われます。このシーンだけは、やり過ぎなように感じました。
おわり
語られる数々の怪談とそれが収束していく快感、妙なリアリティと薄気味悪さによって、近年稀に見る良作Jホラーだと思います。

